表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

683/2206

683話 足止め14

 「釣竿一刀流【斬祓】っ!」


 デバフサークルに囚われて動きが鈍った【エヌレッド=シャーク(廻)】に【釣竿剣士】が少し離れたところから釣竿を扇状に高速振動させて、空気振動によって【エヌレッド=シャーク(廻)】の機体に切り込みを入れていく。


 デバフサークルに巻き込まれたらせっかくのデバフが【エヌレッド=シャーク(廻)】だけではなく【釣竿剣士】にもかかってしまい無意味だからな。

 【釣竿剣士】は多少リーチの長い釣竿一刀流の技を選んで斬り込んでいったのだろう。


 実際、デバフによって防御力の下がった【エヌレッド=シャーク(廻)】はこれまでよりも深く傷を負うようになっていた。

 まだまだ体力には余裕があるのか、ダメージを受けてもすぐに復帰して来ているので倒すには程遠いが、【神殿】完成までの時間稼ぎとしては充分な働きと言っても良いような気がするな。


 「うぉい!俺の電子レンジをくらぇい!」


 そこに電子レンジ使いのモブプレイヤーが乱入し、【エヌレッド=シャーク(廻)】に殴りかかっていった。

 

 あっ、おい!

 ちょっと待てよ!!

 普通ならそれでいいんだろうが、そこは今デバフサークルを二重にしてある……ってあぁ……


 「えっ?

 うわぁあ!?」


 案の定と言ったところか、電子レンジ使いはデバフサークルに踏み込んだ瞬間に全身が脱力し地に伏すこととなった。

 言わんこっちゃない……

 俺のデバフサークルは特別製だからな、他の連中が使う【阻鴉邪眼】と同じ感覚で突っ込んでしまってこうなったのだろう。


 その結果動けなくなってしまっていては元も子もないがな!

 そして、近くにいた【エヌレッド=シャーク(廻)】のヒレによって惨殺され光の粒子となって消えていった……

 完全に出オチキャラだったな、電子レンジ使い……


 


 俺は電子レンジ使いとは違ってアルベーの眼を顕現させているので、デバフサークルを無視して弱体化した【エヌレッド=シャーク(廻)】へと接近していく。

 アルベーの細胞を励起している間はデバフに対する耐性を俺に付与してくれるからな。

 自分で設置しているデバフサークルに引っ掛かることなく行動ができるのだ!



 【nNnN、nNnN、NNn、NNn!?!?!?】


 弱体化した【エヌレッド=シャーク(廻)】は俺が放った上方から下方への真っ直ぐな斬撃である唐竹割りをかわそうとしたが、デバフサークルによって思うように動けなかったのかモロにダメージを受けていった。


 だが、ダメージが通ったとはいえ致命傷には程遠い。

 もっとダメージを与えて遅延しないと……


 そんなことを考えていたら背後から迫ってくるプレイヤーの気配を察知した。

 敵意は……無さそうだな?

 つまり包丁次元のプレイヤーなんだろうが、生き残っているやつは【神殿】製作の生産プレイヤーしか居なかったはずだが……



 そして【エヌレッド=シャーク(廻)】を包丁とデバフサークルで牽制しつつ、その気配の主の方を見るとそこには陰キャの生産プレイヤー【ドライバー修理人】がいた。


 また戻ってきたのかこいつは……

 

 「えっ、あっ、はい……」


 わざわざ戦場に戻ってくるなんてもしかして戦う気なのか?

 俺は戦闘において頼りなさそうな気しかしない【ドライバー修理人】を品定めしていたが、【ドライバー修理人】は目を見開いたあと首をブンブン振っていた。

 ……横方向に。



 おいっ、ならなんで戻ってきた!?

 もしかして自殺志願者か?


 俺はこいつが戻ってきた理由が本気で分からないので、【エヌレッド=シャーク(廻)】の牽制を【釣竿剣士】に任せて【ドライバー修理人】に近寄っていった。

 俺の気配に気圧されたのか、【ドライバー修理人】は俺が近寄る度に後退りしていってしまうのでおいかけっこのようになってしまっている。


 おいおいおい、どうしたどうした!

 今の俺はお前をキルしようとしているわけじゃないんだぞ?

 俺はプレイヤーキラーだが、()()()()()()()()()()()()()()()()イベント中に味方をキルするつもりはない。

 ……【深淵顕現権限】の生け贄は別だけど。



 俺は宥めるように【ドライバー修理人】に説明すると、なんとか落ち着いてくれたようで口を開いてくれた。


 「えっと、その……【神殿】、そろそろ完成……」


 おどおどと話す【ドライバー修理人】。

 おっ、【神殿】の完成が近いんだな?

 だが、そのまま完成させれば包丁次元の勝ちなんだから報告なんてしにこなくても良かったんだぞ?


 俺は真っ当な意見を言ったつもりだったが、【ドライバー修理人】の言葉にはまだ続きがあったようで俺の言葉を否定しながら言葉をさらに紡いでいく。


 「実は、その、あの……【神殿】の完成には、【失伝秘具】が……必要」


 【失伝秘具】だって!?

 そんなレアなものが必要なのか!?


 ……もしかすると、このタイミングで襲ってきた【エヌレッド=シャーク(廻)】を倒したら【神殿】用の【失伝秘具】が手に入るとかそんな仕様なのかもしれない。

 それなら【エヌレッド=シャーク(廻)】を倒すメリットが充分にあると言えるだろう。

 この寄せ集めメンバーで勝てるのならな!

 流石に無理無理無理無理!!!!!



 そうなると、手持ちの【失伝秘具】を使うしかないんだろうが、俺が今まで手に入れたやつは【八卦深淵板】と【大深罪鉄林包丁】、【クロックギア】だ。

 そして、ボマードちゃんが【天地照堕盾】を持っている。


 「ダメですよ、いくら【包丁戦士】さんの頼みでもこれはあげられません!

 いや~、【包丁戦士】さんと二人きりになれる【深淵奈落】に行けるキーアイテムですからね~!

 それに、【包丁戦士】さんとのデート中に手に入れた思い出の品なんですよ!」


 まだ何も言ってないが、先だって否定してきたのはボマードちゃんだった。

 色々突っ込みたいが、とりあえずあれは別にデートじゃなかっただろ……

 調査だ調査!



  

 ……仕方がないので俺の【失伝秘具】をどれか使わないといけなくなった。

 とりあえずこのまま【エヌレッド=シャーク(廻)】の足止めは頼んだぞ!


 「ぐわぁあぁぁあいあああぁ!!!???」


 「くそっ、これでは【検証班】の名折れ……」


 「いや~戦線崩壊ですよ、これ……

 あっ、スキル発動!【名称公開】!

 私はボマードです~」


 【レイドボスの能力に一部制限がかかりました】


 【制限時間00:10:00】




 俺が離脱した瞬間に複数の断末魔が聞こえた気がするが、気にしないようにしよう……









 特定の個人ではなく、全体としての勝利を狙うか。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ