848話 ボマ探索
昨日は2話投稿しております。
見逃している話があればそちらからどうぞ!
さて、そんなわけで俺とボマードちゃんは【ペグ忍者】&【骨笛ネクロマンサー】&【バグパイプ軍楽隊員】たちと別れて真逆の方に進み始めた。
「ほ、【包丁戦士】さん速いですよ~!
いや~、私は【名称公開】のデメリットで速く歩けないんですから置いてかないでください~!」
仕方ない、歩調を合わせてやるか。
戦況が全く読めない序盤は焦っても焦らなくても結果は変わらないしな!
むしろ、探索イベントなんだから見逃しがないようにゆっくり行くか……
「なんだかんだ理由をつけてゆっくり合わせてくれる【包丁戦士】さんって面倒見がいいですよね!
【バットシーフ】さんにもよく稽古をつけているみたいですし、そういうところたまにありますよね。
いや~、そういうギャップにコロリとやられちゃいますよ~!」
一言多いぞ!
俺がボマードちゃんや【バットシーフ】後輩の面倒を見てやっているのはあくまでも戦略的な面で必要だからと思っているからだ!
べっ、別に面倒見がいいとかそんなんじゃないからな!
言っておくがツンデレじゃないぞ!
……と、まぁボマードちゃんと話していると他愛もない会話が続いてしまうわけだが、そんな会話を続けながらも俺たちはこの四方が海に囲まれた無人島の中を探索していく。
俺が先頭となり、視界や進行の邪魔になる草を手に持った包丁で切り裂きながら進んでいるので、巨乳をたぷんたぷん揺らしながら俺の後ろをついてきているボマードちゃんは幾分か歩きやすくなっているはずだろう。
これくらい配慮してやればボマードちゃんの虚弱体質でもある程度は歩ける……はずだ。
「それにしても、邪魔な植物ばっかりですね……
いや~、宝の気配なんて全くないですよ~!
トレジャーハントじゃなくてハイキングをしている気分になってきちゃいますね!」
それには同感だ。
モンスターや他の次元のプレイヤーに警戒しながらゆっくり進んでいるわけだが、今のところただ草を切っているだけで何の進捗もないからな。
ちょっとくらいヒントがあってもいいものだが、このゲームはプレイヤーに人権のないゲームだ。
そんな配慮なんて一切ないのだァ!
ちなみにだが、ボマードちゃんって爆弾と【深淵顕現権限】以外で戦う手段ってあるか?
最近のボマードちゃんの戦闘事情をあまり把握していないから、どんな戦術やスキルを覚えたりしたのか全く把握できていない。
どうせ今は歩いているだけだから、聞いておきたくてな!
俺がそういうとボマードちゃんは表情をパーっと明るくしてニヤニヤしながら口を開いた。
「【包丁戦士】さんが私のことを知りたいなんて嬉しいですね~!
いや~、同じクラン所属ですけど一緒に戦う機会ってあまり無いですから確かにお互いに知らないことって多そうな気がします!
特に【包丁戦士】さんなんて隠し球のオンパレードじゃないですか!」
うぐっ、それは否定できないぞ……
クランメンバーにも黙っているスキルも幾つかあるからな……
【骨笛ネクロマンサー】が【深淵顕現権限】を使えることを秘匿していたような感じだ。
「私は【包丁戦士】さんに隠し事なんてしないですけどね!
いや~、【包丁戦士】さんの愛妻としての心得です!」
お前と俺がいつ結婚したんだ?
やれやれ、頭お花畑な爆弾魔ちゃんはいつでも絶好調なようだ。
「ふふふ、実は私も深淵奈落にいる【エルル】さんが出してきたユニーククエストを地道にクリアして、新しい深淵の纒い方を身につけたんですよ!
いや~、大変でしたけど今みたいに生け贄が使えない場面だとこのスキルが活きてきますよ!」
生け贄を使わない深淵を纏うスキル……
もしや!?
「そうなんですよ!
いや~、お披露目が楽しみですよ!
これもそう簡単に使っていいスキルじゃないので、ギリギリまで使えませんけどね!」
リーサル・ウェポンって感じだな。
俺が想像している通りの力ならそう易々と披露できるものじゃないけど……
「【包丁戦士】さんと違って私はジェーライトさんの深淵細胞に特化して馴染ませましたからね~
いや~、多分【包丁戦士】さんが思っているよりは安い代償で使えるみたいですよ!
それについても【エルル】さんが教えてくれました!
あのタコさんは色々と教えてくれて優しいですね!」
確かに優しいが……
ボマードちゃんの様子からして、知らず知らずルル様にハメられてないか不安になるな。
ルル様は狡猾だからな、嘘は言わないが意図的にルル様側に不利益になるような情報を言わないようにしている節がある。
ボマードちゃんが既にジェーライトに意識を乗っ取られかけているのを鑑みても、このままボマードちゃんを深淵種族の傀儡として扱おうとするのらは目に見えて分かることだ。
「えぇっ、そうなんですか!?
イャ~、ボスはよくそういうことするよナァ」
ほらほらほら、さっそく自然とジェーライトに意識を乗っ取られているじゃないか……
喋っている途中で主人格を奪われているようでは、陥落も近そうだ。
カッカッカッ、お前以外でも動かせる者がいると楽しめるからのぅ。
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