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84話 割れるチュートリアル武器

 俺の前に対峙している【トランポリン守兵】お嬢様は大盾のようにチュートリアル武器であるトランポリンを構えている。

 本来騎士様に守られる立場であるお嬢様が自ら大きな盾を持って最前線に立つって中々面白い構図だよな。

 

 とりあえず、そんな【トランポリン守兵】お嬢様の間合いが読めないので、遠距離からジェー素材で作った鞭による攻撃で牽制をしておく。

 鞭がトランポリンに当たる度に独特な防御音が鳴り響いている。

 渓谷エリアに行くための登山中にも説明したが忘れている人がいると思うので説明しておくか。

 このゲームでは何故か盾カテゴリーのチュートリアル武器で防御すると独特な防御音がなるのだ、他のチュートリアル武器……俺の包丁とかではいくら防御してもそんな音は鳴らないのにな……


 なので、この草原エリア闘技場中にその独特な防御音がテンポ良く響くことになった。

 こんなに響いていると除夜の鐘みたいだなと思ってしまうぞ。


 逆に言ってしまえば、それだけ音が響くということは俺の鞭による攻撃はほとんど防御されてしまっているということだ。

 たまーに、身体を掠めたりしているにはしているのだが、致命傷には程遠い。

 一方的に俺が攻め続けているのにも関わらずその程度の被害に抑えられるということはやっぱりトッププレイヤーと呼ばれるくらいにはある程度デキるプレイヤーなんだろ。


 ……まあ、この次元のトッププレイヤーの呼び名は実力を度外視してつけられたらしいけど。


 「あら?

 あなた様の攻撃はこの程度でして?

 遠くからの、しかもお得意の武器ではない攻撃でワタクシを倒させると思っていまして?

 あなた様のその鋭い刃でかかっていらしてよ!」


 いや、流石にこれで倒せるとは思ってなかったぞ!

 まあ、あわよくばという気持ちがなかったかと言われると微妙なんだが、実際は、あくまでも間合いの把握とか、牽制とか、ダメージの蓄積とかのためだ。


 しかし、このお嬢様の言う通りこのまま攻撃を続けていても埒が明かない。

 さぁて、このガチガチタンク職お嬢様の固い壁をどうやって乗り越えていこうか……


 そう思った瞬間俺は【トランポリン守兵】お嬢様に向かって駆け出していた。

 困ったときはやっぱ脳死突撃だよなぁ!


 「そういうところがあるから狂人とか蛮族とか呼ばれているのに気づいておりまして?

 ですが、その蛮勇気に入りましたわ!

 やはりワタクシの執事になりなさい!」


 いやですよーだ!

 そう言いながら、俺は手に持っていた鞭をボタンを押して、再度収納し包丁モードへと切り替えて包丁を手の中で握り直し、【トランポリン守兵】お嬢様の首もとを狙って切り上げるように斬擊を放った。


 俺の切り上げは【トランポリン守兵】お嬢様が手に持っていた大盾のような存在感を放つトランポリンによって防がれてしまった。

 そして、トランポリンの弾力によって腕が弾かれてしまい一瞬バランスを崩しかけてしまった、なんとかあと一歩のところで踏みとどまることが出来たのは不幸中の幸いだろう。

  ……まあ、考えなしに攻撃したらこうなるよな。


 というかトランポリンと言っても、流石はチュートリアル武器だな。

 包丁の斬擊を受けても傷ひとつつかず、俺の攻撃を防ぐだけではなくその弾力を活かしてくるとはな。

 このプレイヤーに人権のないどん底ゲーム唯一の良心と言ってもよいのがプレイヤーにそれぞれ与えられるチュートリアル武器だ。

 ゲームを開始してすぐ与えられるこのチュートリアルがゲーム内での動きを左右する面白い要素だと俺は思っている。


 それでトランポリンを得たこのお嬢様はタンク職を極めることになったのだ。

 こんな手強い相手を用意してくれたことに感謝だぜ。


 だが、そんな大きな盾を持って素早い攻撃に対応できるかな?

 今度は横に回り込んで突き、さらに45度移動して突き、さらに突き!


 今度は防がれること前提でコンスタントに攻撃でき、一度決まれば深々入れ込むことがデキる突きを選択した。


 だが、それすらもさえも防がれて防がれ、防がれた。

 ちっ、本当にこの壁が越えられないなぁ!

 手に持っているのは大盾サイズのトランポリンだけなのだが、この突破できなさは全身に頑丈な鎧を纏っているかのようだ。


 固すぎるぞ!

 だが、それでも俺にはダメージはないのでこのままいけば俺の勝ちだが?


 「そうですわね……

 それならこのような趣向はいかがでして?

 タンク職の特権スキル【近所合壁】ですわ!」


 金髪ツインテドリルがスキルを発動すると同時にトランポリンを足場にして飛び込んできた。

 

 あっ、そういえばトランポリンって本来そういう使い方するものだよなぁ!?

 トランポリンを足場にして飛び込んできたお嬢様はトランポリンを正面に構えてシールドバッシュを決めようとして来た。


 ん?なんでトランポリンで跳ねたのにトランポリンを手に持ってるんだ!?


 よく見ると、足場にしたトランポリンがパリンという音をたてて光の粒子となり消え去っている最中だった。

 チュートリアル武器は壊れないはずなのでは!?


 そんなことを考えている最中にも【トランポリン守兵】お嬢様は迫ってきているので、包丁を振り抜いて突撃の軌道を変えようとするが、手に持っていたトランポリンが先程と同様に光の粒子になって消え去っただけで突撃は止まらない。

 それをなんとかスレスレで回避し、一度距離を取ることに成功した。

 ふー、なんとか回避できたな……


 だが、俺の頭のなかでは疑問がどんどんと湧いてきている。

 なんだなんだ!?

 次々にトランポリンが出てきているのもおかしいが、それ以上にチュートリアル武器がこんなに簡単に壊れるなんてあり得るのか!?


 さっき【トランポリン守兵】お嬢様が発動したスキルにカラクリがあるのだろうが、このスキルの性質を一歩読み間違えると敗北に繋がりそうだ。

 

 ……これは思った以上に苦戦しそうだぞ……?












 情報収集を怠ったツケですよ。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

アンケート第二弾です。


次元戦争のメンバーについてです。


是非コメントお願いします。




https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/788051/blogkey/2491052/



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 52話で「チュートリアル武器の耐久力は無限だが一部の武器種類を除いて、防御に使うと独特の効果音がついてくるという変な仕様がある。  俺が包丁の腹で受け流すのを失敗したときも変な音は流…
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