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771話 深滅竜機ギアフリィ

 辺りにいた雑魚ゾンビたちを一掃した頃、そいつは現れた。


 全身が漆黒の鎧に覆われた若い男のゾンビだ。

 だが、その手に握られている武器は視認できず黒い黒炎が蠢いているようにしか見えない。

 そして、背中には金属のパーツの一部と思われるものが羽のようについていた。


 こんな姿のMVPプレイヤーっていたか?

 まるで【深淵纏縛】で【ガルザヴォーク】の力を纏った【フランベルジェナイト】に酷似しているが、あいつは金属の羽なんて装備していなかった。

 それに、今回ゾンビとして出てくる可能性があるのは【牛乳パフェ】か【ギアフリィ】のはずだ。


 深淵の力を使うやつと考えたら【牛乳パフェ】だが、金属の羽っていうのは【ギアフリィ】だ。

 せめて見分けられる方法があれば……


 ん?ああ!

 近づいてきたら特徴が掴めてきたぞ!

 頭にゴーグルをつけているな。

 ということはこいつは【傲慢なる咎死人】……つまり【ギアフリィ】ゾンビだ!



 「皆様、ゲートキーパーが来ましたわよ!」


 「物理攻撃なら私の聖域の加護で守り抜いてみせましょう!

 ……ちっ、【包丁戦士】と【ギアフリィ】が揃っているのを見るとあの時のことを思い出して不快になっちまうな(ボソッ)」


 そんなことを話しているうちに、謎の黒炎を纏った【ギアフリィ】ゾンビが手に持った深淵の力の塊を構えて溜めの姿勢に入っている。

 あいつにチャージ時間を与えるな!

 【ギアフリィ】は時間の経過で強力な攻撃を放ってくるぞ!


 

 「とは言っても……」


 「オイラたちゾンビ掃討で力を使いきってるんだなぁ……」


 「ワタクシは守りに徹しますわ!

 もう一度スキル発動!【近所合壁】!」


 「あぁん!?アタイは結界の維持で忙しいっつてんだろ!

 お前がイケ!お前が!(ボソッ)」


 へいへい、そんなこと言って間に合わなくなっても知らないぞ?

 俺は仕事のたらい回しの結果【ギアフリィ】ゾンビへと単騎特攻することとなった。

 漆黒騎士と化した【ギアフリィ】がどんな動きをするのか不明だが、所詮はゾンビ!

 さっさとチャージを中断させてやる!



 そう思っていたがこれはプレイヤーに人権のないゲーム、そんなに甘くなかったようだ。


 【フハハハハ!!!!】


 【我の邪魔をしようとは無謀な小娘だ!】


 【この身体、この黒炎を以て燃やし尽くしてやろうぞ!】



 「えっ、あのゾンビ喋りましたわよ!?」


 「……ちっ、どうなっていやがる(ボソッ)」


 これは、まさか……

 俺たちは急に喋り出した【ギアフリィ】ゾンビに驚き目を見開いた。

 だが、深淵の力を宿している以上、見た目は【ギアフリィ】であってもその身体を操作するのは別の存在……つまり深淵種族の意識が宿ることがある。


 ここにいる【トランポリン守兵】お嬢様も、ボマードちゃんも、そして俺……【包丁戦士】も経験していることだ。

 深淵細胞や深淵の秘技のデメリットだな。


 そして、ボマードちゃんの身体を利用してジェーライトが次元戦争に参戦してきた過去の例もある。

 ゾンビの身体を使って次元戦争に乱入してくる場合もあるのだろう。

 理屈として納得できないものもあるが、事実その可能性が高いのがなんとも言えないぞ!


 【んん?】


 【なんだ、我の黒炎に怯えておるのか?】


 【フハハハハ!!!安心しろ、一瞬で消し炭にしてやろうとも!】


 

 ま、不味い!?

 俺は腰に提げていた包丁を手に取り、そのまま【ギアフリィ】ゾンビへと切りかかっていった。

 この土壇場で放つのは俺の十八番である袈裟斬りのモーションの……



 スキル発動!【フィレオ】ォ!

 俺は包丁の斬撃に加えてさらに飛翔する斬撃を生み出した。

 その代償として左足が消し飛んだが、この場面なら腕じゃなくてラッキーと思うべきだろう。

 そんな俺の斬撃が【ギアフリィ】ゾンビへと向かっていく。

 

 このまま当たってくれたら攻撃チャージの妨害くらい出来るはずだ!


 

 【フハハハハ!!!】


 【そう、当たれば……の話であろうがな!】


 【だが、我の支援を行う者の方が早かったようだ】



 な、何っ!?

 俺の身体の動きが急に鈍り、包丁の振り下ろす速度と飛翔する斬撃の速度が同時に止まったようになった。

 この感覚は……デバフ!?


 だが、周りには他に敵なんて居なかったはず……


 「いえ、まだ姿を見せていない【嫉妬する咎死人】がいるはずですわ!」


 そうか、【牛乳パフェ】ゾンビか!

 あいつなら、超遠距離デバフ支援を出来るか。

 それもこんな狙ったような絶好のタイミングで仕掛けてくるとはな……

 非常に憎らしいっ!


 【そういうわけだ】


 【攻撃も不発に終わった姿も見れて満足できた故に……】


 【消し炭となれ!【覇道逆鱗】!】


 その瞬間……

 俺の視界は黒炎によって包み込まれ、身体の焼失を感じとる前に消え去ることとなった……







 やっぱり【エルラシア=ガルザヴォーク】じゃないか!(困惑)

 【ギアフリィ】め、面倒なものを持ち込んでくれたな……っ!!!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] こっちの次元のガルザヴォークは話が通じなそうですね
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