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696話 ふとした発見

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 ……よし、ちゃんと新緑都市アネイブルにある天子王宮からログイン出来てるな!

 あの蟹娘がホラを吹いていたらどうしようかと思ったが、【上位権限】レイドボスなだけあってそこらのプレイヤーのように変な嘘はつかないらしい。

 それは俺にとっては好都合だな。


 


 無人島生活から解放されたので、街中が恋しくなってきた。

 ……というわけでやってきました新緑都市アネイブルにあるほのぼの市場。


 プレイヤーが買い物をし、深淵獣が野良犬のように駆け回る魔境と化し始めている場所だが、ユニーククエストの報酬で黒い霧の影響を受けなくなったプレイヤーが増えたので活気が少し戻ってきているな。

 いいことだ!



 そんな新しい風景の新緑都市アネイブルで買い食いをしながらゆっくりとした時間を過ごしている。

 ちなみに、今食べているのはホットドッグだな。

 現実では感じることの出来ない肉感を味わえるのが魅力的な一品だ。

 おそらくだが、冒険者ギルドダンジョン産のモンスターであるワイルドピッグの肉を使用したソーセージだろう。

 脂ののった味わいと、噛んだら押し返してくるような食感を両立している奇跡の食材である。


 

 んふぉ~、ふぉれふぉれ!


 ……失礼、口に食べ物を含んだ状態で喋ったので上手く聞き取れなかったか?

 俺は料理系生産プレイヤーでもあるから、美味しい料理には目がないんだよ。

 実食して自らの経験値に変えていくのは、戦闘系プレイヤーが敵を倒すのと似たようなものである。

 ウマイと思える味を知らなかったら自分でその味に近づけるという意識すら生まれないから当然なんだがな。


 「あっ、【包丁戦士】がホットドッグ食べてるぞ!」


 「狂人でも食事中は大人しいんだな」


 「ずっと何か食べさせてたら平穏なボトムダウンオンラインになりそう……」


 「閃いた!」


 「通報……しない!」


 「っていうかホットドッグ食べてる【包丁戦士】って可愛くね?」


 「悔しいけどちょっとわかる」




 ……なんか勝手に分かられてるんだが、よくある光景だ。

 俺はよくも悪くも包丁次元では有名なプレイヤーキラーだからな。

 直接関わりに来るやつはそんなにいないが、遠巻きに観察されるのは日常茶飯事なのだ。

 最近までみたいな無人島とか深淵奈落とか、一見さんお断りのようなエリアだと流石に見られないが、それ以外の場所での俺の動向は掲示板を探せば誰かが垂れ流していたりする。

 有名税なのか、警戒されているのかは……俺には判断できないな!





 そんな声を聞きながら歩いていると、屋台の裏で普通の深淵獣とは異なった形状のやつがいるのを見つけた。

 そんな異形深淵獣だが、モブプレイヤーを背中の上に乗せている。

 しかも、振り降ろすような動作を取ることがないどころか上に乗っているモブプレイヤーを気遣う様子すら窺えるな。

 無限湖沼ルルラシアでの抗争の時には俺や【骨笛ネクロマンサー】に従う意志を見せていたが、他のプレイヤー相手だと深淵側についたプレイヤーを襲わないくらいで、プレイヤーの指示を受け付けたりはしていなかった。


 なのにその指示を受けているのは不思議なことだが、似たような現象を見たことがあるな。

 そう、ジョブ【テイマー】からの派生ジョブの【パイロット】だ。

 【パイロット】は無機物をテイムできる機戒種族側の上位ジョブだが、それ対応するように深淵種族側の【テイマー】上位ジョブがあってもおかしくないよな。


 

 どんな条件なのかまでは分からないが、新緑都市アネイブルとか無限湖沼ルルラシアで今後活動するなら深淵獣を使役出来ると便利そうだな。

 ……まあ、俺は基本ジョブである【テイマー】に就くつもりはないが、今度【ハリネズミ】のメンバーたちの誰かにおすすめしておくか。

 深淵天子である俺がリーダーのクラン【コラテラルダメージ】に所属しているんだから、深淵側のプレイヤーを増やしていくのも悪くない。


 既に深淵細胞を保有する【フランベルジェナイト】と【ボマード】ちゃん、【堕音深笛】を使える【骨笛ネクロマンサー】と【尺八僧侶】がいるが、ここに深淵種族版テイマーも加わったら賑やかになりそうだ。

 それを想像すると不覚にもワクワクしてきたな!


 よーし、ちょっくらけしかけてくるか!







 カッカッカッ、喜ばしいことだのぅ……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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