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682話 邪眼と光翼18

 くそっ、このまま戦っても押しきられるぞ!?


 「【エヌレッド=シャーク(廻)】は私たちと戦うことよりも、拠点……いえ【神殿】を狙って進んでいますから私たちが全滅するよりも先に【神殿】が壊れるかもしれませんね。

 それは生産プレイヤーとしても避けたいです」


 【釣竿剣士】の言う通りだ。

 何とか戦えてはいるが、【エヌレッド=シャーク(廻)】の進行を完全に止められているわけじゃない。


 「こ、来ないでくださ~い!

 いや~、サメに追いかけられるのは映画の世界だけだと思ってたんですけど、実際に追いかけられてみると心臓バクバクですよ~!!」


 ボマードちゃんは爆弾を投げながら、【エヌレッド=シャーク(廻)】に追いかけられているな。

 ロープ使いのモブプレイヤーに背負われているから、疲れで心臓がバクバクしているというよりは恐怖で鼓動が早まっているということだろうが、この中で一番楽してるのはお前だからな?

 


 そう言いながらも俺は包丁を【エヌレッド=シャーク(廻)】へと突き刺そうとした。

 刺突による内部へのダメージを狙ったのだが、俺の片手はピッケル次元の拠点に襲撃したときに失われているので両手で突き刺したときよりも内部への侵攻が上手くいかなかった。


 あの時片手を失っていなければ……

 そう思う気持ちもあったが、失ったものは戻、ら、ない……?

 

 いや、待てよ……?

 ここであれを使うか?

 だが、この状況……使うべきか使わないべきか悩むよな……

 こいつらがどれくらい戦えるのか次第だが、誰を使うのか少し見極める必要がありそうだ。


 

 【釣竿剣士】は間違いなく必須戦力なので論外として、爆弾でダメージソースとなっているボマードちゃんとロープ使いはセットで残すか。



 あとは、片手剣使い、バックラー使い、釘使い、電子レンジ(鈍器)使いだな。



 片手剣使いはジョブ【ウォーリア】で、バフの効果もあってそれなりに戦えているな。

 あっ、ちょうど今一回切り込んだ!



 【検証班】のバックラー使いはタンクプレイヤーだな。

 今もサメのヒレによる衝突から味方を守っていたりするし、立ち回りは派手ではないが堅実だろう。

 この前の深淵獣のユニーククエストの時もこいつがいたせいで【検証班長】に【邪神像】を呼び出す隙を与えてしまったから、一目置いていたりする。

 今のレイドボスの侵攻を遅延させるには残しておいた方がいい人材だろう。


 

 釘使いと電子レンジ使いだが……正直どっちもどっちだな。

 


 釘使いは【エヌレッド=シャーク(廻)】が接近してきた時にギリギリで回避しながら、手に持っている腕くらいのサイズの釘を擦らせながら僅かにダメージを与えていく戦術を取っている。


 ヒットアンドアウェイに近いが、いかんせんダメージ量が少ない。



 電子レンジ使いは……電子レンジで【エヌレッド=シャーク(廻)】を殴っているな。

 もはや電子レンジである必要は一切無いが、チュートリアル武器の壊れないという性質上打撃に使うのにはちょうどいいサイズ感と重量ではある。


 問題は、命中率がそんなに高くないってところか。

 【エヌレッド=シャーク(廻)】は地面に潜ったり、空を飛んだりしているから隙が出来やすい攻撃は当てにくい。

 電子レンジの重量ではギリギリ攻撃が間に合わない時もあるのが見て取れたな。


 

 それぞれ何とか戦ってくれてはいるが、他のプレイヤーと比較するとこの二人の立ち回りは一歩劣る気がする。

 もちろん、隠し球があるなら別だが、これならこの二人のうちどちらかを使うのが良さそうだ。



 電子レンジの方が威力的にロマンがあるので、釘使いを使うか!

 まずは称号を【神淵使徒】に変更して……

 いくぞ!

 スキル発動!【深淵顕現権限Б(アルベー)】!



 【スキルチェイン【深淵顕現権限Б(アルベー)】【天元顕現権限】】


 【追加効果が付与されました】


 【デメリットが増加しました】


 俺は【エヌレッド=シャーク(廻)】に攻撃を叩き込んでいる最中の釘使いに黒い霧を纏わせ、深淵スキル発動のための生け贄に捧げさせてもらったぞ。

 残された人数的に、こいつは貴重な生け贄要員ということだな。



 スキルの発動と同時に俺はまばゆい光と、漆黒の霧に包まれた。


 ただ、均等に光と闇が包み込んでいるわけではなく、身体の左半分が光に覆われているのに対して、身体の右半分は闇に覆われている。

 アンシンメトリーのような感じるが、この相対する二つの力の奔流を完全に掌握するのは難しい……のだがそれでも深淵の力と天子の力をある程度弄れるようになった俺ならさらに力を伸ばしていける!



 そして左側に生えた天子の翼はそのままに、右眼には翼の形をした瞳孔が羽ばたくように漆黒の闇を発している。


 ここでさらにスキル発動!【阻鴉邪眼】!


 その闇はスキル【阻鴉邪眼】によって増幅され、俺の右半身を蝕み始めた。

 この闇に囚われた部位は一切の動きを許されないほどの衰弱効果を付与されてしまうからだな。


 だが、称号【神淵使徒】の効果によって右半身を蝕んでいた闇が払われていき、さらには失われていた片手も再生してきた。

 俺の身体はこれで完全状態に復帰だ!

 やったぜ!



 そして、俺が回復したのとは対称的に【エヌレッド=シャーク(廻)】の周りには二重にデバフサークルが形成され、その中にいた【エヌレッド=シャーク(廻)】の能力値を減少させていく。

 動きが鈍り、再び纏っていた竜巻の勢いも俺たちが吹き飛ばされないレベルまでには弱まってくれた。


 【エヌレッド=シャーク(廻)】は天地を駆けるレイドボスだが、デバフサークルはそのどちらにも干渉していくので【エヌレッド=シャーク(廻)】とは相性がそれなりにいいな!



 「あぁ、【包丁戦士】さんの補助助かります。

 ちょうど欲しいタイミングでしたよ。

 これで私の生産プレイヤーとしての力を思う存分叩き込めそうです!」


 【釣竿剣士】が俺のデバフのタイミングを誉めてきたが、俺は補助の動きがそこまで得意ではないから上手く出来たのか怪しいところだ。

 だが、それでも誉められたのなら悪い気はしないぞ……!







 光だったり、闇だったりする……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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[一言] 光と闇が合わさり最強に見える
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