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807話 燃えるような案件

 そうだ!

 炎の力を使ってきているから【燃焼】系統の力の使い手だと思っていたが、今の【クシーリア】は【堅牢山の炎帝鳥】……朱雀であるのと同時に【極彩砦の鮮焔凰】……鳳凰なのだ。

 元々得意だった【燃焼】に加えて別のレイドボスの特技を使いこなせるようになっていてもおかしくはない。


 つまりだ、【極彩砦の鮮焔凰】は【生命花】系統の力で再生を繰り返しているに違いないっ!

 だから【大罪魔】の圧倒的質量攻撃も回復が間に合ったってカラクリだろう?


 

 【分かったり分からなかったりする……】


 【私に対抗するために力を重ねてきたの?】


 【それは強欲だったり傲慢だったりする……】


 【でも、考え方は気に入ったの!】



 そりゃそうだろうな。

 【大罪魔】が今の【クシーリア】の状態を気に入るのは、【大罪魔】の現状を知っている者からすれば納得だろう。

 なにせ、【大罪魔】は自らの破損していたデータを俺が集めてきた力を使って修復上書きをしたんだからな!

 今使っている【強欲】の力だって俺が次元戦争で【石動故智】からパクってきたものだ。

 だからこそ、今の【クシーリア】と【大罪魔】は何か通ずるものがあるのかもしれないな。



 「あっ、【包丁戦士】!

 ちょっと手伝ってほしいんだけど。

 こっちに来てくれない?

 どうせあの【大罪魔】と【クシーリア】の戦いに割って入るなんてできないし、暇でしょ?」



 ……事実なんだが言い方ってもんはないんだろうか?

 【大罪魔】と【クシーリア】の応酬を傍観しながら分析をしていた俺を暇と見たリデちゃんが大声で呼びかけてきたのだ。 

 そうしてリデちゃんの方へと歩み寄っていくと……



 「ほらほら、これ見てみなさいよ!

 【戒焔剣レヴァ】が落ちてたんだよね!

 もうビックリだよ……」


 ……!?

 っ【戒焔剣レヴァ】だと!?

 どうしてこんなところに……

 岩肌を焦がしながら地面に横たわるようにして棒状の炎塊……【戒焔剣レヴァ】が俺とリデちゃんの目の前に落ちていたのだ。

 

 何で落ちてるんだ……



 「私はユニーククエストの関係で【戒焔剣レヴァ】をずっと目で追ってたんだけど、変身してから爪で【戒焔剣レヴァ】を持っていたでしょ?

 それがさっきの鉱石武器の雨で打ち落とされたんだよ」


 あー、なるほどな。

 【クシーリア】もレイドボスと化してからは【戒焔剣レヴァ】を使ってなかったから意識が薄くなっていたのもあるか。


 

 「それで、せっかくここに【戒焔剣レヴァ】があるんだから装備しちゃおうと思ったんだけど……

 見てよこれ……」


 リデちゃんが見るように促してきたのは、リデちゃんの左手だった。

 その左手は手首から先が溶け落ちており、その断面も焼かれている様子である。

 ……もしかして、【戒焔剣レヴァ】を手で握ろうとしてこうなったのか?


 「そうなんだよ!

 せっかく目の前にあるのに持てなかったら意味ないよね……

 奇天烈な【包丁戦士】なら何か変な発想で解決してくれないかな~と思って呼んだわけよ」


 奇天烈ってお前……人のことを何だと思ってるんだ……

 だが、俺自身はリデちゃんよりも炎耐性が低い身体になってしまっている。

 おそらくだが、俺が【戒焔剣レヴァ】を握った瞬間には全身が燃え尽きてしまうに違いない。

 それくらい俺は炎に対して自信がないんだ。


 「別に【包丁戦士】が握る必要はないよ!

 私のフレイムギアに装備さえ出来ればいいんだから」


 とは言っても、誰かが持ち上げてフレイムギアに取り付ける役目がいるだろう。

 どうしたものか……






 俺がそう悩んでいるとこのタイミングで山頂に上がってきた存在の気配を感じた。

 この気配……もしやっ!?


 「ガハハ!!!

 待たせたな、ワシがやって来たぞ!!!

 ワシは誰と戦えばいい!!!???」


 そう、俺の相棒であり一心同体と言っても過言ではないガチムチのおっさん……【槌鍛冶士】だっ!

 こんなジャストタイミングで来てくれるとは流石俺の相棒だ!

 ちょうどお前の手を借りたかったんだ、さっさとこっちに来い!

 早くしろ!


 「ガハハ!!!

 誉められたと思ったら急に辛辣になったな!!!

 それでこそ【包丁戦士】だ!!!

 ……これは【失伝秘具】【戒焔剣レヴァ】か。

 これをあの赤い機戒兵に装備させようとして悩んでいたというタイミングでワシが来たということだな!!!」


 流石俺の相棒、理解が早すぎる!

 1を言えば10を理解する関係とはこのことだな。

 

 「【戒焔剣レヴァ】のことを事前にワシの鍛冶場に説明されていたからな!!!

 ……さて、ワシお手製の対炎用の手袋をハメれば……ほれこれで持てるようになったぞ!!!」


 【槌鍛冶士】は真っ赤な手袋を筋肉隆々なその手にハメて、地面に横たわっていた【戒焔剣レヴァ】を持ち上げることに成功したのだ!

 なんというスピード解決……

 あとは取り付けるだけだな。


 「ガハハ!!!

 少し待っていろ!!!

 ……なるほど、この対炎機構がベースでここに溝があるということはここを捻って押すことを想定しているな!!!

 だからこそこの突起を引っ張って……」


 「このオジサン、自分の世界に入り込んじゃったけど大丈夫なの?

 【戒焔剣レヴァ】を持てる生産アイテムを出した時には驚いたけど、機戒兵の改造を手動で成功させた例なんて聞いたことないんだけど……」


 そういえばウインドウ画面で改造パーツを装着できるって掲示板で見たことがあったな。

 あれは選ぶだけで自動に装備が切り替わるから直接弄る人も少なかっただろう。

 それでも一部の物好きは触ったんだろうが、失敗したというわけだな。

 ……だが、人智を越えた技量を持つ【槌鍛冶士】ならばやってくれる!

 俺はこいつを全面的に信頼しているからな!


 「ふーん、【包丁戦士】にしてはやけに他人を誉めるよね?

 ……【槌鍛冶士】のことが好きなの?」


 最高の相棒だからな!

 こいつ以上に無条件で信頼出来るやつは他に現れないと確信しているほどだ。


 「そういう意味で聞いたんじゃないけど……

 まあ、【包丁戦士】のことをそんなに知っても怖いしこれくらいで止めとこ……」






 ガハハ!!!

 久しぶりに燃えるような案件が回ってきたな!!!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] この槌鍛治士、ウッキウキである
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