779話 四大罪激突劇
【綺羅星天奈】の放った大罪スキルは【虚飾栄光】。
拳でスキルを跳ね返すことが出来るという脳筋タンクプレイヤーもビックリなスキルだ。
これで黒炎を殴り攻撃を凌いだようだな。
【ロイス=キャメル】が放った大罪スキル【色欲妖幼】はステッキからピンク色のビームやエネルギー弾を放つことが出来るようになるスキルだ。
かつて俺の【魚尾砲撃】を押し勝ったほどの出力を効果時間中なら何度でも放てるという破格のものだな。
これを連射して黒炎から身を守ったようだ。
……そして俺、【包丁戦士】が放った大罪スキル【暴食狂姫】。
これは狼包丁で黒炎を喰わせて……切り裂いていたら急に修得できたスキルだ。
効果は……よく分からんがとりあえず手に入れたから使ってみた!
流石にこの状況で無意味なスキルを覚えていたら泣いただろうが、無事黒炎を突破することが出来たのでヨシっ!
スキルの名前だけでは効果を判断しにくいのが困るところだ。
多分他の二人を見るに特殊効果付与系統だろう。
【暴食】に関わらず、大罪称号にはプレイヤー個人を直接参照したようなものばかりだ。
特に【ロイス=キャメル】の【色欲紳士】や、【綺羅星天奈】の【虚飾聖女】が分かりやすい。
そして、今回俺が手に入れたスキル【暴食狂姫】は称号と同じ名前のもので……さっき挙げた例のように俺のことを参照した異名のようなものだろう。
【せっかく我がこの姿を披露したのだ】
【少し面白いものをみせてやろう】
【スキル発動【イグニッション】!】
【ガルザヴォーク】ゾンビは【ギアフリィ】の得意技であるカタカナスキルの【イグニッション】を発動してきた。
……だが、今の【ガルザヴォーク】ゾンビにはパイルバンカーが装備されていないはず。
何処にも見当たらないがどうなるんだ……?
「アァン!?
空中を見てみろよ、パイルバンカーがとてつもない数浮いてやがるぞ!」
「あんなにも浮いてると物騒だね♪
キャメルちゃんこわ~い♪」
空中に浮遊しているパイルバンカーは【ギアフリィ】が使用していたものと少し見た目が異なり、その全てが黒炎によって形成されたもののようだ。
……つまり、その全てが俺の弱点を突いてくるってことだ!
控えめに言ってもヤバいっ!
そして、スキル【イグニッション】の挙動をきちんとこなしているようで、エネルギーをチャージしてきている。
その黒炎たちがそのもて余した力を発散させようとしているのか、小刻みに振動しているのが少し不気味だ。
【では見せてやろう!】
【天焦がす傲慢の黒炎よ】
【点火された誇りは留まることを知らず】
【地に伏す者を下す雨と化す】
【渾然たる我の力を知らしめせ!】
【混沌たる我の威光を知らしめせ!】
【我が号令により】
【気高き誇りが今ここに顕現する】
【破砕せよっ!!!】
【【混濁スル傲慢ノ黒炎雨】】
【ガルザヴォーク】ゾンビの号令を受けた黒炎のパイルバンカーたちが一斉に地に降り注ぎ始めた。
「ここでアタイのとっておきを使わなくていつ使うって話だよなァ!
聖女であるアタイの煌めきを見せてやらァ!
大罪スキル発動!【虚飾神聖】!
さらにスキル発動!【神天宝飾】!
これが!アタイの!スキルミックスだ!」
【スキルミックス!】
【【虚飾神聖】【神天宝飾】】
【混合発動【虚飾宝飾】
【修練武器に概念混合されます】
【デメリットとしてナニカが減少しました】
【綺羅星天奈】の十字架から生み出された、紫色の禍々しくも神秘的なオーラ纏った数々の宝石の弾丸が乱れ咲く。
「大罪スキル発動!【色欲発心】!
種族スキル発動!【月兎斬心】!
魔法少女キャメルちゃんもスキルミックスだよ♪」
【スキルミックス!】
【【色欲発心】【月兎斬心】】
【混合発動【色欲月斬】】
【修練武器に概念混合されます】
【デメリットとしてクールタイムが増大しました】
【ロイス=キャメル】のステッキから生み出された桃色の三日月の形をした斬撃が周囲に伝播しながらその攻撃範囲を広げていっている。
アハハハハハ!!!
俺もいいところを見せないとな!
直感だが俺の中で沸き上がるこの感覚……このスキルこそ今の俺に必要だと伝わってきている。
そうか……【ガルザヴォーク】の気配にあてられたか?
いいだろう、思いっきり暴れてこい!
スキル発動!【堕枝深淵】!
【スキルチェイン!】
【【暴食狂姫】【堕枝深淵】】
【追加効果が付与されました】
【デメリットが増加しました】
【連鎖発動【暴食堕枝】】
俺も【暴食】の飢えに身を任せてスキルを発動させた。
すると、包丁から漆黒の茨が伸び、茨の枝が伸びていくと棘が生えるように包丁の刀身が次々に剥き出しとなり天に……そして【ガルザヴォーク】へと向かっていった。
黒炎のパイルバンカーは俺たち周辺に限っては【綺羅星天奈】と【ロイス=キャメル】が防ぎ、ほとんど崩壊していて文字通り死屍累々と化している【死屍累々城塞バンデット】の最後の一欠片を守っている【トランポリン守兵】お嬢様がいる。
それなら俺は……メインディッシュのお前をいただくだけだ!!!
アハハハハハ!!!
狂い喰い尽くしてやれ【暴食堕枝】!
【これが……これがプレイヤーの力だと言うのか!?】
【解せぬ、解せぬな!!!】
【いくら不完全とはいえ、この我がプレイヤーに敗れるとは……】
【今度相対する時は覚えているがいい!】
黒炎のパイルバンカーを操作することに気を取られていたがら空きの【ガルザヴォーク】ゾンビに黒枝が突き刺さっていき、【ガルザヴォーク】ゾンビの内部から包丁が次々に突き出てきた。
そうして内部から食い散らかされた【ガルザヴォーク】ゾンビは身体が崩壊していき……
【ディメンションバトル】
【包丁の煌めき】
【ステッキの導べ】
【十字架の陰り】
【城塞が守られました】
【【包丁次元】が1位次元の勝利特権で【十字架次元】と【ステッキ次元】のリソースを吸収しました】
【【ステッキ次元】が3位に昇格しました】
【【ステッキ次元】の一部エリアの規模が最低限まで縮小しました】
【【十字架次元】が5位に降格しました】
【【十字架次元】の一部エリアの規模が最低限まで縮小しました】
【勝利報酬は王宮にて選択してください】
【個人アナウンス】
【【包丁戦士】が暴食の力により称号【『sin』暴食の捕食:傲慢咎死竜の骸】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が86になりました】
【【包丁戦士】に貸与された暴食の力が返還されます】
これは思わぬ拾いものだったり、僥倖だったりする……
【Bottom Down-Online Now loading……】