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82話 第三試合とシルバーを巻いたり巻かなかったりする男

 いやぁ、見た目的には【釣竿剣士】が押していた試合だったが、それでも中々手に汗を握るバトルだったと思う。

 

 ちょっと考察もできたしな。

 

 次の試合もこれくらい見ていて有意義なものなのを期待するぞ!




 おっ、試合が始まるようだ。

 フィールドに2人のプレイヤーが転送されてきた。


 一回戦第三試合は、渓谷エリア代表【風船飛行士】VS荒野エリア代表【短弓射手】だ。

 さっきまでの試合とは別ブロックの試合なので、この対戦で勝った方と俺が戦うことになる……かもしれない。


 戦い方が不明で、やけに俺に敵意を向けてくる東のトッププレイヤー【風船飛行士】の戦いをこの場で見れるのはでかいな。

 初見で奇想天外なことをやられたら対策しようがないし……

 ましてやチュートリアル武器が風船という攻撃方法が全く想像もつかないネタ武器だ、あれで勝ってくるプレイセンスをこの目に焼き付けるとしよう。


 その【風船飛行士】の対戦相手は隠しエリアである荒野エリア闘技場代表の【短弓射手】だ。

 不機嫌そうな表情を浮かべたその顔にはちょっと引いてしまうが、多分あのおっさんのデフォルトの表情なんだろう。

 それかガチガチに緊張しているか……だな。

 まあ、ここまで勝ち上がってきているプレイヤーで、しかもちょい渋おじさんってことならそんなことはないと思う。

 ああいう、いかにもデキそうなプレイヤーをキルできたら楽しいだろうなぁ!



 試合が始まると同時に【風船飛行士】は風船を手に持って宙に浮き上がり始めた、俺と戦ったときのような立ち上がりだが、前と同じならそのまま引き分けになるぞ……?


 そう思っていたが、こいつの対戦相手はこの代表戦では数少ない遠距離攻撃特化のチュートリアル武器を持ったプレイヤーだ。

 抜け目なく宙に浮き上がり始めた【風船飛行士】の身体を狙い弓を連射している、あっ、足に矢が刺さったな。

 序盤からわりとデカイ攻撃をもらうのは中々きついぞ。


 【風船飛行士】が勝ち上がってきたのは、このイベントがタイマン仕様だったからだろう。

 一対一の対戦ではどうしても遠距離攻撃武器は間合いを詰められやすく、接近戦闘ができる武器の使い手が勝ち上がりやすい。

 なので、結果として遠距離攻撃武器の使い手は元々参加比率が低かったのだろう。

 だからこそ空を飛ぶことができる【風船飛行士】は一方的な試合運びができたに違いない。


 だが、今回は逆に【短弓射手】がガンガン押している形になっている。

 狙いこそぶれることもあるようだが、それを上回るほどの数を連射して弾幕を張っているので着実にダメージを与えている。

 そのダメージを受けている【風船飛行士】はその攻撃に対してなにもせず、ひたすら風船で浮かび上がり続けているだけだ。


 ……おいおい、本当に飛ぶだけなのかアイツは!?

 

 そう思っていたが、弓の射程から外れかけるところで上昇が止まった。

 その時点で身体に矢による擦り傷や、身体に矢が直接刺さっている部分がいたるところにできているので満身創痍と言ってもいいだろう。


 この短時間であそこまでダメージを与えることができる腕前は流石としか言いようがない。

 やはりあの不機嫌おじ様、キルしたい!!


 そんなことを考えていると、【風船飛行士】がなにやらキナ臭い動きをし始めた。

 なんと、腕に巻いていたシルバーを口に運び丸呑みしたのだ。

 ……!?

 いや、それ食べ物じゃないぞ!?

 金属を丸呑みするという奇妙な行動に闘技場にいる観客席のプレイヤーたちは皆例外なくドン引きした表情を浮かべている。


 だがそれに対して、シルバーを丸呑みしたチャラ男の表情は自信満々だ。

 ……どうやらただの狂ったヤケクソ行為ではないみたいだ、さあ、どんなものを見せてくれるんだ?


 「こ……まで……ってきた……を見せてや……よwww

 ability【銀盃羽化】……それに加……て……を発……!」


 上空にいるはずの【風船飛行士】の言葉が聞こえるのはありがたいが、絶妙に途切れ途切れなのがなんとも残念だ。



 というかability【銀盃羽化】だと?

 やっぱりアイツもabilityを持っていたか。


 腕に巻いていたシルバーを呑み込んだ後、【風船飛行士】の眼前に銀色の杯が現れた。

 羽のような装飾がされており、その装飾が目立つことなく杯そのものを引き立てているという見事な代物だ。


 その杯を【風船飛行士】が手に取ると、今までの戦闘模様が一転して不可解な現象がおき始めた。


 【短弓射手】の放っていた矢が一定の距離を進むと、銀色の羽のようなものが生え、進路を180度変えはじめているのだ。

 どれだけ連射を繰り返しても、それは変わらず【短弓射手】は自らが放った矢によってダメージを受けることとなったのだった。

 

 不意にそんな超常現象が起きてしまったからか、回避が大幅に遅れて喉元に矢を受けて【短弓射手】は光の粒子となり闘技場のフィールドから消え去ることとなった。


 つまり【風船飛行士】の勝利に終わったということだな。

 アイツ、勝ったのになんか顔色すごく悪そうだけど大丈夫か?

 今にも倒れそうなくらい顔色が紫へ変色している……ように見える。



 それにしても、ability【銀盃羽化】か。

 唐突にあんな現象が起きたら初見殺しにも程があるな、先に見れていて良かったぞ……

 だが、abilityの字面からなんとなく効果は予測できそうだ。

 銀盃羽化というのは中国の故事で、縄で結ばれたままの箱の中身である銀の杯が使用人に盗まれたことに気づいたが、銀の杯に羽が生えて飛んで行ったのだろうと言って、使用人を咎めなかったという逸話が元になっているものだ。

 ものを盗まれるという意味で使われているな。


 銀製品の消失がトリガーなのか……?

 だとしても効果に違和感は少しあるのだが……

 そもそも銀の杯現れてたし……

 うーん、とりあえず詳しい条件や効果は分からないが、下手に遠距離攻撃をしようとするとあのabilityで返り討ちにあうはめになるだろう。


 つまり攻撃が届かなくなるくらい高く飛ばれる前に勝てばいいってことだ!(思考放棄)

 短期決戦、速攻戦術ってことだろ上等じゃないか!

 

 次の試合に勝ってアイツをこてんぱんにやっつけてやるぞ!










 ability……ですか……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

アンケート第二弾です。

次元戦争のメンバーについてです。

是非コメントお願いします。



https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/788051/blogkey/2491052/



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