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695話 深海種族

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 いや~、焦った焦った……

 あの少女が【上位権限】レイドボスだっていうのは分かっていたが、出会って早々に変身してくるなんて流石に想定外だった。

 そう考えるとあの死に戻りもやむを得ないって思える。


 「そうですわね……

 ワタクシが防御する前に近距離で押し潰されてしまいましたわ。

 あまりじっくりと姿を観察できませんでしたが、蟹の姿をしたレイドボスのようでしたわね」


 ああそうだな。

 語尾に【カニ】ってつけているだけあって、蟹の形状のレイドボスだったようだ。

 カニの敵って色々なメディアでも、そこまで強キャラ扱いされていないことが多いがこのボトムダウンオンラインでは種族の頂点……【上位権限】レイドボスとして君臨しているようだ。

 【菜刀天子】の黄龍、ルル様の異形、【大罪魔】の七変化(本来の姿は破損しているからまだまだ隠してるっぽいが……)、【荒野の自由】は……よく知らない。

 そんな変わり者が多い中でただの蟹が【上位権限】を持っているとは信じがたいから何かしらの秘密があるだろうな。


 「それでしたら直接聞きに行きませんこと?

 どちらにしてもワタクシたちが取れる行動はレイドボスとの接触くらいでしてよ!」


 その通りだ!

 とりあえず当たって砕けろの精神であの蟹娘に会いにいくか!

 【上位権限】を持っているくらいなんだから流石に何か知ってるだろ。








 【Raid Battle!】


 【絶深海の総座長】



 【???】


 【???】【上位権限】【???】



 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】


 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】


 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】


 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】


 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】


 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】


 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】


 【ーーー海域に適応していないため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 

 「また懲りずに来たカニね……

 当方にまたキルされたいカニか?」


 待て待て待てっ!!

 別に、俺たち二人でお前に挑もうなんて思ってない。

 プレイヤー二人で【上位権限】レイドボスに勝とうなんて無謀すぎるからな!



 俺は早まりそうになったこの蟹娘の気を抑えにかかるために、勢いよく飛び出し敵意がないアピールをした。

 出会った瞬間にキルされてしまっては話すらままならないからな。

 

 「そうですわ!

 ワタクシたちはただこの無人島から脱出する手段を探しているだけですわよ」


 俺の言葉を補強するように【トランポリン守兵】お嬢様が追撃してくれた。

 これで俺たち二人の意向は伝えられただろう。

 



 そんな俺たちの言葉を聞いた蟹娘は少し考え込み、一旦間が空いた後に口を開いた。


 「脱出だけなら当方の力でやってやれるカニ!

 この島は当方の【深海】の力で出入りを制限しているから、その力を一時的に解除すればいいだけカニよ」


 【深海】の力……

 そういえばアンカー次元のMVPプレイヤーの夢魔たこすが【深海顕現権限】というスキルを使ってきていたな。

 あいつの力はこの【深海】の力が由来ということなんだろうか。



 ……それとは別に気になったこともある。

 【深海】の力で出入りを制限しているはずの場所に何故俺たちが入り込めたんだ?

 そもそも前提からしておかしいことになってしまうんだが……


 「そうですわね?

 ワタクシたちはいつの間にかここにおりましたわ……

 どうやって入り込めたのかも不明ですから、分からないことが多いですわよ……」


 【トランポリン守兵】お嬢様も同じことが引っ掛かったようだな。

 出ることを制限しているというのは、俺たち二人が脱出しようとして阻まれたことから嘘だとは思っていないが、入ることを制限しているのかまでは分からないからな。



 「……それはおそらく聖獣の権限を持っているからカニ。

 当方たち深海種族は中立の立場、つまり入るものがそれ相当の力を持っていたらこの【絶深海】の領域に入ることが出来るカニ!

 聖獣種族でも、深淵種族でも機戒種族でも、罪魔種族でも、他の種族でも大歓迎カニ!

 ……でも、森人種族は当方たちのライバルカニ!

 あやつだけは許さないカニっ!!」


 ……【槌鍛冶士】、この蟹娘に何をしたんだ。

 他の種族が許されているのに【槌鍛冶士】が許されていないってことは相当バチバチした関係なんだろう。

 俺が【槌鍛冶士】の知り合いってことは黙っておこう。


 「とりあえず、当方がお前たちの脱出の気配を感じたら権限を解除してやるカニ!

 入るときは……絶深海の末端の海で聖獣の権限やそれに類するものを使ったら招待してやるカニよ!

 今度は事故ではなく、当方の意志で!」


 それは助かる!

 聖獣の権限を持っているやつなら連れてこれるってことになるからな!

 あいつとか連れてきたら喜びそうだ。



 とはいっても、聖獣の権限を持っているやつなんてほとんど居ないけど。

 【検証班長】には悪いが、しばらく俺たちでこのエリアを調べることになりそうだ。

 【検証班長】だったらミチのエリアを見つけたら大喜びで駆け巡りそうなものだが、皮肉なものだ。








 そんなことを思いながら俺はログアウトしていったのだった……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

 

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