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744/2201

744話 次元戦争前の顔合わせ

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日はゲーム運営プロデューサーの山伏権現から通達があったように次元戦争が開催される。



 それを証明するように、ウインドウ画面の【上位権限】という項目が点滅しているのだ。


 あきらかにこの項目を選べという意志がひしひしと感じられるので、それを押すと「【上位権限】【Battle field】展開!」という文字が現れた。


 この文字を触っても意味がないというのは前回試して分かっているので、素直に前回起動できた方法を試させてもらうぞ!


 俺は口を大きく開き、【上位権限】の起動ワードを唱えていく。


 「【上位権限】【Battle field】展開!」


 俺は包丁を天に掲げて、包丁から力の奔流である光を煌めかせ始めた。

 そして、その奔流に呑み込まれるようにして俺は天子王宮から姿を消していったのだった……







 【Battle field 特異次元 死屍累々城塞バンデッド】


 エリアの名前を知らせるアナウンスが流れた後俺が立っていたのは、少し荒廃しているがしっかりとした造りの城塞だった。

 摩天楼のように聳え立つ堅牢な城壁に、蓮のようにすら見えるほどの砲台が立ち並んでいる。


 これほどの城塞があってわざわざ俺たちが防衛をしないといけないってことは相当強いモンスターが雪崩れ込んでくるのか?

 想像もしたくないが、その可能性はあるだろう。


 

 ……と、周囲の様子を確認していると俺の近くに次々とプレイヤーが転送されはじめた。

 その数は前回と似たようなもので、約50人ほどだろう。


 やはり見覚えのないモブプレイヤーが多いが、その中に俺が知っている2つ名持ちプレイヤーが何人か混ざっていた。

 

 「あら、これが次元戦争の舞台でして?

 見たことのない景色が広がるボトムダウンオンラインも新鮮ですわね」


 まず見つけたのは金髪ツインテール縦ロールで黒いゴスロリを着たお嬢様……南のトッププレイヤー【トランポリン守兵】お嬢様だ。

 東西南北のトッププレイヤーの中で唯一次元戦争に参加したことが無かったが、とうとう召喚されたな。


 タワーディフェンス形式でタンクプレイヤー……それも一級品の腕前を持つ【トランポリン守兵】お嬢様のタンク捌きがあれば百人力だろう。


 「そう仰っていただけると光栄ですわ!

 包丁次元の皆さまはワタクシが守りきってみせましてよ!」


 心強いセリフを吐きながら【トランポリン守兵】お嬢様は他のプレイヤーたちにも声をかけに行ったようだ。

 この交流時間でコネクションを築こうということだろう。


 




 「ちょっwww

 オレも呼ばれたのかよwww

 ってここ人多すぎワロタwww

 前の次元戦争って二人だけだっただろwww」


 鬱陶しい喋り方をしていて腕にシルバーを巻いているチャラい男は東のトッププレイヤー【風船飛行士】だ。

 俺としてはこの鬱陶しい男に近づきたくないんだが、戦力としても頭脳担当としても優秀な奴なので頼らざるを得ないだろうな。


 「オレも【包丁戦士】と同じ陣営で戦いたく無さすぎるンゴねぇwww

 ただ、オレ個人の問題じゃないから一応頑張ルンバwww」


 レイドボス戦ならともかく、こいつと共闘するのは正直キツそうだ。

 お互いがお互いを牽制している状態だからな。

 せめて、別の戦場で戦うように仕向けないと足を引っ張り合う未来が見えるぞ。


  

 

 そんな【風船飛行士】を放置して俺は別のやつのところへと向かう。

 

 「あっ、先輩じゃないッスか!

 今回は俺っちも次元戦争に参加するッスよ!」


 こいつは俺の後輩みたいなプレイヤー【バットシーフ】後輩だ。

 第3陣プレイヤーで盗みの天才という……クラン【コラテラルダメージ】の中で俺の次に包丁次元で嫌われている異世界人だ。

 俺が戦闘指南をしたりしているが、才能の割にはいまいち伸びが悪いので教え方が悪いのではないかと思い始めているところだ。

 それでも時折見せる急成長には驚かされることも多いから、一長一短か。



 「今回は他の次元も同じ場所にいるみたいッスからね、俺っちの窃盗テクニックが活かしやすいッスよ!

 違和感なく他の次元のプレイヤーに近づけるのは俺っちにとって追い風ッス!」


 近づく前にキルされたら、いくら窃盗のプロといっても盗めないからな。

 その点、今回は直接プレイヤー同士が争うものではないので【バットシーフ】後輩が近づき何食わぬ顔でアイテムを盗んでくるという芸当も可能になる。


 

 これ味方だから心強いが、敵にいたら嫌らしいことこの上ないプレイヤーだな……?

 まあ、来てくれたことに感謝しよう。




 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] ほんと、敵にしたくないタイプの後輩だよ
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