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823話 純白の鍵と純白の精神

 さて、アークエンジェルナイトを倒したんだが、本来この階層にあったはずの【失伝秘具】の【八卦深淵板】は再入手出来なかった。

 既に持っている俺がいるからだろうか?

 それともこの次元に二つ目は現れないのかもしれない。

 ……ちょっと残念だな、あわよくば二つ目ゲットとかしたかったぞ。


 「……それは、よくばり。

 つつましく、あきらめて……」


 「俺っちが手に入れられたらストックスロットを一つ【天元顕現権限】に割かなくてもよくなったッスからね……

 正直めちゃくちゃ欲しかったッス!」


 「俺はどちらでも良かったよ。

 手に入れられたとしても【バットシーフ】に渡していたさ」


 【バットシーフ】後輩以外は欲がないというか、謙虚だな……

 俺だったら自分で手に入れたものはよほどのことがない限り手放さないし、手に入る機会があれば手に入れていくスタイルだ。

 じゃなかったらムカデの脱け殻なんて集めて無かったし……


 「ムカデの脱け殻を集めて草原に持ってきていた先輩を見たときは自分の正気を疑ったッス。

 使えるものは脱け殻でも使うなんて、流石は先輩というかなんというか……」


 自分の力の糧になるものは全て取り込むのが【暴食】みたいなものだからな。


 力の糧……?

 ……あっ、もしかして既に【八卦深淵板】がここにないから守り手だったアークエンジェルナイトも弱体化していた可能性もあるな。

 ここの階層の重要度も下がっているから、リソースをそこまで割く必要がないからだ。


 「あー、あり得そうッスね!

 冒険者ギルドのダンジョンも似たようなことがあるって【裏の人脈】の情報網で聞いたことあるッス。

 あっちは設置されてる宝箱を開けたかどうかが基準みたいッスけど……」


 「ダンジョンを周回している俺とフェイちゃんは既に知っていたよ」


 【ま、まぁ……?】


 いや、【フェイ】は首を傾げてるじゃないか!?

 絶対知らなかっただろお前……

 こんなところでわざわざ見栄を張らなくていいのにな。

 ……どうせ【フランベルジェナイト】の前ではいい子ぶりたいってところだろうがな!


 【余計なお世話ですよーだ!】


 【フェイ】は不機嫌そうに目を細めながら俺に舌を突き出してきた。

 

 こらこら拗ねるな!

 自分の身勝手さを見せられているようで少し気味が悪いぞ……

 自分と瓜二つの顔だから尚更だ。






 「……【包丁戦士】、これ。

 あとで、つかう、持っていって……」


 そんな会話を繰り広げていると【ミューン】が何かを拾ったようだ。

 そして、【ミューン】は俺に向かって拾ったもの……純白の鍵を投げてきた。

 これは何だ?

 

 「……あーくえんじぇるないとが、おとした

 これで、さきに、すすむ……」


 そう言って【ミューン】が指差した方を見ると、錠がかけれた三メートルほどの扉が現れていた。

 【ミューン】から渡された鍵同様に全体的に純白で、黄金色の装飾がところどころ散りばめられている。

 【菜刀天子】の趣味とは少し違うが、傾向は似ているな。

 次元天子たちの平均的な趣味嗜好の傾向から作られたものに違いない。


 そんな扉には錠がかけられているだけあって、どれだけ押しても開くことはなかった。

 やはり、ゲートキーパーを倒して手に入れたこの鍵を使って進むことが出来るような仕組みらしい。


 だが、前回来た時にはこんな鍵はドロップしなかったぞ?

 

 「フェイちゃんはその時鍵じゃなくて【八卦深淵板】を手に入れたからじゃないかな?

 一回目の踏破は強制的にこの階層で打ち止めになるって可能性はあるよね」


 【菜刀天子】は全く説明してくれてなかったが、それはあり得るな。

 前回はこの階層そのものが【八卦深淵板】で形成されていたから、ダンジョンの続きが封鎖されていたのだろう。

 実に嫌らしい仕組みだ……


 「でもこれで進めるッスよね!

 少し休憩したら11階層に進みたいッス!

 このペースなら案外行けそうじゃないッスか?」


 「でも君はそうやってすぐに油断して死に戻りするよね。

 その癖は治した方がいいと思うよ」


 「うぐぐ……胸が痛くなるような指摘ッスね……」


 まあ、【バットシーフ】後輩の悪い癖だよな。

 調子が上がってきたと思ったらいつの間にか死んでることもざらにある。


 「フェイちゃん、そんな【バットシーフ】のことは置いておいて、その鍵を使って先に進もうか!

 この先でどんな困難が待っていても俺は君を守るよ!」


 そう言ってくれた【フランベルジェナイト】の言葉はありがたいが、この鍵を使うのは少し考えさせてくれ。


 「えっ、どうしてッスか!?

 もしかしてここで諦めて帰るとかッスか!」


 待て待て慌てるな。

 誰もそんなことは言ってないだろ?

 ちょっと面白そうなことを思いついただけだ。


 出来るかどうか不明だが、きっと面白いことになるぞ!

 

 「先輩がそういう顔をするときって大概ろくなこと考えてないッスよね……

 嫌な予感しかしないッス……」







 ……!?


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 包丁戦士のできることって言ったら深淵に汚染することくらいしか思いつかない…【夢幻銀鍵】とかを使うのかな?
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