796話 大集合
本日二話目の更新となります。
前の話を読んでいない方は前の話から読んでいただくようにお願いします。
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は【第三クシーリア砦】で【短弓射手】やリデちゃんと集合する約束になっていたな。
【短弓射手】は寛容だがリデちゃんを待たせるとグチグチ言われそうなのでさっさと向かうとしよう。
というわけでやって来ました【第三クシーリア砦】。
昨日【短弓射手】が予想していたように砦は壊滅状態に陥っていた。
「【包丁戦士】遅~い!
結構待ったんだからね!」
「オジサン的にはちょうどいい時間だと思うけど、若いと時間の流れが違うのかねぇ?
歳っていうのは残酷だ……」
勝手に黄昏ている【短弓射手】と、それを気にすることなく俺を責めてくるリデちゃん。
あーあ滅茶苦茶だぞ……
トッププレイヤーたちとの決戦前っていうのになんという纏まりのなさだ。
「とは言っても、トッププレイヤーって呼ばれている中だったら【風船飛行士】以外ならオジサン互角に近い状態で戦えると思うけどねぇ?
【トランポリン守兵】や【釣竿剣士】のお嬢ちゃん方相手なら、前衛が相手の接近さえ防いでくれたらオジサンの乱射で抑えきれるはずさ」
【釣竿剣士】を抑えきれる前衛っていうと相当に限られてくるが、守りがメインの【トランポリン守兵】相手なら二つ名持ちプレイヤーであれば最低限時間稼ぎは出来るだろう。
「そうだろうねぇ……
ただ、【風船飛行士】だけはオジサンの天敵だから絶対に割り込ませないで欲しいかな。
闘技場イベントの戦いをお嬢ちゃんを見たはずだけど、オジサンの矢が【風船飛行士】のability【銀盃羽化】で操作を奪われるからねぇ」
【短弓射手】にとって致命的なメタabilityを持っている相手がいるのは非常に良くない。
それなら俺が【風船飛行士】を受け持つしかないじゃないか。
俺と【風船飛行士】の相性は……まぁ、【短弓射手】と比べたらマシだからな。
やれることは多いだろう。
「そうなると私は【トランポリン守兵】が相手かな?
オジチャンと二人で組んで追い詰めるいつもの戦法でいくわよ!」
消去法で行くとそうなるな。
だが、予想外の出来事というのは不意に訪れるものだ。
そもそも、敵として出てくる可能性のあるプレイヤーはまだまだ何人も候補としている。
俺たちが知らないタイミングで離脱や敗退している可能性も充分に考えられるが、そう楽観的に考えるのは非常に危険だ。
「そうだねぇ……
ここまでで見てない要注意なのは昨日も言ったプレイヤーを含めると【風船飛行士】、【トランポリン守兵】、【釣竿剣士】、【トンカチ戦士】、【虫眼鏡踊子】、【バグパイプ軍楽隊員】か」
まあ、あと一人いるにはいるが戦力として考えなくてもいいか。
性格からしてここで顔を出してくる可能性もあるが、俺の直感だが恐らくは……いや変な予想は止しておこう。
実現してしまったら面倒なこと極まりないからな!
そんなこんなで到着した【第四クシーリア砦】。
そこでは【短弓射手】と事前に予想したメンツがきっちり俺たちを待ち構えていた。
「ちょっwww
【包丁戦士】くたばって無かったのかよwww
面倒くさすぎワロタ……ワロタ……
その貧乳では夜の役割は持てないンゴねぇwww」
盛大に俺を煽ってきた鬱陶しい喋り方のこのセクハラ男は【風船飛行士】。
今回【短弓射手】の天敵となる男である要注意人物だ。
「皆様、お待ちしておりましたわ!
この大舞台にワタクシが立てるのは嬉しいことですが、負けませんわよ!
クランの長としてここに立っておりますもの!」
堂々とした出立ちで待っていたのは金髪ツインてドリルのお嬢様プレイヤー……【トランポリン守兵】お嬢様だ。
トランポリン大量錬成による自由自在の防壁がタンクプレイヤーの先頭を行く者として大きな力となっているプレイヤーだな。
「私は当然【包丁戦士】さんが上がってくると信じていましたよ。
生産プレイヤー仲間ですからね!」
謎理論で俺がここに来ることを信じていたのは頭に青い花飾りを付けた女プレイヤーの【釣竿剣士】だ。
異世界の超技術を引っ提げて戦うその様子に恐れおののくプレイヤーは多いはずだ。
もちろん俺もその一人だ。
そんな面々が揃う中、【風船飛行士】の後方にはその彼女である【虫眼鏡踊子】が、【トランポリン守兵】お嬢様の後ろには【バグパイプ軍楽隊員】が支援要員として備えていた。
こっちから直接攻撃したりするのには難しいポジションにいるが、戦闘中に落としたいところだ。
さらにその奥を見てみると、既に戦闘を始めている二人のプレイヤーたちがいた。
……あれは【フランベルジェナイト】と【トンカチ戦士】だな!
これまで何度もイベントで戦ってきたから今回も因縁の対決としてお互いに待ち望んでいたに違いない。
その気持ちを汲んでか、既に戦闘が始まっているのにも関わらず横槍を入れるやつは一人もいないのがその二人の熱意の表れと言ってもいいかもしれない。
「あちらはお二方で戦っていただきますわよ。
ですが、こちらも含めてクランリーダーたちが集っておりましてよ?
いくら【包丁戦士】様の武勲が優れていようとも、この差は埋められないのでして?」
まあ、援軍は来るさ。
ほら見てみろよ!
「ククク……漆黒闇が我輩をここへと誘ったのだ!」
「んあ?
俺たちも加勢する」
「ふひひっ、遅れましたぁぁぁ……」
【黒杖魔術師】と【軍刀歩兵】、そして【骨笛ネクロマンサー】もやってきた。
これは面白くなってきたぞ!
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