68話 闘技場イベント開催
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は早速開催されている新緑都市アネイブルの闘技場でイベントに参加していくぞ!
……というわけで来ました。
闘技場がどこにあるのか探していると人だかりができていたので、そこに向かっていったらあっさりついた。
邪魔なプレイヤーたちは切り捨てて道をこじ開けたりしたがそんなの誤差誤差!
闘技場があったのは本来噴水があったはずのアネイブル中央広場だ。
噴水が丸々闘技場に置き換わっている……
たしかに野球球場並の大きさの噴水っておかしいなとは思ってたけど、イベント用の設備を置換するためだったか、これは一本とられたな。
中央広場のいたるところで出店屋台が出ているな、ここが稼ぎ時だと思った生産プレイヤーたちが急遽準備して間に合わせたんだろう。
あれ、俺も生産プレイヤーだったんじゃなかったのか……?
……いや、今回はトッププレイヤーとして頑張ろう。
あぁ、生産プレイヤーへの道が遠ざかっていく音が聞こえてくるような気がしてしまった、気のせいだと思いたい。
闘技場の入り口が見えてきた。
闘技場全体の見た目は新緑都市という景観を損なわない木造建築で、こういう闘技場というのは中々趣があるな。
入口は木目に併せて金箔を塗ってあるという拘りよう、木造という雰囲気を壊さない限度で豪華絢爛という要素を強欲にも盛り込んできているのは、あの【菜刀天子】の趣味なんだろう。
その高慢な天子の趣味が盛り込まれている入口を入っていくと受付のようなものがあった。
受付しているのは……!?
なんだあれ!?
「どうも……新緑都市アネイブルのマスコットAI、ビャッコです。
あなたもここの闘技場で参加登録をしますか?」
俺を出迎えたのは手のひらサイズの白色の虎だった。
マスコットってだけあってデフォルメされているな、ゆるキャラみたいなのを想像してくれるといいだろう。
参加登録のためにプレイヤーの写真を撮るとのことだったので、顔の前でダブルピースをして写っておいた。
◯ヘ顔ではない。
というか名前普通に言ってるけど、【名称公開】のデバフとか大丈夫なのか!?
「その点はご安心を……私たちマスコットAIはすべてのダメージ、状態異常を無効化するようにシステムで保護されています。
なので、安心してビャッコとお呼びください」
それなら安心だな。
「そういうことです……それでは、闘技場のルールを説明しますね。
とは言っても、【菜刀天子】様からあらかた説明は受けているようですね。
ログを確認して、説明が不足している部分を補足してもいいでしょうか」
ビャッコは目をうるるんと潤ませておねだりしてくる。
こういうところでマスコットという強みを活かしてくるのか……運営め、分かってやってやがるな。
まあ、ログくらいみせてやるけどさ。
「どれどれ……対戦ルールについては触れていないですね。
ルールは一対一の決闘モードです、マッチングは同じ闘技場で登録してマッチングを待っているプレイヤー同士で行われます。
しかし、近いレーティングのプレイヤー同士が当たるわけではないので格上や格下との戦いも楽しめるようになっていますよ」
格上でも格下でも俺はプレイヤーキルさえ出来ればいい!
まあ、苦労して強敵をキルするのも捨てがたい快感ではあるけど。
「それでは……一度実際に戦ってみましょう!
マッチングルームへどうぞ!」
ビャッコの言葉を最後に俺は異空間へ転送された。
【マッチング待機中……】
ここがマッチングルームか……
全体が青色の不気味な空間とは、運営の趣味もなんだか疑わしくなってくるな……
しかも、俺以外の物体が存在していなく、壁も床もないという徹底っぷり。
俺が立っている部分だけ足場ができるようで、移動するとその足場がついてくるみたいだ。
ここでできるのは、メニュー画面を開いて出来ることくらいか……
ログアウトとマッチング中断。
あとは武器の手入れとか、装備を着替えたりとかくらいかな?
待ち時間にやれることなんてそんなものだろう。
そうして一分くらい包丁を弄っているとアナウンスが鳴り響いた。
【マッチングしました】
【闘技場へ移動します】
俺は再度移送された。
っと、空間が急に移動するから足元がふらついてしまったな。
現実だとこんな経験する機会なんてないし、身体が慣れていないのも当然だろう。
なんだか【釣竿剣士】の顔が一瞬思い浮かんだが気のせいということにしておこう。
俺が移送されたのはコロシアムの中みたいだ。
観客席にはプレイヤーと思われる【モブ】たちが歓声をあげている。
ただ、予選ということもあってか客足は疎らなようだが。
「へっへっへっ、お前が俺様の相手か?
なんだか弱そうなナリだが、こんなところで何してるのかな~?
ここはおままごと会場じゃないぞぉ?」
俺の対戦相手はそれなりにガタイがよく、角刈りのワルそうな男だ。
手にはナイフを持っているし、他には武器を持っている様子がないからこいつのチュートリアル武器は十中八九ナイフだろう。
というか、俺の見た目を弱そうと判断するとは……
いや、客観的に見てそう見えるのはよくわかるんだが、個人的な気持ちとしては納得いかないなぁ。
一応【槌鍛治士】が作ってくれた装備だし、性能も悪くなさそうだしな。
鑑定スキルみたいな便利なものはこのどん底ゲームにはないから、数字で判断することはできないけど着ていてよくわかる。
さて、【槌鍛治士】を間接的に貶してくれたこのナイフ使いをどう調理してやろうか!
おままごとの開始だぁ!
俺はそう叫ぶとナイフ使いへと肉薄する。
俺の突然の動きに虚を突かれたのか、防ぐだけで精一杯のナイフ使いだったが一度バックステップをとり、俺との距離を離した。
こいつ……漫画とかで出オチでやられてそうなチンピラのモブみたいな見た目してるのに結構ヤるな。
「へっへっへっ、お前こそやるじゃねぇか!
俺様を驚かせるとは見所がある。
だが、俺様の攻撃はどう捌いてくれるかぁ?」
今度はナイフ使いからの猛攻が始まった。
鋭い突きがコンスタントに繰り返されている。
だが、俺の包丁と同じくらいのリーチで戦うなら俺の方に歩があるぞ。
最低限スキル発動【フィレオ】!
ナイフを弾くように【フィレオ】による飛翔する斬撃で直接首を狙ったところ、俺のスキルを予想していなかったからか呆気なく首を切断した。
光が体から溢れ始めている。
いや、あいつ……笑ってるぞ!?
なんか気味悪いな、ドMか!?
「へっへっへっ、ちげぇよ!
そのよくわからないスキルには驚かされたぜぇ、まさか知らないスキルが開放されてるなんて知らなかったからなぁ!
しかし!お前は変わったスキルを使えるようだが、皆が使えるスキルのことを忘れていないだろうなぁ!?」
っ!?
皆が使えるスキル……この状況でメッセージを送るだけのスキルの【渡月伝心】ってことはないだろう。
それはつまり……
「そうだぁ!
へっへっへっ、スキル発動【魚尾砲撃】だぜぇ!」
しまった、俺がキルしたから溢れていたと思ったあの光はエネルギーの集中によるものだったのか。
そう考えたときには時すでに遅し、ナイフ使いから暴れ出たエネルギーが俺も巻き込み二人とも死に戻りすることとなった。
また引き分けですか……
【Bottom Down-Online Now loading……】
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すみません、昨日貼ったアンケート受付の活動報告リンクが間違っていたようなので貼り替えました。
上のアドレスで飛べる……はずです。