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680/2202

680話 脱出即防衛戦線20

 そんなこんなでピッケル次元の拠点から逃げ帰ってきたわけだが、俺たち包丁次元の拠点にも危機が迫っていたようだ。


 

 「ほっ、はっ、えっ、れっ、レイドボスがっ!?」


 こらこら落ち着け【ドライバー修理人】!

 お前の言いたいことはよく分かる。

 何せ道中で同じものを見てきたからな。


 警戒する俺たちの足元から震動が伝わってきている。


 その震動の元を見ると、地面に貫通するようにサメの背びれが飛び出しながら迫ってきている最中だった。


 迫ってきていた背びれが水飛沫をあげる代わりに砂埃を舞わせながら浮上し、その身体の全体像が露となった。


 一言で言うのであれば、全身が鋼鉄に覆われたサメである。


 深紅の鋼鉄のボディで空中を泳ぐように飛んでおり、5メートルほどの巨体は俺たちの頭上で影を落としている。


 


 そう、包丁次元の拠点の防衛線付近に現れたのは【想起砂漠の現像鮫(廻)】だったのだ!


 しかも、俺が戻ってくる最中に見た光景は【想起砂漠の現像鮫(廻)】が三体に分裂してそれぞれの次元の拠点へと向かっている様子だったのだ。

 とうとうサメも分裂する時代になったのか……とか思ってしまったぞ。

 ハリウッド映画もビックリな詰め込み具合だ!



 おそらくだか、時間の経過かどこかの次元の【神殿】製作の進捗が一定以上になったら始まる襲撃イベントだったのだろう。

 つまり、この状況は必然的に起こり得る出来事だったという可能性が高い。

 だから落ち着いて行動すれば対処は出来るようになっているはずだ。


 ……な、だから落ち着けよ【ドライバー修理人】。


 


 俺はパニックになっている【ドライバー修理人】を宥めながら、俺自身も脳内で状況の整理をしていた。

 包丁次元の拠点に残っているプレイヤーは20人、そのうち10人は今もなお【神殿】の完成に向けて作業をしているため戦場に駆り出すことは出来ない。

 

 ……いや、正確には出来ないことはないんだが作り手を失ってしまったら包丁次元の【神殿】は永久的に完成することが無くなり、【想起砂漠の現像鮫(廻)】を撃破できたとしても犠牲次第では……結果としてこの次元戦争に敗北してしまうことになる。


 

 今ここで戦力になるのは俺……【包丁戦士】と、ボマードちゃん、【釣竿剣士】、片手剣使い、バックラー使い、ロープ使い、釘使い、フリスビー使い、電子レンジ(鈍器)使い、そして【ドライバー修理人】だ。


 

 ……って【ドライバー修理人】は戦えなかったんじゃないのか!?

 何でこの防衛線に出てきてるんだ!?

 こんなところまで出てきて、【神殿】作りの方は大丈夫なのか?


 

 俺は状況を整理した結果、純粋な生産プレイヤー【ドライバー修理人】が戦場に来ているという異常事態にツッコミを入れることとなった。

 【釣竿剣士】のような超人生産プレイヤーなら全く問題ないが、【ドライバー修理人】の様子を見てみてもとてもではないがそんな超人には見えない。

 だからこそ気になったのだ。



 「そんなことは後にしてください!

 もう攻撃始まってますよ。

 釣竿一刀流【渦潮】っ!」


 ……気になったが、それを問い詰める余裕は無さそうだ。

 【釣竿剣士】が俺と【ドライバー修理人】がいる場所に向かって【想起砂漠の現像鮫(廻)】が飛ばしてきた竜巻を、釣竿をトーチトワリングの要領で回すことによって切り裂いていった。



 流石は【釣竿剣士】、お前がいると安心するな。

 釣竿でタンクプレイヤー上位層に相当すると言っても過言じゃない動きだ。

 しかも、スキル無しでこれなんだから規格外だよな……


 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!

 流石にスキルと称号を併用した【トランポリン守兵】さんには勝てませんけどね」


 

 あの防御範囲はそれはそれで規格外だからな。

 一人で要塞の役割を果たしていると言ってもいいし……

 

 「【包丁戦士】さんそろそろアレの出番じゃないんですか?

 いや~、私が犠牲になる方じゃないですよ?」


 ボマードちゃんがコソコソと俺の近くに移動してきてそんなことを言い始めた。

 ……確かにこの期に及んで温存する意味もないよな。

 他の陣営に圧迫感を与えるために放置しておいたが、包丁次元の拠点に被害が出るのならそろそろ手札を切る場面か。


 

 「はいは~い!

 いや~、私にやらせてくださいよ!

 このサメさんは【エヌレッド=シャーク】です!

 正体見破りましたよ~」



 【ワールドアナウンス】


 【【ボマード】が【名称看破】しました】


 【【Battle field 特異次元アネイブル】のレイドボス【想起砂漠の現像鮫(廻)】】


 【【ボマード】「はいは~い!いや~、私にやらせてくださいよ!このサメさんは【エヌレッド=シャーク】です!正体見破りましたよ~」】


 【【エヌレッド=シャーク(廻)】の特殊防御権限が1部解除されました】


 【【エヌレッド=シャーク(廻)】の【名称公開】により】


 【知名度に応じたステータス低下効果付与】




 まあ、そういうわけだ。

 包丁次元ではこいつは討伐済みで、名前も割れているから【名称看破】からの【名称公開】がノーヒントで実行できるというわけさ。

 【エヌレッド=シャーク(廻)】には他の次元の連中を引っ掻き回して欲しかったからこれまでステータスを下げないように立ち回っていたが、ここまで来れば仕方ないよな……



 


 名前が割れただけでミーの眷属は負けまセーン!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] 名前明かしてても、攻略に一切関わってないんだよね
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