8話 病弱美少女アイドル爆弾
【Raid Battle!】
【兎月舞う新緑の主】
【荒れ狂う魚尾砲】
【レイドバトル同時発生につき難易度が上昇します】
「今日もログイン!
おはよう!」
ログインはジェーさんへの挨拶から始まる。
「今日は新兵器改を御披露目だ!
刮目せよ、これが俺の包丁捌きだ!」
頭上で鞭をブンブン振り回しているが、前回と違いその先には包丁がついている。
これを回し続けたら接近するジェーを牽制、もしくはダメージを与えることが可能かもしれない!
「^^ЖЖЖ#//≠::†Ж」
自分由来の装備に今までよりも苦戦させられているのが気にくわないのか、隙を探ろうとして接近を繰り返してくるが、勢いに乗った包丁のダメージをくらい更に警戒心を持ったようだ。
ミュー素材である抜け毛の弾力性、伸縮性を活かした鞭のお陰で攻撃範囲も回すほど広がっていくし、タイミング良く手を離すと真っ直ぐ飛んでいくから結構深くまで包丁が刺さるようになってきた。
回せないときは今まで通り包丁の腹で受け流す戦法を使用している、衝撃を受け流せれば一応ガード出来ないことはないのだ。
ようやくバトルっぽくなってきたぞ!
包丁を振り回すっていう意味不明な戦いかただが……
その後、時間をかけてジェーにダメージを与え続けたが、最後にはダメージレースに押し負けて死に戻りをした。
ちょっと行けそうな雰囲気出してたのに残念だ。
「いや~、突然目の前に包丁を持った人が現れるのはいくらVRでも慣れませんよ……」
今回死に戻り先として選んだのはボマードちゃんのところだ。
【名称公開】のデバフ進捗を確認しに来たってわけね。
「デバフどんな感じになってる?」
そう聞くと、恥ずかしいのか頭を手で押さえながら照れている。
いやっ、何か言ってくれ。
しばらくこっちもあえて何も言わずに待っていると、流石に気づいたのか口を開き始めた。
「いや~、実は【検証班長】さんが私の知名度を上げるために色々考えてくださった結果、アイドルをやることになったんですよ!
正直恥ずかしいですが、皆さんヒートアップしてしまって断るにも断れなくて……」
あ~、これは検証のためというよりも検証班の中に熱心なアイドルオタクが居たな、多分。
この爆弾魔のスタイルはジャパニーズアイドルに間違いなく向いている。
いわゆるロリ巨乳体型だし、VR効果で顔も美少女になっているからな。
いや、現実の顔とか知らないけど……
体型については文句なしのボマードちゃんだが、アイドルをやるに当たってどうしても避けては通れない1つの障害があるはずだ。
「アイドルやる分にはいいと思うが、身体機能にデバフがかかった状態で歌ったり踊ったりできるのか?
歩くのもキツくなってきてるって前に言ってた気がするんだが」
「いや~、もう踊りはキッパリ諦めて歌と握手会でファンを獲得する方向に動いてますよ!
握力も低下してきているのでもう握り返せないですけど……」
おいおい、なんという苦行をこの娘にやらせるんだ【検証班長】!
本人が承諾しているので俺からはなんとも言えないが、それでいいのか……
「いや~、デバフ病弱アイドルとして、握手をするよりもしてもらうっていうのは病弱さを知ってもらうのに中々美味しい方法だと思いませんか!!」
「お、おうっ、そうだな……」
これは多分本人が提案したやつだな……
なんという強かさ……
「強かさで結構、私はこのまま最弱体美少女プレイヤーとして皆さんに守ってもらいますから!」
「いや、強いのか弱いのかどっちなんだよ!」
思わず片手を出して突っ込んでしまった。
デバフのかかりすぎで、ツッコミの勢いによる死に戻りをした病弱美少女プレイヤーが居たとか居なかったとか。
【Bottom Down-Online Now loading……】
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