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692/2202

692話 並々の津波

 とりあえず海を一通り楽しんだ気がするぞ。

 貴重な日常回だった気がするが、そろそろお開きだな。

 かなりの時間を海水浴だけに使った気がする。


 「そうですわね。

 あなた様と戦闘が絡まないタイミングで交流する機会がありませんでしたので、新鮮な気持ちになれましたわ。

 それではログアウトを……」


 俺と【トランポリン守兵】お嬢様は二人とも合意の上でログアウトをしようとした。

 だが、ウインドウ画面を呼び出しログアウトボタンを押そうとした瞬間……




 えっ、何あれ……

 俺たちの顔には急に影がさしていった。

 まるで大きな壁とも表現できるものが迫ってきていたのだ!


 「つ、津波ですわ!?

 巻き込まれ……」


 俺と【トランポリン守兵】お嬢様は突如として現れた大波に身体が拐われてしまい、ログアウトボタンを押すことが叶わないまま視界が暗転していった……



















 「あなた様!あなた様!

 起きてくださいまし!

 大変なことになりましたわ!」


 んん……なんだよもう朝か……?

 俺は誰かに身体を揺すられながら目をこすり、視界をオープンにする。

 そうすると、そこには青い顔をして慌てている【トランポリン守兵】お嬢様の姿があった。

 ……ちなみに、ブラジリアンビキニ姿のままである。


 

 おいおい、そんなに慌ててどうしたんだ?


 「あなた様、あの津波を忘れましたのかしら?

 ワタクシたちはあの津波で流されてしまったのですわ」


 ……あぁ!そういえばそうだった。

 あのどでかい津波に邪魔されてログアウト出来なかったのか。

 てっきり寝落ちしたかと思ったが、そもそも目の前に【トランポリン守兵】お嬢様がいる時点でボトムダウンオンラインの世界の中にいることが証明されているからな。

 寝ぼけて思考が鈍っていたようだ。


 ……で、ここは何処なんだ?



 思考が落ち着いてきた俺が辺りを見渡すと見覚えのない景色が広がっていた。

 南国に生えているような木が生えていたり、花が生えていたりとずいぶんこれまでの場所と雰囲気が違う。

 少し前までいた砂浜とは全く別の場所のようだが……


 「実はワタクシも分かりませんのよ?

 このような場所があるということは聞いておりませんでしたわ……

 あなた様と行動するということは、こういうことなのですわね……」


 何だか俺の評価がどうなっているのか気になるセリフだが、どうやら俺たちはミチの場所に移動させられてしまったようだ。

 ここは無人島か?

 漂流といえば無人島が定番だからな、真っ先にその可能性が思い当たった。


 「可能性は高そうですわね。

 ですが、プレイヤーがたどり着いたことのない場所でしたら基本無人ですから、無人島ではなく無人の大陸……という可能性もありましてよ?」


 ……確かにな。

 このゲームではNPCという存在がごく少数しかいない関係で、建造物が元々少ない。

 だから大陸だろうが、小島だろうが全体を見て回らないことには判断できないのだ。


 「どちらにしても本日は時間も迫っておりますし、ログアウトして明日調査しますわ!

 スキル発動!【花上楼閣】!」


 【トランポリン守兵】お嬢様は【花上楼閣】によるリスポーンポイントの花弁を設置してログアウトしていった。

 俺も【花上楼閣】を使うか……と考えたが、ふと嫌な予感がしたのであえてスキルを使わずにログアウトしてみる。


 









 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、嫌な予感が的中したログイン!

 いや、なんとなく分かっていたさ。

 突然今まで見たことがないマップに連れてこられるのって前にも経験したことがあったからな……


 前は【バットシーフ】後輩と……そう、【機戒監獄】に幽閉されたのだ。

 その時に一番困ったのがログイン位置の強制固定だ。

 新緑都市アネイブルの天子王宮にログイン位置を固定されているのはそんなに支障はないが、この周りから隔絶された場所にログイン位置を固定されているのは非常に面倒だ。


 なんといっても脱出の目処がつかないからな……

 【機戒監獄】の時は【バットシーフ】後輩の高等窃盗術の助けもあって華麗に脱出できたのだが、今回は本当にどうしたらいいのか分からない。

 

 とりあえず……【トランポリン守兵】お嬢様の【花上楼閣】壊しておくか!!!


 俺は憂さ晴らしと親切心で【トランポリン守兵】お嬢様が設置していった岩の花弁を粉々に粉砕して満足して寝転がって時間を過ごしたあとログアウトしたのだった……








 変なプレイヤーが来たカニ……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 変な声が出てきたカニwww
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