852話 ペグ合流
というわけで戻ってきました初期地点の砂浜!
そこには俺が睨んだ通り【ペグ忍者】、【骨笛ネクロマンサー】、【バグパイプ軍楽隊員】の三人が俺たちの戻りを待っていたようだ。
どれくらい待っていたんだ……?
「【ペグ忍者】たちもついさっき戻ってきたばかりなのらよ~!
やっぱり【包丁戦士】しゃんは【検証班長】しゃんと同じ間の取り方をしているのら。
……狙っていたのら?」
今回はきちんと【ペグ忍者】が【検証班長】と同じペースで動くことを予想して戻ってきたぞ。
この予想が合っていてホッとしたぞ!
最悪無駄足になることも考えていたからな。
「まさか狂人が高名な【検証班長】さんのパターンを把握しているとは思わなかった。
俺は戻ってくるの反対だったんだが、今回は俺が間違っていたようだ。
……思ったよりも頭が切れるんだな?」
「ふひひっ、【包丁戦士】さんはあてぃしのいるクラン【コラテラルダメージ】のリーダーですからねぇぇ……
狂人と言われていてもトッププレイヤーと呼ばれるくらいには凄いんですよぉぉ!」
俺に嫌味を飛ばしてきた【バグパイプ軍楽隊員】に対して反論してくれた【骨笛ネクロマンサー】。
その心遣いはありがたいが、俺がトッププレイヤーと呼ばれているのは戦闘力や指揮力、頭脳などではなく当時東西南北に存在した聖獣レイドボスを対して最も執着していたうちの一人ってだけだ。
一応トッププレイヤー四人は偶然にもそれなりの実力者が集まっているので、事情を知らないプレイヤーはトッププレイヤーという響きだけで判断しがちなのだろう。
……だけど、それをここで指摘するのは野暮なことなのでやめておこう……
「それでは私と【包丁戦士】さんが見つけたものについて皆さんに教えますよ!
いや~、熱々な時間を過ごせましたから【包丁戦士】さんとの逢瀬についてじっくり説明しますね~!」
「おい狂人、このアイドルに説明を任せていいのか?
なんか不安なんだが……」
【バグパイプ軍楽隊員】はボマードちゃんが説明することに一種の懸念を抱いているようだ。
……俺もだ。
まあ、とりあえず話させてあとで補足をすればいいだろう。
そうして俺が時々補足しながらもボマードちゃんが釣竿次元のプレイヤーに遭遇したこと、塔を見つけたこと、黒色の鍵を手に入れたことを【ペグ忍者】たちに共有し終えた。
説明シーンはカットだ!
「黒色の鍵……なのらね?
鍵があるってことは扉か宝箱みたいなものがあるって思った方が良さそうなのらよ!」
「ふひひっ、骨って可能性はないですかぁぁ……?」
「いや、鍵をどうやって骨に使うんだよ……
やっぱり狂人のクランにはそれ相応のぶっ飛んだやつばっかり集まってるってよーくわかった。
類は友を呼ぶという言葉をこんなに実感したのは初めてだ!」
「【ペグ忍者】たちはアンカー次元のMVPプレイヤーと遭遇したのらよ!
摺り棒がチュートリアル武器の緑髪のプレイヤーと一緒に行動していたのらね」
あー、MVPプレイヤーの【夢魔たこす】と【摺鉢みすり】のペアだな。
前も一緒にいたが、今回も揃っているとなればかなり厄介だぞ。
「ふひひっ、後次元天子も一緒にいましたねぇぇ……
アンカーを持っていたので分かりやすかったですよぉぉ!」
「ああ、流石に次元天子相手に戦ったら俺たちだけだと勝ち目がないからすぐに退散してきたけどな。
アンカーが見えた時点で相手が少なくともMVPプレイヤーだって分かったから三人ですぐに隠れながら様子を見ていたわけだ」
「次元天子には【ペグ忍者】たちだけでは荷が重いのらよ~
諦めて別方向を調べる羽目になったのら!」
それで別方向を調べて何か見つかったのか?
まさかこれ以上手柄をあげられなかったっていうんじゃないだろうな?
こっちより一人多い班だったんだから、それ相応の成果をあげてなかったら困るぞ……?
「にゃはははは!
実は釣竿次元の拠点みたいなところを見つけたのらよ!
釣竿を担いだ次元天子がど真ん中で寛いでいたから多分合ってるのらよ!」
おっ、釣竿次元の拠点か。
他の拠点の情報は最後まで結局使わない可能性もあるものではあるが、持っていて損はないものでもある。
でも、最低限相手の行動パターンを読む一つの指針にはなるので、これはお手柄と言えるだろう。
【ペグ忍者】も忍者っぽいことを出来るんだな!
「にゃにゃっ!?
当然なのらよ!
二つ名が忍者なのに諜報活動も出来なかったら名前負けしてるって笑われちゃうのら!」
それもそうだな。
俺もそう言おうとしてたからな!
「ひ、酷いのらよ~!!!」
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