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831話 進め!針樹海!

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日は【槌鍛冶士】に連れられて何処かに向かう予定だ。

 どこに行くのか不明だが、物騒な場所ということだけは何となく分かっている。

 そのために、まずは【槌鍛冶士】と新緑都市アネイブルのほのぼの市場で合流した後に目的地へと向かった。








 というわけでやってきました渓谷エリアの入口付近にある針樹海!

 かつて【トランポリン守兵】お嬢様と初エンカウントした場所でもある。


 ここは侵入する者に対して針を飛ばし続けてくる危険地帯としてプレイヤーに今もなお恐れられている場所だ。

 たしかにここは危険な場所だが、何度か越えたことはある。

 【槌鍛冶士】が大袈裟な準備をしていたが、あそこまで用意周到にしなくても良かったんじゃないか?


 「ガハハ!!!

 お前はここについて大部分で勘違いしているようだな!!!

 通り抜けるだけならさほど苦労はしないのは当然だ!!!

 それはあくまでもこのエリアの上澄みを体験しているだけなのだからな!!!」


 このエリア……?

 ここは渓谷エリア……地蒜生渓谷メドニキャニオンの一部じゃないのか?

 これまでずっとそう思っていたし、掲示板を見てもほとんどのプレイヤーは俺と同じ認識をしているぞ。

 


 「ここを通り抜けるだけならばその認識が生まれるのも仕方ないな!!!

 ここの主であるワシがいないのだからな!!!

 ワシのレイドクエストの名前を思い出してみれば分かるだろうが、ここの特徴に合致しているだろう!!!

 ワシの【上位権限】による情報操作の影響で誰も照らし合わせるプレイヤーはいなかったようだがな!!!」


 【槌鍛冶士】の【上位権限】は戦うことそのものよりも情報の書き換えや操作を行うものだったな。

 ……だが、【槌鍛冶士】のレイドクエスト名はたしか……なんだったか?


 「ガハハ、お前まで忘れるな!!!

 【鉄血森林の森人君主】だ!!!

 そして、鉄血森林という名前はこの針の飛び交う樹林と近しいものだろう!!!」


 そうそう、そんな名前だったな。

 だが、少し名前と印象が違う気がする。

 鉄血森林というよりは針樹海の方が適切じゃないか?


 「ガハハ!!!

 そう慌てるな!!!

 ワシが鉄血森林の真の姿を披露してやろう!!!

 ついて来い!!!」


 そう言いながら足元以外が巨大な盾に覆われた装備を見せてきた。

 これをどうするんだ?


 「ワシと一緒にここに入るのだ!!!

 かなり狭いが、防御力と機動性を損なわない限界がこのサイズだったから仕方ないな!!!」

 

 えぇ……

 むさ苦しいおっさんとロッカーに二人で入るような密着感じゃん、これ……

 俺の肌に【槌鍛冶士】のガッチリとした筋肉隆々な身体が押しつけられてくる。

 ……どこか安心感を覚えるような気もするな。

 体格差もあるからなおのことだろう。

 少し気恥ずかしいぞ……



 そんな俺の心情を無視して密着したまま【槌鍛冶士】が歩く方へと進んでいく。

 すると、盾に何かが連続して当たる音が聞こえてきた。


 ……これは侵入者に対して自動的に飛んでくる針だな!

 生身だと数秒立ち止まっただけでハリネズミのようになってしまうだろう。

 走り抜ければ多少の手傷で済ますことができるレベルではあるが、この遅々とした歩みの中で生きていられるのは【槌鍛冶士】の生産アイテムである全方位盾のお陰だ。


 「ガハハ!!!

 この針は鉄血森林の深部へと進む者を拒むための仕組みだ!!!

 走って通り抜けるだけの者には深追いしないが、ワシたちが向かう場所はそんな程度では済まされないぞ!!!

 この盾があるとはいえ、覚悟して進んでいくぞ!!!」


 そうして【槌鍛冶士】に先導されながらこの森林地帯を歩いていく。

 ここまでのルートは地蒜生渓谷メドニキャニオンに向かうものと完全に一致している。

 そのため、まだ攻撃が手緩い。

 【槌鍛冶士】も極力、針による攻撃が苛烈ではない道を使ってある程度進んで、その後ルートを少しずつ離れていくつもりなのだろう。


 「そうだ!!!

 プレイヤーとして活動しているワシは何度死んでも生き返ることができるとはいえ、お前以外にキルされるのは嫌だからな!!!

 ましてや、ワシが育てた仕組みにヤられてしまうのは子に反感を持たれているようで気分が悪いぞ!!!

 だからこそこうやって万全の準備をしてきたのだ!!!」


 言ってしまうのなら、ルル様が深淵奈落の深度によって死に戻りしてしまうようなものだ。

 ……それは確かに間抜けな構図だ。

 【槌鍛冶士】の今の状況ってかなりダサくないか?


 「ガハハ!!!

 それを言うな!!!

 既にワシも自覚しているからな!!!」


 そんなうるさい声を響かせながら、俺たちは針が飛び交う樹海を進んでいくのだった……








 ワシが有能すぎた結果難攻不落なエリアになってしまったぞ!!!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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