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736話 ナンパ船

 「何か見えてきましたわね……?

 あれは島でしょうか……?」


 【トランポリン守兵】お嬢様が泳ぎながら話しかけてきたが、【トランポリン守兵】お嬢様が言うような島のようなものは俺にも見えている。

 だが、俺と【トランポリン守兵】がたどり着いた島は【カニタマ】がいた島とは別の場所のようで……


 

 「松のようなものが海岸に生えていますわね……

 植生からして別の場所ですわよ」


 【カニタマ】がいた方は、ヤシの木がこの松たちの代わりに生えていたからな。

 このトンチンカンなゲームのことだから、急に生え変わりました!……とか言われても諦めがつくが一応別の島であるという前提で調査するか。


 「ワタクシの眼で視ても水色の力の流れはこの島に直結しておりますわ。

 何かはあると思いましてよ?」


 俺が視ている太い力の流れもここに繋がっている。

 目当ての力の根源である島の発見が出来たのは幸先がいいな。


 ここで何か見つかるとなおのこといいんだが……





 そんなことを思いながら浜辺を回っていると、俺たちが到着したのとは真逆の浜辺にデカイ建造物のようなものが置いてあった。


 「いえ、あれは……船ですわね!

 しかもあのサイズですと所有しているクランは一つしかありませんわ」


 ほぼ木造だが、外から見ても戦艦としての戦闘機能も残している。

 かつて【菜刀天子】の開催していた生産イベントで見たこの戦艦を所有するクランとは……


 「あら【包丁戦士】ちゃんじゃない!

 まさかこんなところで会うとは思ってなかったけど嬉しいわね~!」


 「うげっ、狂人……」



 そう、クラン【紅蓮砂漠隊】だ!

 そして俺に声をかけてきたのは【虫眼鏡踊子】と【バグパイプ軍楽隊員】だった。


 【虫眼鏡踊子】とは二人きりで荒野エリアで遊んだりしたことはあるが、【バグパイプ軍楽隊員】は俺との接点が皆無なので完全に言いがかりである。


 「狂人なのは誰から見ても明らかですのに認めませんのね……

 それにしても、まさか【紅蓮砂漠隊】の皆様もここにたどり着いていらっしゃいましたのね?

 ワタクシたちが一番乗りだと思っておりましたわ!」


 俺も【トランポリン守兵】お嬢様のように一番乗りだも思っていたが戦艦の近くに形成されている掘っ立て小屋たちを見ると、それなりに前からここを見つけて拠点にしているようだった。

 もしや、海エリアの解禁からそんなに時間を空けずにここを見つけたパターンだな?

 それをクラン内で秘匿していたと。



 「【包丁戦士】ちゃんは鋭いわね!

 そう、私たち【紅蓮砂漠隊】は砂漠エリア同様に海エリアも先んじてクリアしようとしていたわ!」


 「まあ、狂人に見つかった以上は単独クリアは無理だろうが」



 【虫眼鏡踊子】と【バグパイプ軍楽隊員】はそんな裏事情を惜しげもなく教えてくれた。

 まあ、ご破算になった時点で隠す必要が無くなったからな。

 


 でも、砂漠エリアで【エヌレッド=シャーク】を倒したのは素直に凄いと思うぞ。 

 俺も次元戦争であいつと戦ったが最終的に倒せなかったし、攻略法も思いつかなかったからな。



 「【エヌレッド=シャーク】はクランリーダーの【トンカチ戦士】がほとんど討伐のお膳立てをしてくれたから、戦力さえ揃えばスムーズに倒せたぞ」


 「【トンカチ戦士】が困っているみたいだったから、私も一回辞めてたボトムダウンオンラインに復帰したのよね」


 「【虫眼鏡踊子】の姉御が戻ってきてくれたおかげで、戦力が集まったんだ。

 本当に感謝感謝!」


 そういえばその辺の事情は前に聞いたな。

 【虫眼鏡踊子】のability【抑強扶弱(よくきょうふじゃく)】によるバックアップが加わったからこそレイドチームとしての体裁が整えられたとかなんとか。


 その状態だとしても討伐できるのは凄いけどな。

 それを成し遂げたリーダーの【トンカチ戦士】の手腕には一目置くものがあるだろう。



 「……それで、その【トンカチ戦士】様はいずこにいらっしゃるのでしょう?

 せっかくですのでお会いしておこうと思いましてよ?」


 「リーダーはボマードちゃんのライブに行っているからいないぞ」


 「ボマードちゃんにメロメロだからよくあることなのよね」



 ようやく噂の【トンカチ戦士】とやらと会話できる機会が訪れたと思ったのだが、どうやらそうもいかないらしい。

 決定的に俺とのタイミングが合わないやつだな……

 一度手合わせくらいしてみたいところだが、生憎【トンカチ戦士】と直接戦っているのは俺のクランだと【フランベルジェナイト】だな。

 この前のユニーククエストだと同じ戦場にボマードちゃんや【骨笛ネクロマンサー】も居たらしいが、武器を交えたのは【フランベルジェナイト】だ。


 「あー、あのイケメン君ね!

 イベントの度に戦ってるけどどんどん強くなってて苦戦させられているわよ」


 「【トンカチ戦士】リーダーと【虫眼鏡踊子】の姉御ペアに互角で戦えるイケメンとかズルすぎる……」


 それはそう。

 俺もそう思うぞ……






 また群れたカニね……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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