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804/2204

804話 スクランブル交差点

本日2話目の更新となります。

前の話を読んでいない方は前の話からどうぞ!

 満を持して登場した【邪神像】だったが、どうにも様子がおかしい。

 前に戦った時にはもう少し活発的に動いていたはずなのだが、今回はどうも鈍い気がする。

 

 「……やっぱり【包丁戦士】さんはすぐに気がつきましたね?

 そう、この【邪神像】は2つの理由があって前回よりは弱くなっているよ。

 まず一つ目はこの場所の深淵の気配が薄いってことだね。

 深淵の黒い霧を発生させていた深淵獣がここまで進出していないから当然ですけど。

 そしてもう一つは……【包丁戦士】さんに壊された部分の修理が終わってないからですよ!

 【包丁戦士】さんからパーツの供給が無くなったので応急処置だけして動かしていますからね」


 そりゃ納得だ。

 【邪神像】は今俺が知っているテイムモンスターの中でもトップクラスに強力なスペックを有しているが、動力となる深淵の黒い霧が外部から取り込めなければダメなんだろうな。

 前の機戒兵VS深淵獣のユニーククエストの時には無限湖沼ルルラシア全体に深淵の黒い霧が発生したのでフルスペックだったというわけだ。



 そして故障部分については……自業自得だな!

 勝手に俺から距離を取ったんだから、諦めてもらわないと。

 【蕭条たる百足壁】の脱け殻が欲しければ、俺に完全勝利するか俺の軍門に下るかどっちか選べよな!


 「当然、完全勝利させてもらいますよ!

 そのために準備してきたのだからね」


 ……とは言いつつも、【邪神像】は鈍重で壁にしかなっていないのであくまでも【クシーリア】の援護が目的だろうな。

 【戒焔剣レヴァ】を持った【クシーリア】は瞬間移動する砲台のようなものだ。

 流石は【素早さ】に長けた元レイドボスと言えるだろう。


 「そういうことよ!

 あの邪魔なムカデの模造品があっても美麗な私のスキル……【渦炎炭鳥】と、私が自らこの山頂に展開した【聖獣結界ξ】があれば、この戦場のどこであっても一瞬にして移動できるわ!」


 そんなことを言いながら俺の真横にスキル【渦炎炭鳥】で瞬間移動してきた【クシーリア】。

 【クシーリア】は【戒焔剣レヴァ】を横凪払いの要領で振り抜き、地面に水平な炎の柱を生み出した。

 それをまるでブリッジでもするかのような勢いで背をそらしてかわしていく。


 「まるで曲芸ね?

 私のように【渦炎炭鳥】で逃げられたら楽だったわね?

 ……叶わない妄想の話のことだけれども!」



 そう、本来なら俺たちも【クシーリア】同様にここで【渦炎炭鳥】を使い瞬間移動を連発できるはずなんだ。

 なのにも関わらず使ってるプレイヤーがモブプレイヤーも含めてごく一部しかいないのは……


 「私が制限したのよ!

 この私が主役のユニーククエストで、お前たちのような底辺種族上がりのモノたちに【聖獣結界ξ】の効果を使わせてあげるわけないわ。

 神聖な【聖獣結界ξ】が瀆されてしまうもの」


 「やっぱりそんなことだろうと思ったねぇ……

 他のプレイヤーたちもそれを警戒して【渦炎炭鳥】を温存させていたけど、オジサンの読み通りだったよ!

 これが年長者の勘ってものさ」



 【短弓射手】っ!?

 いつの間にそんなことをモブプレイヤーたちに吹き込んでいたんだよ……



 「お嬢ちゃんが【クシーリア】や【検証班長】と何やら話している間に伝令をしたのさ。

 言葉を伝えるだけならオジサンが直接やら無くても広める方法はいくらでもあるんだよねぇ……

 オジサンみたいに楽に行動する方法を覚えると、お嬢ちゃんもプレイスタイルが広がるはずだよ」


 「【包丁戦士】さんはこのままでいいですよ。

 今のスタイルこそ【包丁戦士】さんが包丁次元を一位になるほどまで導いたんだからね」


 おうおうおう!

 【短弓射手】が俺にアドバイスをしたと思ったら、それに突っかかるように【検証班長】が俺に今のままでいいと語りかけてきた。

 俺のため(?)に二人の男が争っている様子を見ると、俺が乙女ゲームの主人公なんじゃないかと思えてくるような錯覚がしてくる。

 モテる女は辛いってやつだな!


 

 そして【検証班長】は【短弓射手】へと口だけで突っかかったのではなく、行動にも表れていて……


 「【邪神像】っ、【短弓射手】さんを囲い込んでください!

 援護射撃を物理的に封殺します!」


 【検証班長】は【邪神像】を操りムカデの巨体で【短弓射手】を360度包囲したようだ。

 このムカデは動きが遅いとさっきも言ったが、遅くても【短弓射手】を囲い込めたのは【検証班長】がこの場面を初めから想定していたからだろうな。


 少しずつ【短弓射手】を囲い込めるようにとぐろを巻かせて範囲を狭めていったという恐ろしいまでの先見の明だ。

 やるじゃないか【検証班長】っ!


 「まだまだ本番はここからですよ」


 「【検証班長】を誉めてないでオジサンを助けて欲しいねぇ……」


 「オジチャン情けないよ……?」


 「醜い争いね。

 早く私の美しさに跪いてほしいわ」


 こらこらこら!

 一斉に喋るな!

 聞き分けるのが面倒だろ!!!







 面倒だったり、面倒じゃなかったりする……

 そろそろ到着なの!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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