813話 ボマードちゃんの反応
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
ルル様からは【世界剣種】を探せと言われたが全くのノーヒントのためしばらくはブラブラしながら情報を集めようと思う。
というわけでやってきました新緑都市アネイブルにあるほのぼの市場!
そこで食材を物色していると……
「あっ、【包丁戦士】さんじゃないですか!
いや~、こんなところで会うなんて運命的ですよね!」
後ろから声をかけてきたのはタンクトップロリ巨乳のボマードちゃんだ!
文字通り胸を弾ませながらやって来たが、アバターが虚弱なだけあってすぐに息切れしていた。
ちなみにだが、俺やボマードちゃんは新緑都市アネイブルを活動拠点にしているためここで会うのは大して珍しいことではない。
これだから頭お花畑の爆弾魔は……
「唐突に辛辣になりましたね!?
いや~、でも【包丁戦士】さんのそんな切り返しが好きなんですけどね!
いつ会ってもこの気持ちは変わらないですよ~!」
やれやれ、相変わらず元気なようで何よりだ。
悪魔の侵攻作戦の時には一度共闘しただけだったが、あの時は【モップ清掃員】の注意を惹き付けてくれていたから地味に助かった。
クラン【検証班】はボマードちゃんや【バットシーフ】後輩を特に警戒していたようだったからなおのことだ。
「ええっ、そうだったんですか!?
いや~、私の魅力に気がついちゃいましたか~
私って可愛いですから仕方ないですよね!
あっ、もちろん【包丁戦士】さんも可愛いですよ!!」
いや、別にそんなフォローされても反応に困るんだが……
流石に俺よりはボマードちゃんの方が愛嬌があって可愛いのは客観的に見て一目瞭然だからな。
このゲームでアイドルとして人気を集めているボマードちゃんが可愛いということの証明でもあるからな。
一方俺はプレイヤーキラーで言動が粗野だからな。
いくら俺が可憐な乙女だとしても総合力ではボマードちゃんの方が上である。
「えへへへへ……
いや~、【包丁戦士】さんに素直に誉められることって滅多にないので照れますね!」
アメとムチみたいなものだろう。
俺がボマードちゃんに対して辛辣なのは今に始まったことではないからな。
ボマードちゃんとはもはや共依存の関係なんじゃないかとすら思えてくる。
「そんなDV夫婦みたいな……
いや~、とうとうカップルを越えちゃいましたか!」
今のでそう捉えるとは、流石は頭お花畑……
ここまで来ると何でもありな気がしてきたぞ。
「あっ、そういえば【包丁戦士】さんはここで何をしていたんですか?
いや~、やっぱり料理の食材集めですか!」
……まあ、間違ってはないが。
一応この前のグランドクエストで流れた【世界剣種】についての情報を集めている最中なんだが、全く手がかりが無いから食材を買いながら聞き取り調査をしていたわけだ。
「そーいえばそんなのもありましたね。
いや~、私に関係無さそうだと思って半分スルーしてましたね……
だって私剣なんて持てる身体じゃないですし」
ボマードちゃんは【名称公開】のデメリットで常にデバフがかかった状態だからな……
スキルを取得してから多少緩和されたとはいえ、爆弾より重いものを振ったりすることは出来ないだろう。
あの拡散スイカの種を利用した爆弾はかなり軽いからボマードちゃんでも投げられる親切設計だ。
【槌鍛冶士】に感謝だな。
「【槌鍛冶士】さんには感謝してますね!
いや~、戻ってきてくれて本当に良かったですよ~!」
まあ、俺の相棒だからな。
戻ってきてくれるとは思っていたさ。
……っと、相変わらずボマードちゃんと話していると話が脱線していきそうになるな……
まあ、ボマードちゃんも【世界剣種】について何か分かったら俺に教えてくれ。
「分かりましたよ!
いや~、とはいっても私が先に情報を手に入れることは中々ないですけどね~
【包丁戦士】さんの方が活動範囲が広いですし」
確かにボマードちゃんの言うように俺の方が活動範囲は広いかもしれない。
だが、俺に情報を吐いてくれるようなやつは一握りしかいない。
ボマードちゃんならアイドルファンのプレイヤーから何か聞き出せるかもしれないだろ?
「あっ、言われてみればそうですね!
いや~、流石【包丁戦士】さん!
今度のライブでさっそく聞いてみますよ~
でもあんまり期待しないでくださいね?」
まあ、ぼちぼち待つとするさ。
今回はそんなに焦るような案件でもなさそうだから、気長に行くつもりだ。
もう少し焦ってもらってもいいのだがのぅ……
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