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74話 筋金入りの掃除

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 昨日は【深淵奈落】に行ってルル様にヤられるだけで終わってしまった……


 まあ、新緑都市アネイブルから【深淵奈落】までの距離は歩くだけでもほぼ1日使うというのは、前に【釣竿剣士】と一緒に大穴まで行ったときに知っていたのでそれも承知の上での賭けだった。

 本当に【深淵奈落】に闘技場があって良かった、あそこに行っただけでポイントが100追加されたしな。


 どうやら、このイベントポイントは闘技場ごとに設定されていて代表戦に行くためのポイントはそれぞれの闘技場ごとで分けられて計算されるみたいだが、イベント後の景品とのポイント交換の時には合計のポイントでどこでも使えるらしい。

 ただ、闘技場ごとに景品は違うみたいなのでイベントが終わったあとも掲示板が賑わいそうだ。



 ……という謎の説明パートを繰り広げていた俺だが、この間に新緑都市アネイブルの闘技場に再び足を運んでいた。

 ポイント交換での景品を狙うなら昨日に続いて他のエリアに行った方が効率はいいというのは分かっているが、それだと代表戦に出るためのポイント収集が疎かになってしまう。

 ただでさえ俺の戦闘回数は他のトッププレイヤーたちよりも目に見えて少ない。

 このまま油断しているとここの代表も他のプレイヤーに獲られてしまう可能性が高いからこまめに来るしかないだろう。


 「対戦ですね……それではマッチングルームへどうぞ!」



 このテンプレートなセリフで喋るゆるキャラのビャッコに話しかけ、戦闘の受付をする。


 【マッチング待機中……】


 【マッチングしました】


 【闘技場へ移動します】



 さて、今日の初対戦の相手はどんなやつだろうか。


 「ほう【包丁戦士】さんですか、大したものですね」


 この独特なセリフは……【モップ清掃員】だな!

 検証班のメンバーの1人で、無限湖沼ルルラシア攻略隊の肉壁だ。

 くせ者揃い(主に【ペグ忍者】)の検証班の中でも2つ名持ちということだからあいつみたいに動きには期待できそうだ。


 「そう言ってもらえると大した気合いが入りますよ。

 それでは小手調べといきますか!」


 その言葉で戦いの火蓋が落とされた。

 こいつの武器は2つ名にもあるようにモップだ。


 長さ1メートルくらいのモップをこちらへ突きだして攻撃してくるようだ。

 槍での攻撃を想定すると少し動きが見えてくるかもしれないな。


 だが、槍と違うのは先端のブラシ部分だろう。

 このブラシを包丁の腹で受けたときの感覚が明らかにただのブラシではなかった、これ針が仕込まれてるな!?


 「ほう早くもモップのギミックに気がつきましたか、大したものですね。

 しかし、気がついたところでやれることは変わらないでしょう!」


 その通りだ、ただのブラシでも包丁の腹で受けるしかなかったが、針が仕込まれてると気づいたところで結局は同じように凌ぐしかない。


 俺を近づけないように連続で突きを放ち、牽制と攻撃を両立しながら戦いをリードされているな……


 この先端が針になっているのがまたいやらしい。

 1本の太い剣や刃が仕込まれていたのなら普通の槍と同じように対処できるが、ハリネズミのように仕込まれているモップの攻撃をリーチが短い包丁で受けるとなるとガードするときに地味に受けづらい。

 ましてや、元々槍のような形状のモップと包丁ではリーチの差でアドバンテージを取られているようなものだからな!


 ここで勝つためには幾つか方法があるのだが、分かりやすいものは包丁の間合いに持ち込むことだ。

 相手のリーチが長いからこそ懐に潜り込めば大きなチャンスが巡ってくる。

 俺の得意パターンだな。


 だが、ここで敢えてそのパターンを使わないことにする。

 【モブ】による【魚尾砲撃】対策のために鞭で対処だ!


 俺は包丁の柄に取り付けられているボタンを押し、巻き付いていた【μ素材】を使った紫色の鞭を開放した。

 そしてそのまま鞭を振るう。


 先端に包丁がついている異質な鞭ではあるが、急に想定以上の間合いで攻撃されて動揺したのかクリーンヒットを決めることに成功した。


 「ほうこのようなギミックを隠し持っていたとは、大したものですね。

 しかし、意外性はあっても決定力は無さそうですね!」


 初見の攻撃こそ上手くいったが、その後はモップをトーチトワリングの要領で振り回し、あらゆる角度から迫る鞭を難なく対処してきた。

 その辺の【モブ】ならここまでで倒せてたんだが、流石2つ名持ちというわけか。


 だが、俺の秘策を受けてみよ!

 むち打ちスキル発動【フィレオ】!


 俺は鞭に取り付けた包丁が上空から降りてくる瞬間を狙い【フィレオ】を発動、そして思いっきり振り抜いた。


 いつも手元から放たれる斬撃が変則的な軌道で飛翔し、それと同時に俺の左腕が飛び散る。

 さらに連撃だ、一撃目が上空からの振り下ろしによる縦方向の斬撃だったから……

 次は横凪ぎで【フィレオ】を発動、デメリットで俺の左足が消し飛ぶ。

 鞭による揺れる軌道で、斬撃のコースを読ませないテクニックだ。

 

 この無秩序な攻撃に対処できず、【モップ清掃員】は胸元を切り裂かれ粒子と化した。

 勝利した俺は左の四肢を失ったので重心が狂い倒れながら受付へと送還されるのであった。



 【イベントバトルリザルト】




 【あなたの勝ちです】




 【12ポイント移譲されます】



 よし、このまま今日は荒稼ぎだ!




 最終的には大量の引き分けを挟みつつも、これまでの遅れを取り戻すかのようにポイントを着実に積み重ねていったのだった。










 四肢を軽々消し飛ばしているのに、誰も違和感を持たないのは何故なのでしょうか……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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