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719話 三本足キック!

 「もう一回いくゼェ!

 スキル発動!【魚尾砲撃】!」


 ボマードちゃん(ジェーライト)はデバフサークルをスライディングしながら回避すると、【魚尾砲撃】による極太レーザーを【アルベー】にぶち当てていく。


 そういえば、【修練防具上位解放】はやらないのか?

 ……とか思っていたが、俺は【アルベー】の特性とボマードちゃんの【修練防具上位解放】の性能を思い出して口に出すのを止めた。



 ボマードちゃんの【修練防具上位解放】は【魚尾砲撃】に当たった相手に付与する効果がつくものだ。

 ボマードちゃんの【名称公開】に影響を受けているのでデバフ寄りになったんだろう。


 それに対して【アルベー】の特性はデバフの反射だったはず。

 受けたデバフを反射してくるので【修練防具上位解放】を使ってしまうと俺たちが不利になってしまうのだ。


  

 前に倒したときはこの特性を逆に利用させてもらったのだが、こんな序盤であの手段を使ってしまうと負けてしまうだろう。

 やるとしても終盤だな……



 そんなことを思っていると、デバフサークルだけでは俺たちを仕留められないと認識した【アルベー】が一瞬溜めをした後に高速飛び蹴りをしてきた。


 あの時の俺だったら直感で防ぐしかなかった攻撃だ。

 だが、今の俺は【夢幻深淵】によって身体スペックが引き上げられている。

 そう、()()()()もな!


 

 俺は狼包丁を【アルベー】の進行ルート上の空中で待機させて受け流させた。

 これくらい俺の近くで包丁を操作すれば、手に持った時と同じ感覚でガードも出来るってわけだ!


 そして、【アルベー】の体勢が崩れたな?

 その様子を確認した俺は【失伝秘具】の【深淵異本】取り出して起動させていく。



 スキル発動!【魚尾砲撃】!


 俺は十二枚の羽のうち二枚を変形させて極太レーザーを【アルベー】にぶつけていった。

 攻撃後の硬直で隙を見せていた【アルベー】の土手っ腹に直撃していったのでクリーンヒットさせることに成功した。

 やったぜ!



 そのお陰で【アルベー】はよろめきながら自慢の健脚で大きく飛び退いて、俺たちから一旦距離を取ったようだ。

 【ジェーライト】との再戦の時は【魚尾砲撃】が封殺されていたから実感できなかったが、やはりスキル【夢幻深淵】の黒セーラー服フォームで放つ【魚尾砲撃】は大幅に補正がかかっていてダメージ量が増加しているな!

 これなら思っていたよりも戦えそうだぞ!



 俺は狼包丁を【アルベー】に飛ばしていき、十二枚の羽のうち一枚を横移動に使って【アルベー】へと接近していく。

 一瞬だけ移動に使い、それをすぐにやめて、もう一回一瞬移動に使うことで擬似的に羽による高速移動を可能にしたのだ!


 高速で動いたり止まったりを繰り返しているので物凄く感覚がグルグルしてくるが、こんなの誤差だ誤差!

 これくらいなら気合いでなんとかしてやるさ。

 地面を引き摺られるよりはずっとマシだからな。


 

 そうして【アルベー】へと高速接近していく最中に【アルベー】を引き留めていた狼包丁を俺の手の中に戻し強く握り締めて、【アルベー】の正面にたどり着いたところで十八番である袈裟斬りを放ち切り裂いていった。



 そして、さっき接近したのと逆のプロセスで高速退却していく。

 これがヒット安堵アウェイだな!

 由来はこのスピードで逃げれば安堵出来るからである。()


 


 「【包丁戦士】さん……

 いや~、そのネーミングはどうなんですか!?」


 「俺様もどうかと思うゼェ!」


 「ふひひっ、あてぃしはいいと思いますよぉぉ……」



 ボマードちゃんと【ジェーライト】には散々な評価をされ、【骨笛ネクロマンサー】には要らぬ気を使われたが無事に【アルベー】の前から退却することに成功した。


 流れるような動きで実行できたので、俺が密かに考えていた利かん坊の羽の使い方は問題なさそうだな。

 普段使いには向かないが、戦闘中の一瞬のタイミングならこれで充分だろう。

 まるで一輪車に乗った直後にスポーツカーに乗らされたような気分だが、完全に使いこなせるようになるまではやむを得ないな。

 


 そんなことを考えていたら【アルベー】は標的を俺から【骨笛ネクロマンサー】……の操る【短弓射手】骸骨へと移して先程と同じように三本足での飛び蹴りを繰り出してきた。


 

 身体スペックが爆上げされている俺と違って、【短弓射手】骸骨は一般的プレイヤーと同等の力しかない。

 それに、技量もそこそこでしか再現されていないのでレイドボスである【アルベー】の攻撃に抗うことが出来ずにそのまま砕け散っていった。

 ああ無情……


 

 「ふひひっ、もうやられちゃいましたかぁぁ……

 お気に入りの骨だったんですけど、残念ですねぇぇ……」


 貴重な上位遠距離攻撃プレイヤーの骨だったからな……

 【骨笛ネクロマンサー】の骨のストックはまだあるだろうから、次はどんなやつの骨を使うのかが今後の戦闘の鍵になってくるはずだ。


 さあ、どう出る【骨笛ネクロマンサー】!?






 まだ慌てる時間ではないぞ……?


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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