表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

770/2204

770話 神の雷

前日は2話更新していました。

読み逃している話があればそこから読んでいただければと思います。

 何度目になるか分からない包丁による横凪払いでゾンビの首を断っていく。

 俺だけでもう150体くらい葬った気がするが、まだまだゾンビが攻めてきている。

 だがそれでもゾンビは尽きることがない。

 ここまで来ると時間耐久かギミック解除が必要なんじゃないか……そう思わないととてもクリアさせる気がない物量を相手にするのはきついぞ!


 城塞からの【メリケンサックボクサー】たちの支援で砲撃が飛んできたり、油釜でゾンビの進行を妨害したりしてくれているがそれでも……



 俺たちは戦線を押し上げるどころか、城壁の間際まで押し下げられてしまったので肉体的な疲労も当然あるのだが、それ以上に精神的に参ってしまっているプレイヤーが多い。


 「流石に厳しいですわね……」


 「きついんだなぁ」


 「聖女様が下がる場所すらも無くなってきてしまった……」


 「あぁん!?

 いつまで続きやがるんだこいつら……(ボソッ)」


 

 そんな悲壮な雰囲気が戦場を取り囲んでいたが、俺が包丁を振り抜いた瞬間に脳内に無機質なアナウンスが鳴り響き始めた。


 【ワールドアナウンス】



 【ステッキ次元のプレイヤーが【咎溜まりの守護魔】を討伐しました】


 【ステッキ次元のプレイヤーが【咎溜まりの魔力痕】を破壊しました】


 【GK個体以外の【咎死人】の発生が抑制されました】




 ステッキ次元が何かやってのけたようだな!?

 どうりで姿が全く見えないわけだ……

 これはまたポイントを稼がれてしまったな。

 だが、今回は正直助かった!

 このままじり貧で負けてただろうし。


 「先生……ボクが調査した痕跡からちゃんと分析を終えてくれてたのですね!

 やっぱり先生は凄いや」


 このはぐれてきた少年探偵も一つ噛んでいたようだ。

 もはや戦力の一人として換算していたが、そんな調査をしていたのか……

 

 「ゾンビが多すぎてボクだけ分断されて身動きとれなかったですけどね。

 この戦場は連携がとりにくくて中々大変でしたよ……」


 そりゃステッキ次元のプレイヤーが他には誰もここに居ないからな……

 むしろなんで痕跡を辿れるお前だけはぐれてきたのか気になるぞ。


 「それは……秘密です!

 先生に怒られそうなので」


 まあ、いいけどさ。


 「何はともあれ、これであとは今いるゾンビを倒すだけでゲートキーパーに集中できますわね!

 ……ですが、肝心のゲートキーパーの姿がまだ見えませんですわね」


 「そういうことであれば聖女である私の奇跡を見せてあげましょう!」


 【綺羅星天奈】はそう言うと両手を組み合わせて跪いた。

 そして、目を閉じて祈りを捧げていく。


 「理外の理を支配する神が降誕なされた徴よ、私の切なる願いにこたえてください!

 神の怒りを今ここに!神の雷を今ここに!」


 するとどうだろうか、【綺羅星天奈】を中心として上空から雷が次々と降り注いできた。

 周囲に拡散しながら落ちてきた雷はゾンビたちを次々に一掃し、戦場を支配していっている。


 「こんな強力なスキルをプレイヤーが使えるのでして!?

 羨ましいですわ……」


 いや、冷静になれ【トランポリン守兵】お嬢様。

 インパクトに呑まれてそうなるのも無理はないが、【綺羅星天奈】はスキルの発動を宣言していない。

 それに、このプレイヤーに人権のないゲームでプレイヤーに強力なスキルを使わせるとは到底思えない。


 ……あれを見てみろ。

 俺は雷が飛んできた方向を指差した。


 「上空……ではなくてさらにその奥……城塞から軌道を変えてこっちに雷が飛んできていますわ!?

 これはもしやポイントを使って動かしている設備の機能でして!?」


 多分そうだろうな。

 ナルシストで、神の威光を借りようとしている【綺羅星天奈】が好きそうな設備だ。

 こんなに威力が高いってことは、その分ポイントも浪費されているはずだが……


 「聖女である私の祈りに神が応えてくれました!

 あぁ、なんと美しい光景でしょうっ!

 さあさあ、もっと見てくださいっ!」


 完全に自分に酔っているな。

 神の力を行使しているように錯覚して高揚しているわけだ。

 これでいてヤンキーっていうギャップを隠し持っているのは相当に濃い。

 

 「あなた様も人のこと言えませんでしてよ!

 ワタクシから見ればあなた様こそ濃い気がしますわ」


 そうか?

 それは自分では分からないからな。

 他人が言うのならそうかもしれないが、そんな自覚はない。


 「プレイヤーキラーとしての自覚はありますのに……」


 そりゃ意図的にやってるんだからそうだろう。

 意図的にやっているのに自覚が無かったらおかしいだろう。

 

 「あぁん!?

 せっかくアタイがポイント全部費やしてゾンビを蹴散らしてやったんだ、後処理くらいして働けよなァ(ボソッ)!

 働かざる者食うべからずですよ」


 「そうですわね!

 ワタクシたちもゲートキーパーたちが動き出す前に掃討戦に参加しますわよ!

 【包丁戦士】様も来てくださいまし!」


 当然だ、言われるまでもない!

 人型のエネミー相手なら俺は本領を発揮できるからな。

 後の事を考えて、流しながら戦ってほどよく身体を休めていくか。





 流したり流さなかったりする……


 【Bottom Down-Online Now loading……】 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ