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778話 暴食狂姫

 俺の前にいた【ギアフリィ】ゾンビの姿が変貌し人の形から乖離していく。

 黒炎が燃え上がりながら肥大化していき、竜の姿となったのだ。

 これは……【ガルザヴォーク】……!?

 いや、違うな。



 【ふむ……】


 【【咎死人】の制約を受けたままでは不完全か】


 

 そう、【ガルザヴォーク】はゾンビの姿……つまりドラゴンゾンビとして顕現したのだ!


 【Raid Battle!】


 【傲慢なる咎死竜】


 【豺ア貊?ォ懈ゥ溘ぐ繧「繝輔Μ繧」=繧ャ繝ォ繧カ繝エ繧ゥ繝シ繧ッ】


 【咎死竜】【深淵罪魔竜】【深淵機戒竜】



 【咎が刻まれし竜は】


 【死してなお顕現し】


 【聖なるモノを堕とす】


 【螺旋のように回る歯車は輪廻の象徴】


 【罪を挫く弾丸は】


 【鉛の弾丸と化し】


 【自らの身体を蝕む】


 【傲慢に呑まれた深き竜は】


 【再びその身を黒炎で焦がす】

 


 【レイドバトルを開始します】



 本当にレイドボスとして顕現してきやがったな!?

 だが【上位権限】もついていないようだし、複合種族っぽいのでジョブ種族欄が埋め尽くされている。


 その影響か宿業についても前に見た聖剣次元の【ガルザヴォーク】や【フランベルジェナイト】のものとは大きく異なっていた。

 【ガルザヴォーク】ゾンビも言っているように不完全なツギハギのような状態で、なんとかレイドボスとして成立しているのだろう。

 



 「アァン!?

 なんだこりゃ……【ギアフリィ】ゾンビが相手じゃなかったのかよ!」


 おっ、ちょうどこのタイミングで【綺羅星天奈】が戻ってきたな。

 そして、ヤンキー口調を隠そうとしていないのは十字架次元のプレイヤーがもう生き残っていないからだろう。


 そしてもう一人戻ってきたようだ。

 そいつは頭頂部に水色の大きなリボンが出現し、そこから服へと変化は続いていく。

 各所にリボンがついたフリル満載のワンピース。

 全体的に水色と白色の配色のファッションへと変貌した。

 そして小柄なシルエットの女性プレイヤー……の見た目をしている。

 そう見た目はな!

 

 「じゃーん♪

 キャメルちゃんだよ♪」


 そう、こいつは【ロイス=キャメル】。

 ステッキ次元のMVPプレイヤーである変態紳士が【色欲】の大罪の効果で変身したものだ。

 バーチャル美少女受肉、通称バ美肉だな!

 今やロリと化した英国変態紳士は今までの重々しい雰囲気とは真逆の、軽快で何も考えてなさそうなあか抜けない甲高い声で話し始めた。


 「あのドラゴンさんは【ギアフリィ】が変身した姿なんだね♪

 それなら安心してボコボコにしちゃうよ♪」


 この場には【傲慢】のドラゴンゾンビと、【色欲】のバ美肉おじさん、【虚飾】のステゴロ聖女、そして【暴食】の可憐な乙女が一堂に会しているわけだ。


 そして、MVPプレイヤーたちの標的は【ガルザヴォーク】ゾンビ一体!

 これでいくらレイドボスになったといえども良い勝負にはなるだろうよ。


 お前をいつドラゴンステーキにしてやれるのか楽しみだ!

 

 「【包丁戦士】オメェ……なんかテンションたけぇな?」


 「やる気満々だね♪

 大罪の影響か……」


 こらこらこら、バ美肉おじさんは急に素に戻ろうとするなよ!

 そのギャップでお前も酢漬けにしてやりたくなってくるからな!


 「意味わかんねぇ喩えだなオイ!」




 【クハハハ!!!】


 【いくらプレイヤーが集まろうとも、我を倒すのは不可能と知れ!】


 【【覇道竜陣】!】


 

 【ガルザヴォーク】によって始動した【覇道竜陣】は黒炎が今までのように荒々しいものではなく一定の軌道を描きながら俺たちに直進……


 するのではなく、俺たちの少し手前で90度……直角に折れ曲がり、さらにしばらく直進したかと思うとまた90度折れ曲がりということを五回ほど繰り返した。

 そうして出来上がった黒炎による正方形の陣が俺たちを逃がさないように取り囲むこととなった。


 【我の黒炎陣にて燃え尽きよ!】


 次の瞬間、陣の中は黒炎によって埋め尽くされていった……


 【最後は呆気ないものだったな】


 【我の実力を以てすれば当然か】




 【ガルザヴォーク】ゾンビは黒炎に包み込まれた俺たちの様子を見て、俺たちが既に死に絶えたと思ったのだろう。

 そう呟きながら明後日の方向を見ていた。



 ……だが、勝利を確信するのは少し早いんじゃないか!





 アハハハハハ!!!

 キタキタキタ!!!!

 お前の黒炎を存分に喰わせてもらったお陰でとうとう【食事】が出来たぞ!!!

 やっぱり俺の手だけでは負えないような強敵との戦いを渇望していたってことだな!!!

 飢餓状態こそ成長のモトってことだ!!!




 ……そういうわけで、食材になる心の準備は出来たかぁ?

 大罪スキル発動!【暴食狂姫】!

 喰らい尽くせ!!!


 「大罪スキル発動!【虚飾栄光】!

 小細工なんざ不要!

 聖女であるアタイの魂の一撃を喰らいなァ!!

 歯ァくいしばれ!」


  「いくよ~♪

 魔法少女キャメルちゃんの得意技!

 大罪スキル発動!【色欲妖幼】♪」



 【大罪スキルで応戦してきたか……】


 【クハハハ!!!面白い!】


 【お前たち諸ともスキルを打ち消してやろう!!!】





 そんな豪快に笑う【ガルザヴォーク】ゾンビの声を聞きながら、遅れてやってきた無機質なアナウンスが脳内に密かに響いていった……







 【個人アナウンス】


 【【包丁戦士】が大罪スキル【暴食狂姫】を獲得しました】 


 【【包丁戦士】が称号【『sin』暴食狂姫】を獲得しました】


 【称号の効果で【Bottom Down】!】


 【【包丁戦士】の深度が85になりました】


 【※大罪スキルは大罪域の風が吹き荒れている状態のみ使用可能なスキルとなります】






 

 くっ、小娘のスキルで我の体力が吸われている……だとっ!?

 このままでは体力だけ抜き取られるか……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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