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753話 お零れの加護

 さて、十字架次元のプレイヤーたちとの間にいたゾンビはあらかた片付いたか。

 よしっ、【バットシーフ】後輩!

 十字架次元の連中に接触するぞ、このまま城塞に迫るゾンビを撃退するまで協力を取り付けてやる!


 「先輩、そんなこと考えながらゾンビを倒していたッスね!?

 言われてみれば局所的にゾンビが居なくなっているッス……

 俺っちは目の前の相手だけで精一杯だったのに」


 俺はプレイヤーキラーだからな。

 ゾンビとはいえ人型のエネミーならある程度の応用で戦えるから、余力はあったりした。

 だからこそ、磐石な体制で戦っている十字架次元のプレイヤーたちに集りに行こうという発想も生まれたわけだ。



 そんなわけで俺と【バットシーフ】後輩は二人で黄金色の左片翼を羽ばたかせて、風の結界を張っている【綺羅星天奈】のところへと向かっていった。


 「……【包丁戦士】とそのお仲間ですね。

 そちらの方ははじめましてですね」


 「どうもッス!

 【バットシーフ】ッス!」


 出会って早々に挨拶をしているな。

 律儀なものだ。


 「そして、聖女である私も自己紹介を。

 私は【綺羅星天奈(きらぼしあまな)】です。

 十字架次元のMVPプレイヤーで、聖女として皆を救済、導いています。

 そして、此度は包丁次元とステッキ次元の皆様も神の慈悲によって救済される時が来たということです。

 さあ、その身を神にお捧げ下さい!」


 

 俺たち包丁次元の名前に関するスキル……【名称公開】について知っているにも関わらず俺たちに自己紹介をしてきたのは、十字架次元のMVPプレイヤー【綺羅星天奈】だった。


 そして、名前を明かしたことによって【名称公開】と十字架次元の名前が発動するが……


 【綺羅星天奈は自らの名称を公開した】


 【綺羅星天奈の【神名償還】】


 【綺羅星聖の信仰心に応じてスキルの補助効果が向上します】



 【綺羅星天奈の【名称公開】】


 【Block!】


 【【天元聖域】の守りによって能力低下を受け付けない!】




 「せ、先輩!?

 め、【名称公開】を防いできたッスよ!?」


 そう慌てるな、そのカラクリも既に知ってたから取り乱すようなことじゃない。

 このチグハグな虚飾聖女の使っているスキル【天元聖域】によって、あの風の結界に守られているやつは一切のデバフを受け付けないらしい。

 その分、あの虚飾聖女は行動が縛られるみたいだけど。


 「その虚飾聖女って名称でアタイのことを呼ぶのは止めろよ……シバくぞぉ!(ボソボソ)」



 虚飾聖女……【綺羅星天奈】は俺だけに聞こえるように耳元へと近寄り、粗暴な口調で俺に脅しをかけてきた。

 俺自身も口調は綺麗な方ではないが、このヤンキー口調ほどではない……と思っている。


 そんな粗暴な口調に屈する俺ではないが、今回はこいつら十字架次元に協力を求める側だ。

 好感度のためにも素直に従っておこう。


 「俺っちたちは十字架次元のプレイヤーと城塞の西側戦線での協力を申し出るッス!

 城塞を守るには協力するのが一番ッスからね!」


 【バットシーフ】後輩は邪気のない素直な気持ちで【綺羅星天奈】へと協力の申し出をした。

 だが、相対する【綺羅星天奈】の表情は芳しくない。

 こちらを侮っている目をしているな。


 「私たちがあなた方包丁次元に協力するメリットはありますか?

 私たちだけでゾンビを撃退する方がポイントを稼げますのに。

 ……やはり私たち十字架次元だけで戦うことが神の思し召しのようです」


 【綺羅星天奈】は自らの発言に酔っているようで、自分の世界に入り込んでいる。

 こうなった輩に話を聞かせるのは骨が折れるが仕方がない。


 俺は【綺羅星天奈】の背後に回り込むと、脳天にチョップを繰り出して【綺羅星天奈】を酔陶した様子から意識を再浮上させた。


 「なななな、何をするのですか!

 聖女である私に対して無礼ですよ!

 いきなりチョップなんて……」


 【綺羅星天奈】は頭を擦りながらこちらを睨み、憎まれ口を叩いてきた。

 ヤンキーのガン飛ばしはそれなりに怖い……が、プレイヤーキラーである俺には通用しないぞ!


 「アァン!?

 いい度胸じゃねぇかァ(ボソッ)」


 耳元でキレるな、うるさいだろ……

 それと、協力するって言っても最悪最低限でいい。

 そのスキル【天元聖域】を俺たち包丁次元のプレイヤーにも加護があるようにしてくれたらそれで充分だ。


 「それは傲慢なのか謙虚なのか判断に悩みますが……

 それくらいならいいでしょう。

 私たちの邪魔をしないという条件であれば呑みます。

 それでは、神の偉大なるご加護を聖女である私が授けましょう!」


 【綺羅星天奈】がそう宣言すると、俺たちも聖なる風の結界に包み込まれていった。

 見た目もステータスも変わるわけじゃないから実感はないが、これで【綺羅星天奈】による強力な加護を受けることが出来るようになったというわけだ。

 

 おーい、お前らもさっさと来い!!!

 俺は少し離れたところでゾンビたちと戦っていた包丁次元のプレイヤーたちを呼び寄せて、同じように風の結界の加護を受けさせた。


 これでゾンビたちに優位に立ち回れるはずだ!

 このままポイントをもっと稼ぐぞ!!!


 「「「「「「「おー!」」」」」」ッス!」






 ガハハ!!!

 ここからが見せ場だな!!!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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