711話 三人で深淵奈落突入!
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日はボマードちゃんと【骨笛ネクロマンサー】を深淵奈落へと連れていくぞ!
やっぱりあのジェーライト相手にソロだと無理だからな……
というわけでやってきました無限湖沼ルルラシア!
そこにある深淵奈落へと繋がる大穴を降りていくぞ!
「いや~、深淵奈落に行くのも久しぶりですね!
行けると分かっていても中々機会が無かったですから!」
ボマードちゃんは何度か深淵奈落に突入したことはあるが、その先にある【ルルイン】や【ルルナティック】には行けないので深淵奈落に行けたとしてもやることがほとんど無いからな……
仕方ないことである。
「ふひひっ、とうとうこの時が来ましたねぇぇ……
一人で来てもタイミングがよく分からなくてうまく突入出来なかったんですよぉぉ……」
【骨笛ネクロマンサー】は逆に一度も行けたことがないらしい。
俺の方法を試したいらしいが、実際【骨笛ネクロマンサー】が深淵奈落に突入できる資格を持っているのかは疑問が残るところだ……
【堕音深笛】こそ使えるが、どこまで深淵に適応しているのか判断できなかったからな。
それに、最終的に判断するのは俺ではなくルル様だからやってみるしかないだろう。
そう思い躊躇いなく飛び降りて、秒数を数える。
1.2.3…………
989.990.991.992.993.994.995.996.997
はいここで……スキル発動!【深淵顕現権限P】!
「スキル発動!【深淵顕現権限Ж】ですよ!」
「ふひひっ、スキル発動!【深淵顕現権限Φ】ですぅぅ……!」
俺の合図によってボマードちゃんと【骨笛ネクロマンサー】は同時に【深淵顕現権限】を発動させて、深淵奈落へと突入する準備を完了させた。
998.999!
そして、これまで同様バグ技の要領で無限ループゾーンを乗り越えて、ルル様のいる横穴までたどり着いた。
……というか、今しれっと【骨笛ネクロマンサー】も【深淵顕現権限】を使ってたよな!?
しかも俺の知らない深淵細胞だし……
ファイヌル……ね?
こいつ、今まで手札を身内にも隠していやがったな!?
流石は引きこもりソロプレイヤーを自称しているだけあって、何個も隠し球を備えていたようだ。
そういうのはわりと好きだから許してやろう……
俺もよくやるし!
横穴に降り立った俺たちの姿はそれぞれの【深淵顕現権限】によって異形の部位が生えていた。
俺はルル様の右骨翼、ボマードちゃんはジェーライトの尻尾。
そして、【骨笛ネクロマンサー】は尻尾のような突起がお尻についている。
あの突起がファイヌルという深淵種族の細胞を励起した結果生まれた、強化部分ということだろう。
見た目からして蜘蛛が糸を出す部位であることから、ルル様の忠臣である【忍び寄る蜘蛛糸】の細胞を【骨笛ネクロマンサー】は持っていたと推測できる。
……こいつは、いつからその深淵細胞を持っていたんだ。
「ふひひっ、それはクランリーダーの【包丁戦士】さんでも秘密ですぅぅ……
ただ、あてぃしも深淵細胞を持っていたからこの深淵奈落に入れるかもしれないって思っていましたよぉぉ……
【包丁戦士】さんの手引きが無ければ入れませんでしたけどねぇぇ」
計画的なのか無計画なのか判断に悩むところだが、【骨笛ネクロマンサー】のことだ少なくともボマードちゃんよりは計画性を持ってその打診をしていただろう。
【骨笛ネクロマンサー】は基本的に奥手だから余程のことがない限りは他人にお願いをしないはずなのに、今回は具体的にお願いされたからな。
頭がお花畑のボマードちゃんとは違うのだ。
「今私を引き合いに出す必要ありましたか!?
いや~、本当に【包丁戦士】さんは私のことが頭から離れないほど好きなんですね!?
照れちゃいますよ~!」
ほらほらほら、そういうところだぞ頭お花畑!
今の流れでどうしたら照れることが出来るというのだ……
俺にはこいつの脳内が理解できないぞ!
「ふひひっ、じゃれあっていないでこの横穴の先に進みましょうよぉぉ……
そこに【深淵域の管理者】がいるんですよねぇぇ?」
その通りだ。
ボマードちゃんは放っておいて先に進もうか。
「えぇ!?
いや~、待ってくださいよ~!?!?」
慌てるボマードちゃんを他所に俺たちは先に進むのだった……
待っておるぞ!
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