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85話 お嬢様バーガー

 あのシールドバッシュ擬きの突撃から何度も攻防が続いている。

 俺が斬擊を繰り出し、【トランポリン守兵】お嬢様がスキルの影響で割れるチュートリアル武器のトランポリンで守り、その後足元からトランポリンを出現させシールドバッシュ攻撃に使ったり、距離をとるために使ったりするというパターンが幾度となく繰り広げられた。

 まるで体操選手みたいな動きだ。


 その際に俺はトランポリンによる押し込みで圧迫されたりすることによるダメージを受けたりしたが、その度にあのお嬢様の首もとや胸元、ふとももなど様々な場所を狙い包丁を突き刺そうとすることであっさり退却するので少し疲弊したくらいで済んでいる。


 その退却の際にすぐトランポリンが砕け散っているのを俺は見逃さなかった。

 俺に押し当てていたトランポリンが、俺の全身から離れたタイミングで一度完全に光の粒子と化していた。

 もちろん、その後すぐに【トランポリン守兵】お嬢様はトランポリンを再度出現させていたので、よく見ていなければ気づけなかったかもしれないが、間違いなく俺の身体から離れたタイミングが砕け散るキーだ。

 それだけと決めつけるにはまだ早いが、条件の1つとして頭に置いておこう。

 これが分かるだけでかなり戦いやすくなる。


 おらおらおら!

 可憐な乙女による殴打をその顔に当ててやるぜ!

 世の中の男にはこれがご褒美だってやつもいるらしいぞ?


 俺は包丁を利き手で握りつつも、そちらを振らずに無手の方を振りかざし【トランポリン守兵】お嬢様に突撃していく。

 俺にしては珍しい体術……のようなものだが……


 「包丁を振り回しているあなた様に今さら言うのは手遅れな気もしますが、あえて言わせていただきますわ。

 ……野蛮ですわよ?」


 知ってるわ!

 本当に今さらだなおい!


 俺の拳による殴打をトランポリンの大盾で難なく防ごうとするお嬢様だが、それは俺も当然予測している。

 だから、こういうのはどうだ?


 「あらっ!?

 まさか……これは……こんな短時間で!?

 あり得ませんわっ!?」


 俺は殴打の勢いを急減速させ、トランポリンを触れただけですぐ離した。

 するとどうだろうか、俺の包丁による攻撃をしっかりと防いだ後に毎回崩れていたチュートリアル武器のトランポリンが触れて離しただけで、光の粒子と化したじゃないか。

 やはり、【近所合壁】というスキルのデメリットはチュートリアル武器の耐久度が最低まで落ちるということなんだろうな。

 その代わりに、好きなタイミングで、ある程度場所を選んでチュートリアル武器を何度でも召喚できるというわけだ。


 ……この予測が完全に合っているという保証はないが、この路線で考えても問題は無さそうだ。


 この予測がある程度的中したことで、俺は攻撃後トランポリンの弾力で弾かれることなく、【トランポリン守兵】お嬢様の守りを突破することに成功したわけだ。

 強い力を加えなければ、トランポリンによって弾かれる力も弱くなるからな!


 そうなれば、再びトランポリンが出現する前に本体へ攻撃を入れるだけだ。

 このチャンス最大限に活かさせてもらうぞ?

 スキル発動!【フィレオ】!


 「ああっ、そんな……

 これでは間に合いませんわよっっっ!?」


 光の粒子が集まり始め、トランポリンが再度出現しかけている最中だったが、それよりもはやく俺の包丁を握った腕は上方から下方へ振り抜かれ、もはや俺の十八番となりつつある飛翔する斬擊を撃ち放った。

 それと同時に俺の右足が【フィレオ】のデメリットでくるくると場外へ吹き飛んでいった、ははっ元気なやつだ。

 

 三日月のような形をした無色の斬擊が、トランポリン出現のために集中し始めてる光の粒子を乱しながら進行していく。


 そして俺の視界を遮っている光の粒子が霧散すると、そこには左肩から腰の右側にかけてゴスロリごとスッパリと切断された【トランポリン守兵】お嬢様の姿があった。

 あっ、左ドリルも切れてるな……こいつの代名詞ェ……


 この【トランポリン守兵】お嬢様のやられ方は遠巻きに見ると結構エグい感じになっている。

 イメージしやすいように伝えるのなら、アメリカ映画でよくあるようなスプラッターのような感じだな、最高だぜ!

 へへっ……


 身体残ってるし、ちょっとだけ傷口開いても問題ないでしょ!

 ほら、とどめ刺さないとね?


 観客席に言い聞かせるように独り言を呟きながら、ガシガシと包丁をお嬢様に突き立てていく。

 そうしてしばらくするとお嬢様の身体が完全に光の粒子となり霧散することになった。

 タンク職をやっているだけあるのか、他のプレイヤーをキルしたときよりも体感だが身体が残っていた気がした。

 まあ、何はともあれこれで俺の勝ちだ!


 さっきまで騒がしかった闘技場の観客席からの視線が、さっきまでよりも冷たいものになっていくのをなんとなく感じながら勝利の余韻に浸る。


 「これにて、一回戦最終試合が終了しました!

 勝者は……底辺種族【包丁戦士】です。

 人間性を疑うような凄まじい公開人体解剖を行ったのには、天子である私もドン引きしました、全く……これだから底辺種族は……

 倫理観はとっくに崩壊してそうですが、それでも一度目の敗北を取り返すような戦いぶり、実力を見せてくれたのには感心しました。

 これで一日目の日程は全て終了しました。

 明日の夜20時過ぎに準決勝2試合と決勝を執り行う予定となっていますので、精々遅れないように代表者プレイヤーも観客席の底辺種族も来てくださいね。

 私も微生物にかける期待くらいはしておきますので……」


 【菜刀天子】はそう締め括ると、光の粒子……とは異なる形で闘技場から姿を消した。

 会場にはそれでもなお熱気が溢れていた。






 「【菜刀天子】様~、俺をもっと罵ってくれぇ!!」


 「キャー、【菜刀天子】さま私と結婚してぇぇ!!」


 「ぬふふふ、ボキの【菜刀天子】たそはいつ見ても凛々しいですな~」


 「ヌカコポォっ!」


 「ほう言葉攻めですか、大したものですね。

 少し聞いただけでは罵倒されているように思えますが、その実、飴と鞭を使い分けているようにも考えられますね」


 「いえ同志よ、これはツンにかなり比重が置かれているツンデレなのでは?」


 「なるほどw、それもアリよりのアリw」








 ……熱気のなかに変な歓声がいくつも混じっていたのにはあえて触れないでおこう。

 


 【Bottom Down-Online Now loading……】


アンケート第二弾です。


次元戦争のメンバーについてです。


是非コメントお願いします。




https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/788051/blogkey/2491052/



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