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709/2202

709話 トライデント×2+2

 ジェーライトの敷いた毒沼を突破する方法……

 それはバカ正直にあの毒沼を闊歩するなんて迂闊なものではない。

 

 さっきも俺が言ったように泥沼化不可避な長期戦を想定した戦い方……

 地形変動による毒沼の一時的な消滅をひたすら起こし続けるってものだ!

 ジェーライトが長期戦をご所望のようだが、あいにく俺にはそれに付き合えるほどのリソースを持っちゃいない。

 ここは盤面を一回ひっくり返させてもらうぞ!



 いくぜ、スキル発動!【深淵龍脈】!


 俺は聖剣次元との戦いの最中に手に入れた地形に働きかけるスキルである【深淵龍脈】を起動した。

 深淵竜の鼓動を感じる筋を地面に通していき、この場の深淵の力を増幅させていく。


 すると、地面が邪悪な気配を放ちながら脈動し始めて、毒沼ごと地に落ちたものを初期化していっている。


 この【深淵奈落中層ールルナティック】の地面は【紅枝深淵】が敷き詰められた赤い絨毯のような場所となっているからな。

 今は俺の手から離れているものの、元々俺のスキルによって生まれたものを再活性化させるだけなら【深淵龍脈】を用いれば容易いことだ!



 これが俺の深淵種族たちへのリベンジの秘策ってわけだ!

 特に地形に働きかける毒沼を上書きしてクリーンな状態に出来るのは、地形そのものを俺が掌握していたからこそ出来る荒業だから真似しないでくれよな!







 毒沼はこれでひたすら塗り替えられる……

 確かにそれは間違いなかった。

 だが、【深淵龍脈】が作用したのは何も地面だけではなかったのだ。

 深淵の力をより増幅させる龍脈は俺と相対するジェーライトに新たな変化をもたらした。



 なんと、胴の途中から新たに頭が次々と生えていき、元々あった一本の頭とは別に七本も生えていったのだ。

 蠢く八本の頭はそれぞれ自律し、別々の方向を向いたり俺の方を睨んだりしてきている。

 一本の頭ですら威圧感があったのに、それが増えたとなるとよりプレッシャーを感じてしまうぞ!



 

 ……これで、合計八本か。

 八本頭の生き物は伝説上存在しているし、龍脈の影響を受けたジェーライトがそのように変貌してしまった理由もなんとなく予想はできる。


 だが、これは厄介過ぎないか!?

 もしかして俺、何かやらかしてしまったんじゃないだろうか!

 よりによってジェーライトの頭が増えてしまうとは。

 他のレイドボスの頭が増えるよりも8倍厄介なことだぞ、これ……



 そんな俺の心配を他所に、ジェーライトは有り余るエネルギーを発散させようと攻撃体勢に入ったな。

 八つの頭、その全てが俺の方を向き口を開けて莫大な力をそこにためている。

 龍脈の力を得て深淵細胞をさらに励起したジェーライトは八つの頭全てにエネルギーを充填しはじめたのだ。


 俺の執拗な妨害もあって使い道の無くなっていた毒沼の生成を完全停止したのもあり、それらに使っていたエネルギーも頭に集約していっているのだろう。

 有り余るエネルギーを防御ではなく、攻撃に転換させるというのはレイドボスながら効率的な力の運用方法で思わず感心してしまった。

 

 このゲームのレイドボスはやはり高性能なAIが積み込まれているのか、こちらの行動に対する反応が一々厄介だ。


 

 集めたエネルギーはあたかも暴発するかのように突如として放たれた。

 八つの頭から放たれる八つの極太レーザーが地面を抉り取りながら、その全てが俺の命を奪おうと迫ってきている。



 今まで一本の【魚尾砲撃】で手一杯だったのに、急に八本に増えられても対応できるわけないだろ!

 

 一応悪あがきとして十二枚の羽のうち一枚を小刻みに起動することで緊急回避を繰り返していく。

 羽の動力に引っ張られるようにして、上下左右に立体的に振り回されながら一本、また一本と【魚尾砲撃】を回避していくがそれにも限度があったようだ。


 

 五本目の【魚尾砲撃】を受けてしまい足が欠損、六本目の【魚尾砲撃】を受けて手が欠損、七本目の【魚尾砲撃】を受けて胴体が消し飛んだ。


 そして、八本目の【魚尾砲撃】は光の粒子と化した俺を貫通する形で後ろへと伸びていっていた。













【Raid Battle!】


 【深淵域の管理者】



 【エルル】


 【???】【上位権限】【ボーダー】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【深淵へ誘い】


 【冒険者を堕とす】


 【深き真価を見極め】


 【境界に流転する】


 【封印された夢想が解き放たれし時】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【レイドバトルを開始します】



 いや、途中まで俺が勝つ流れだったじゃん!

 これだけ尺を使ってまさか負けるとは思わなかったぞ……


 これまでのジェーライト戦が短期敗北だったために、俺自身今回は勝てるだろうという慢心があったのかもしれないな……


 とりあえず、羽の操作をまともに出来ないと話にならないってことが分かったのでジェーライトにゾンビアタックを仕掛けて熟練度を上げていくとするか!

 正直気が遠くなる思いだが、こればっかりは慣れるしかない。

 やってやるぞ~!






 我を楽しませるのだぞ。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] 九本目と十本目も生やそうぜ(それ違うゲーム)
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