705話 再選の再戦(挿し絵あり)
【Raid Battle!】
【深淵域の管理者】
【エルル】
【???】【上位権限】【ボーダー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【深淵へ誘い】
【冒険者を堕とす】
【深き真価を見極め】
【境界に流転する】
【封印された夢想が解き放たれし時】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日はルル様が言っていた特別な挙動がする場合の場所で【夢幻深淵】の慣らし運転をしていくぞ!
ちなみに、ルル様相手扱いになっていたあの時も特別な挙動をしていたようで、夢幻エネルギーが溜まったままになっていた。
消費してすぐ溜まったのか、消費量が極限まで抑えられたのかまでは分からなかったがおそらく後者だろう。
五分しかあの変身が持たないと言っていたのにあの解説の時は普通に五分を越えていたからな。
その辺はしれっと説明しないで済ませていく辺り、ルル様は深淵種族らしいと言えるだろう。
そして、ルル様相手にその挙動が起きた理由についても考えてみたが……
①場所が深淵奈落である
②相手が深淵種族である
③相手が【上位権限】レイドボスである
④相手がレイドボスである
⑤プレイヤーがソロである
⑥プレイヤーが深淵種族に類する種族である
⑦プレイヤーが【上位権限】を持っている
ざっと当てはまりそうな条件を集めてみたらこんな感じになった。
ここの中に不要な条件もあれば、足りない条件もあるかもしれないがそれはこれから絞っていけばいい話だ。
というわけでやってきました【深淵奈落中層ールルナティック】。
俺がわざわざここまで足を運んだのは条件の絞り込みがやりやすそうなところ且つ、じゃじゃ馬な【夢幻深淵】を使ってもなんとかなりそうなほど広大なマップだからである。
ここは俺が開拓したレッドカーペットのような赤い枝が広がっており、一面を覆い尽くしているぞ。
禍々しくも俺好みの光景だな。
そんなレッドカーペットを歩いて進んでいくと、漆黒のウナギ?ヘビのような像があるところまで到着した。
この像は【深淵機構ーAbyss system】、かつて戦った深淵種族のレイドボスと再戦することが出来るものだ。
前に起動した時には再現体のアルベーとジェーライトに瞬殺されてしまったが、今回俺の目の前にあるのはそのうちの一体であるジェーライトの像だ。
ただ、すぐに戦闘に入るのではなく、まずは【失伝秘具】【夢幻銀鍵】起動!
俺が【失伝秘具】【夢幻銀鍵】に深淵の黒い霧を纏わせると、それに反応した鍵が空中に浮かび上がりその場で高速回転し始めた。
スキル発動!【夢幻深淵】!
俺がスキルを発動させると夢幻エネルギーと呼ばれるミチのエネルギーと深淵の力が同時に膜のように俺の身体に張り付き始めた。
そして俺は鍵穴へと走り抜けていく。
そして、通り抜けると俺の装備が黒セーラー服衣装へと変化し十二枚の羽と、六つの狼の顔が鍔に顕された包丁が俺の隣で浮遊している。
それはいいが……やっぱり急速にエネルギーが消費されていっているな!?
この喪失感、やはり深淵奈落だからエネルギーを抑えられるってわけではないらしいな。
とりあえず急いでアビスシステムを起動しよう……
というわけで俺は目の前に表示されているウインドウ画面を覗く。
【深淵機構ーAbyss system】
【【荒れ狂う魚尾砲】ーЖ】
【上記のものを起動しますか?】
【はい】【いいえ】
よし、起動だ!
【Raid Battle!】
【荒れ狂う魚尾砲(廻)】
【レイドバトルを開始します】
レイドバトルが始まると脳内に無機質な声が鳴り響き始め、俺の前に巨大なウナギのような、ヘビのようなレイドボスが脈動し始めた。
そして、目の前にいる俺を感知するとそのまま突っ込んできた。
ルル様の翼があったら飛んで回避したいところだが、今の十二枚の羽を使うと制御しきれないので普通に足を使って回避行動を取っていく。
大袈裟なサイドステップによる緊急回避だな。
包丁を手に持っていないから若干軽くなっているから回避行動がやりやすい。
【ЖЖЖЖ∽#ЖЖЖЖЖ#Ж#%!】
必殺を図った速攻がかわされたのが気にくわなかったのか、雄叫びをあげながら怒り狂っている。
そんな怒りに支配されているジェーライトから全力で離れていき少し遠巻きに俯瞰しながら今の俺の状態を確認してみると、やはりエネルギーの消費が大幅に抑えられ始めていた。
それこそ減っているのか怪しいほど極小のエネルギーしか減っていない。
これなら一年変身したままでも変身が解除されないだろう。
とりあえず相手が【上位権限】レイドボスじゃなくても、レイドボスもしくは深淵種族が相手ならエネルギーが特殊な挙動を起こしてくれるようだ。
これで思う存分【夢幻深淵】を試せるってもんよ!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】