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754話 巻き巻きゾンビ

 「うおおおおおおッス!」


 「ちわッス!」


 包丁次元のプレイヤーたちがゾンビへの攻撃を再開したが、先ほどまでとは違う点はすぐに出てきていた。


 「ゾンビからのダメージを全然受けてないッスよ!?」


 「ちわッス!

 我々に損傷なし!」


 そう、スキル【天元聖域】の効果範囲で戦っている限りはデバフへの耐性の他に物理ダメージを大幅に軽減する効果もあるのだ。

 前に次元戦争で戦ったときにはこの物理ダメージを軽減する効果で苦しめられた記憶があるから、こうやってわざわざ頭を下げてまでも協力を申し出たのだ。


 十字架次元に貸しを作ってしまうのは怖いが、西側戦線で包丁次元がポイントを稼ぐにはこうするしかない……と判断したからだな!

 仕方がない。



 そうして迫り来るゾンビたちを撃退し続け、流石にそろそろ終わりだろうと思った頃に脳内に無機質なアナウンスが鳴り響き始めた。



 【Gatekeeper Battle!】



 【怠惰なる咎死人】



 【ボスバトルを開始します】



 そのアナウンスと共に現れたのはこれまでの成人サイズのゾンビではなく、小さい幼女サイズのゾンビだった。

 だが、服装がパジャマで手には五メートルほどの巨大な蛇が握りしめられていた。

 しかもその蛇は生きているようで、手で握られつつも蠢いている。



 「せ、先輩!?

 なんか凄そうなゾンビが出てきたッスよ!?」


 「ちわッス!

 ただならぬ気配が感じられます!」


 【バットシーフ】後輩も【メリケンサックボクサー】も異様な雰囲気のゾンビに恐れおののいていたが、あの姿のやつを俺は何度か見たことがあった。


 そしてチラリと【綺羅星天奈】の方を見たが、あいつの表情から察するに俺と同じようにこのゾンビの姿に心当たりがあるようだった。


 「【包丁戦士】、あなたにも見覚えがあるようですね。

 これは神の啓示でしょう!」


 いやいや、そんなことはない。

 あんな巨大な蛇を手に持って現れるやつは一人しか見たことがない。

 蛇腹剣次元のMVPプレイヤー……パジャマロリの【マキ】だ!

 そして手に持っているあの蛇はチュートリアル武器の蛇腹剣が姿を変えたものだな。

 あの圧倒的質量武器で殴られたら痛いってもんじゃない。


 

 そんな【マキ】ゾンビがさっそく巨大な蛇を振り回し、こちらを凪払おうとしてきた。


 「うわっ!?

 や、やられる……ッス?

 ってあれ……???」


 【バットシーフ】後輩は蛇腹剣による攻撃をモロに受けてしまい吹き飛ばされていったが、その身体にはほとんどダメージが通っていなかった。


 「聖女である私のスキルのことを忘れていましたか?

 それは私に対して不敬ですね。

 神の加護を受けた者は物理ダメージをカットできますよ」


 「あっ、そうだったッス……」


 「あざッス!」


 

 おお……ちゃんと【真名解放】済みの蛇腹剣による攻撃も防げるみたいだな!

 もしかすると防げない可能性もあると思っていたが、これで一安心だ。



 「よーし、オイラの大剣で聖女様を傷つけようとするゾンビのボスを倒すんだなぁ!

 スキル発動!【巌亀開花】」


 「それなら俺は後ろから援護しよう!

 聖女様に近づけさせるな!

 スキル発動!【巌亀開花】」


 十字架次元の大剣使いである【フェーン】とコンパウンドボウ使いの【ポロロッカ】がスキルを発動させてゾンビへの強襲を開始したようだ。

 こいつらは次元戦争で【綺羅星天奈】と一緒に戦っていたやつらだが、今回もセットで参加しているようだ。


 コンパウンドボウ使いの【ポロロッカ】が放った矢は宙に舞うと同時に岩によってコーティングされていき、プレイヤーの大きさに迫るものへと膨張していっている。


 【フェーン】がスキルを発動すると、大剣が触れた地面から岩が突き出てきた。

 しかも、一回ではなく地面に大剣がぶつかるたびに何度も先端が突起状になった岩が飛び出てくるのだ。

 つまり、実質、剣の軌道が変則的になって襲いかかっているのと同義ってことだ!


 こいつらが使ったスキル【巌亀開花】は攻撃を岩でコーティングしていくものだったな。

 今回はゾンビ相手だからいいものを、俺たちに向かって放たれていたらと考えると厄介すぎるぞ……

 多分だが、【バットシーフ】後輩や【メリケンサックボクサー】ではこの【ポロロッカ】と【フェーン】には実力的に太刀打ち出来ないだろうし、負けていただろう。





 岩の斬撃や岩の矢が【マキ】ゾンビへと向かっていっているが、MVPプレイヤーを模倣しているからだろうかそう易々と攻撃を受けてくれるわけじゃないようだ。


 【マキ】ゾンビは巨大蛇腹剣を正面で渦を巻くように展開させて防壁とし、岩によってコーティングされた攻撃たちを防いできた。


 「こ、このゾンビ賢いんだなぁ!?」


 「正面から無理なら……上から攻撃するッスよ!

 ボマードちゃんから盗んできた爆弾を投下するッス!」


 【バットシーフ】後輩は天子の翼を羽ばたかせ【マキ】ゾンビを頭上に位置取るとそこから爆弾を10個くらい一気に落とし始めた。

 ボマードちゃんから盗んできたのかよ……

 


 【水……流……万……花……】


 だがそんな爆弾を【マキ】ゾンビは水の花弁を生み出し、防壁とすることでさらに防いできた。

 あれは【水流万花】か!?


 スキルも使ってくるのかよ!?





 そういうこともあったりなかったりする……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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