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718話 特技だっち!

 【БББББББББББ!!!!】


 【アルベー】は三本足で動き回り、デバフサークルを展開しては消してを繰り返し始めた。

 

 デバフサークルは展開前に予兆があるので、それを見て俺たちは事前回避をしているのだがこうも連発されると攻撃に移れず困る。


 ただデバフを受けるだけなら問題ないが、行動不能間近まで身体機能を低下させられるので迂闊にくらってやるわけにもいかない。

 


 「これはいいですね~!

 いや~、【包丁戦士】さんに抱えられて移動は楽ですよ~」


 ボマードちゃんのデバフボディではアルベーのデバフサークルを回避しきれないので俺が抱えて移動している。

 スキル【夢幻深淵】の補正を受けた俺の身体のスペックなら造作もないことだぞ。


 

 だが、お前も自分で動け!

 俺はボマードちゃんを蹴飛ばして遠くへ飛ばした。

 そこならスキル発動の余力もあるだろう?


 「【包丁戦士】さんはいちいち荒っぽいですよね!?

 いや~、そういうところが好きなんですけど!

 ……というわけでスキル発動!【深淵顕現権限Ж(ジェーライト)】ですよ!」


 ボマードちゃんは黒い霧を身体に纏い身体を深淵に俏していく。

 お尻からドロドロと粘液を垂らすウナギのような見た目の尻尾を生やし、普段のボマードちゃんとは異なる不敵な笑みを浮かべ始めた。



 「おぅ、アルベーじゃねぇカァ!

 イャ~、本体じゃないとはいえアルベーと戦えるのは面白いよナァ!

 張り切らせてもらうゼェ!」


 口調もこれまでのボマードちゃんとは全くもって異なり、荒々しいものとなった。

 ロリ巨乳のベビィフェイスでそんな表情、そんな口調をされたらギャップでコロリと惚れてしまうやつもいるだろうな。


 だが、今のこの身体はボマードちゃんではなく別の存在が意識を浮上させており身体を操っている。

 その正体とは……


 「俺様の半身も妙な格好じゃねぇカァ!

 イャ~、胸が踊るゼェ!」


 ボマードちゃんの小さな身体で巨乳をゆさゆさと揺らしながら胸を踊らせているのは【ジェーライト】だ!

 【ジェーライト】はシステム上で俺と一心同体扱いされているから、半身と呼ばれているわけだな。


 

 そんな【ジェーライト】が操作するボマードちゃんの身体は卓越した戦闘センスの賜物なのか、デバフボディなのにも関わらず危なげなくデバフサークルを次々に回避していき……


 「ここが隙だナァ!

 スキル発動!【魚尾砲撃】!

 俺様の得意技をくらいやがレェ!」


 ボマードちゃん(ジェーライト)はデバフサークルを回避したそのステップの最中に、粘液を滴し続ける尻尾の先にエネルギーを集約させて、そのまま正面に向き返った際に極太レーザー……【魚尾砲撃】を放った。


 

 デバフサークルを発生させている最中だった【アルベー】はこの不意に放たれた極太レーザーに対応することが出来ず、そのまま身体で受け止める形となった。

 


 【БББББББББББ!!!!】


 「あんまり効いてねぇナァ……

 イャ~、これがレイドボスと底辺種族プレイヤーとの力の差ってやつカァ!

 嫌になってくるほど明らかな差だゼェ……」


 元々正式なレイドボスだったお前が言うなよ……

 そんな力の差があっても俺たちプレイヤーは数々のレイドボスたちを撃ち破ってきたんだ。

 それは実際に負けたお前ならよーく分かっているはずのことだろう?


 

 「そうだナァ……

 能力の低さも努力と工夫次第でカバー出来るってわけダァ」


 「ふひひっ、あてぃしも負けてられないですねぇぇ……

 スキル発動【想起現像】ぅぅ……

 さらにability発動【粉骨再身】んん……」


 【骨笛ネクロマンサー】はスキル【想起現像】とability【粉骨再身】の合わせ技によって骨の流砂の流砂を生み出し、それを凝縮していく。


 凝縮された骨の流砂は骸骨となり、プレイヤーと変わらぬ動きをし始めた。

 そして、そんな蘇らせられた骸骨が持つ武器は……短弓だった。

 短弓を構える骸骨は見覚えのあるマントを羽織っており、とあるプレイヤーを思い出させてくる。



 これは【短弓射手】の死の残留思念を集めたものだな。

 ボマードちゃんがアルベーからヘイトを集めているので、そこから離れたところに【短弓射手】骸骨を設置した【骨笛ネクロマンサー】はそのまま【短弓射手】骸骨に弓を射させた。


 流石に骸骨による攻撃のダメージの通りは悪く、傷が付いたのかすら怪しいがヘイトの分散には役立っているようだ。

 若干ではあるが、ボマードちゃんへの攻撃に揺らぎが生じるようになった。

 【短弓射手】の熟練の技を継承している骸骨の妙技と言ったところだろうか。



 直接【短弓射手】を連れてこれたらもっと良かったんだろうが、こうやって手数を増やせるのは【骨笛ネクロマンサー】のお陰だからな。

 素直に感謝しておこう。

 サンキュー!



 俺は屈託のない笑みを浮かべて【骨笛ネクロマンサー】に感謝の気持ちを伝えた。


 「ふひひっ、ストレートな言葉と気持ちは気恥ずかしいですねぇぇ……

 慣れてないですらからぁぁ……」


 沸騰したかのように顔を赤くして照れ始めた【骨笛ネクロマンサー】がちょっと可愛かったのは秘密だ!








 やはりプレイヤーが増えれば戦い方も広がるのぅ……

 実に興味深い。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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