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720話 受肉する骸骨

 「ふひひっ、次の骨はこれですぅぅ……

 スキル発動【想起現像】ぅぅ……

 さらにability発動【粉骨再身】んん……」


 【骨笛ネクロマンサー】は今やられてしまった【短弓射手】骸骨の次の手駒となる骸骨を、スキルとabilityの組み合わせで産み出し始めた。

 

 這い上がるようにして現れた骸骨が持っていた武器とは……



 包丁だったっ!?

 俺かよ!


 小柄な背格好の骸骨なので、他人という線も薄い。

 それに、この状況でわざわざ出す包丁の使い手を包丁次元では他に知らないから尚更だ。


 「ふひひっ、あてぃしの予想だとこれを加えたら面白いことになりますよぉぉ!

 スキル発動!【堕音深笛】!」


 【骨笛ネクロマンサー】はチュートリアル武器である骨笛を演奏し始めた。

 すると、黒い霧が発生しガシャドクロを思わせるような形へと凝固されていったのだ。

 これが【骨笛ネクロマンサー】が使う【堕音深笛】の特殊演出だな、俺や他のプレイヤーが【堕音深笛】を使ってもこんなことにはならないから【骨笛ネクロマンサー】のability【粉骨再身】が作用しているんだろう。


 そして黒い霧によって生成されたガシャドクロが、【包丁戦士】骸骨に覆い被さるようにして一体化していっている。

 黒い霧が骸骨に少しずつ浸透していき、骸骨に肉や皮が培養されプレイヤーと遜色のない形へと変貌を遂げた。



 だが、その姿は俺に酷似こそしているが服装だけ異なっていた。

 俺が今着ている黒セーラー服でも、いつも着ているぼろマントでもない……黒ワンピースだったのだ!

 そして、頭には黒色の麦わら帽子を被っている。



 この姿には見覚えがある。

 俺のテイムモンスター扱いであり、一心同体ともされている存在……そう、【フェイ】だ!



 「あ、あれ……?

 わ、私がどうして深淵奈落に……!?

 【フランベルジェナイト】さんと冒険していたはずでは……???」


 おや、本当に【フェイ】の意識まであの身体に引っ張り込んだのか……

 まあまともな戦力が増えるのはいいことだ。



 おい【フェイ】!

 とりあえず【アルベー】を倒すのに協力しろ!

 話はその後だ!


 俺は混乱している【フェイ】に声をかけていく。


 「……もう一人の私ですか。

 聞きたいことはいっぱいありますけど、そんな状況じゃなさそうなので何も聞かずに戦ってあげましょう。

 【フランベルジェナイト】さんもここにいないですし、いつもより暴れさせてもらいましょうか!

 スキル発動!【竜鱗図冊】!」


 俺と一心同体なだけあって、話が早いな。



 【フェイ】は持っていた巻物から漆黒の鱗を生み出して身体に纏わせていく。

 そして、翼や脚部、腕などが黒い鱗に覆われた【邪悪竜人】の力を存分に発揮できる姿に変身完了した。


 



 「ええっ!?【包丁戦士】さんが二人いますよ!?

 いや~、前にもこんなことありましたけど本当にどうなっているんですか!?」


 「俺様の半身ならそういうこともあるだろうヨォ……

 イャ~、あいつも中々難儀な存在だナァ!」


 ボマードちゃんは俺が増えたことに驚いたが、【ジェーライト】がその間にも身体を操作し続けて【アルベー】のデバフサークルに入らないように尽力している。

 油断のない歴戦の戦い方だな!



 

 「ここで【堕音深笛】を使ってバフを撒くのが【フランベルジェナイト】さんといる時の私の役割ですけど、ここには【堕音深笛】のプロがいますからね。

 わざわざ私がやる必要もないでしょう。

 それなら【邪悪竜人】としての役割を果たしましょうか!

 もう一人の私、それでいいですよね?

 まあ、思考回路が同じなので聞くまでもないですけど。」


 その通りだな、好きにやってくれ。

 俺と同じ考え方をしているやつがいると特に話が早いな。


 「ではスキル発動!【波状風流】!」


 【フェイ】はスプリンクラーのようなものを設置してそこから風の流れを作り出した。

 そこから放たれる見えざる風の刃が【アルベー】へと向かっていき、【アルベー】の漆黒の羽を僅かに切り裂いていった。


 そして、深淵フルート……ではなく包丁を持ってスプリンクラーから流れる風に乗っていくと、【アルベー】に包丁を振りかぶっていった。

 あの構えは……俺の十八番である袈裟斬りだ!



 【フェイ】ばっかり格好いい真似をさせるわけにはいかないな!


 俺も十二枚の羽のうち一枚を横移動につかい、小刻みに停止させながら【アルベー】へと肉薄していき【フェイ】がいるのとは真逆に回り込んでいく。


 そして、宙に浮かびながら俺についてきていた狼包丁を手繰り寄せて握り締めると、そこから上段の構えに持っていった。

 当然俺が放つのは……袈裟斬りだ!



 【フェイ】と俺で【アルベー】をサンドイッチするように挟み込んで放たれた袈裟斬りは、両側からの圧迫を受けたからなのかこれまでで一番の攻撃の通りを見せた。



 やるじゃないか【フェイ】!


 「もう一人の私こそ、流石ですね。

 やはり元が同じだと攻撃が合わせやすいです」


 それはだろう。

 俺もかなり今の攻撃はやりやすかったからな。

 お互い様というやつだ。



 ……さあ、どんどん攻めていこう!

 風向きは俺たちを後押しするように吹いているぞ!








 さて、ここまでは順調だがここからはどうかのぅ……?


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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