775話 暴食のジャンクパーティー
ほらほらほら!!!
もっと活きのいい動きを見せてみろよ!
せっかくの【ガルザヴォーク】の踊り食いなんだ、食材の新鮮さを自らアピールしてもらわないとな!
スキル発動!【フィレオ】!
俺は下から上へと斬撃である逆風を放ちながら飛翔する斬撃を放った。
スキルのデメリットで左腕が吹き飛んでいったが、飛翔する斬撃は俺の左腕に見合う働きをしてくれたようだ。
これまでびくともしていなかった【ギアフリィ】ゾンビの甲冑を切断することに成功したのだ!
固い甲殻を取り除くのも料理の下ごしらえとしては必要だからな!
その身をいただく前に切らせてもらったぞ!
そしてそのまま俺は一気に後退すると……周囲に戻ってきていた十字架次元のプレイヤーたちを勢い良く切り刻んでいった!
アハハハハハハハハ!!!
ジャンクフードばかりで物足りないが、食事としては問題ない!!
お前ら、俺の糧になれ!
その命、有効に使わせてもらうぞ!
俺の狼包丁がプレイヤーの命を吸収し、俺が失った身体の……つまり左腕の復元を完了させた。
これが【暴食】の力……ドレイン能力だな。
包丁で切り裂いた相手から生命力を吸収し、俺の身体の復元や体力の回復を行ってくれる長期戦向きの能力だ!
【自らの身体も、味方となり得るプレイヤーすらも切り捨てて戦うとは】
【やはり重ねの兵法を会得しているだけあって、深淵に近い思考をしているな!】
【クハハハ!お前のような小娘が我のいる次元にいればもっと面白いことになったものを!】
【だが、ここで敵対している以上、我は何度でも小娘を消し炭にしてやろう!】
【それをするだけの恩義がこの身体にあるのでな】
【深淵種族の長であった我が恩義という言葉を使うのは片腹痛いが】
【せっかくなのだ、恩義を返すついでに楽しませてもらうとしようではないか!】
【ギアフリィ】ゾンビはそう言い放つと、一呼吸置いて詠唱のようなものをし始めた。
【荒れ狂う大罪の風よ】
【我が漆黒の炎に抱かれて変容せよ!】
【この身に歯向かう愚か者たちへ降り注ぐ災厄と化し】
【傲慢なる我の姿を知らしめせ!】
【漆黒の焔が世界の全てを包み込み】
【此処が我の煉獄と化すであろう】
【【傲慢ナル深淵ノ焔】!】
大罪【傲慢】の力を深淵の力で強制的に使役させ放たれた漆黒の焔が瞬く間に膨れ上がっていく。
その膨張する様は、自らの傲慢によってプライドが膨れ上がっていくことを形にしたと言われても納得できるほどの勢いと爆発力だった。
この一撃で城壁がメルトダウンしていき、それと共に南側にあった設備まで一気に熔け堕ちていってしまった。
「とても悪いニュースがありますわ!
ワタクシたちの復活地点が失くなってしまいましたわ!!
既に何人も倒されてしまいましたが、誰も復活してきておりませんわよ……」
【トランポリン守兵】お嬢様が言ったように、何よりも不味いのはプレイヤーのリスポーンポイントとして設置されていた場所まで破壊されてしまったからか、死に戻りが出来なくなったことだ。
これでプレイヤーの命というリソースの管理をしないといけなくなったわけだ。
【うぬ……?】
【何故小娘がそこで健在なのだ!?】
【周りのプレイヤー、そして城壁諸共熔け堕としたものと思ったが……】
【トランポリンの壁を使う娘であれば生き残っていてもおかしくはないが】
【守りの兵法を使うとも思えない小娘がどうやって我の黒炎を耐え抜いたというのだ!】
【答えよ小娘ェ!】
おうおうおう!
必殺の攻撃を凌がれて怒り心頭ってか?
ハハハハハハハハ!!!
そんなに怒ると筋が固くなって食感が悪くなるから止めてもらいたいものだな!!
俺は包丁で【ギアフリィ】ゾンビに切りかかりながらそう煽っていく。
【ギアフリィ】ゾンビはそんな俺の攻撃をパイルバンカーで受け止めてきたが、動揺しているからか防御に留まり追撃してくることはなかった。
よほど俺がピンピンしているのが意外らしいな!
種明かしをしてみれば簡単なことだ。
炎耐性を上げる設備にポイントを全部突っ込んで、後はひたすらその辺のプレイヤーを切り続けて【暴食】の権能で回復していただけだ。
どうせ【ギアフリィ】ゾンビの【傲慢ナル深淵ノ焔】で死んでた命だ。
俺が美味しくいただいてしまっても構わないだろ?
まあ、味はジャンクフード並だったけどな!!!
「酷い喩えですわね……」
【深淵の力を行使するのであれば、それくらいの気概でないと張り合いが無い!】
【小娘の回復の源になるプレイヤーたちは我の一撃で消え去ってしまった故に】
【ここからは回復なしで戦わねばならぬぞ!】
【その条件下でどこまで我に食いついて来られるか……】
【見せてもらおうではないか!!!】
見せたり、見せなかったりする……
【Bottom Down-Online Now loading……】