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675/2204

675話 敵情視察30

 はい、というわけでやってきましたピッケル次元の拠点周辺!

 鉱山からは少し離れたところにあったようで、代わりに小川の上流が近くにあった。


 つまり、それぞれの拠点の位置関係は上流にピッケル次元、中流に包丁次元、下流に蛇腹剣次元の拠点があることになる。

 もちろん、近くにあるってだけで川のほとりにあるわけじゃないので簡単には見つけられないが、拠点に戻るプレイヤーを尾行していればたどり着くことは可能だ。


 俺や【軍刀歩兵】のように気配を消すのに慣れているプレイヤーキラーであればなおのことだな。


 【軍刀歩兵】は俺たちが【想起砂漠の現像鮫(廻)】に捕まっている間に、鉱山から拠点に戻るピッケル次元のプレイヤーに張りついて尾行していたようだ。

 そして見つけたのがこのピッケル次元の拠点ということだ。


 少し離れたところから覗いているので今の状態であれば見つかることはないだろう。

 【軍刀歩兵】もいいポジションを見つけたものだな。


 「んあ?

 この拠点に近づいてから時間はあったからな。

 徹底的にポイントを押さえながら調査させてもらった」


 遠目でも相手の拠点の様子を探れる場所というのは貴重だからな。

 このような場所を探し出せる嗅覚というのは、さっき言ったようなプレイヤーキラーの才覚とは別のものが必要になってくる。

 野戦の才能とでも言うのだろうか。




 そんな【軍刀歩兵】が確保してくれた場所から見えるピッケル次元の拠点だが、鉱石で作り上げたような小さな山のようなものが聳え立っていた。

 きちんと研磨されているのか、宝石のように色とりどりに輝く宝石たちが溶接されたそれは人の出入りが可能なようで、洞窟の入口に近い洞穴が掘られていた。


 「ん……

 狂巫女様あれは……」


 あぁ、みなまで言うな。

 あそこまで露骨なら誰でも分かるはずだ、あの悪趣味な宝石の山こそがピッケル次元の【神殿】なのだろう!

 外見は整えられているというよりも、鉱石が光るところまで削ってそのままくっつけただけで形も色も統一感がない。

 【神殿】というには外見が不恰好だが、本命は内部にあるんだろうな。

 今回の次元戦争で勝利することを目指しているのなら【神殿】完成に必須な要素である【供物】を捧げる場所や【シンボル】を飾る場所がきっとあるはずだ。



 「んあ……

 つまり狂巫女様の狙いはそこというわけだな。

 たしかに、重要要素を含んでいる方がピンポイントにクリティカルダメージを与えることが出来るだろう。

 だが、そこまで潜り込むのは難易度が高い気がするが」


 外側から拠点を崩していくのか、あるいは内部の重要要素を狙うのか悩んだが俺は難易度が高くとも【シンボル】や【供物】を破壊もしくは強奪したいと考えたのだ。


 「その心は?」



 そうだな……

 まず外側を破壊してもその素材が鉱山から容易に採取可能で、潤沢に補充することができるから少し破壊したところで完成のペースが多少落ちるだけだろう。


 最悪それでもいいんだが、素材供給ペースから考えるとそれでも俺たちの方より完成が早そうな感じがするから根本的に潰しておきたい。

 

 貪欲に勝利を狙いにいくのならここで何としても止めたい。

 ちなみにだが、ピッケル次元のMVPプレイヤーの【石動故智】はどうした?


 さっきから観察しているが、それっぽい人影や気配が全く無いんだが……

 特級戦力であるMVPプレイヤーを警戒するのは俺でもなくとも当然の行いだが、ここにいないということは俺のように見回りでもしているんだろうか。


 「んあ?

 そんなことはない。

 【包丁戦士狂教団】のメンバーとスキル【渡月伝心】で連絡をとってみたが、鉱山に侵入してから一切外に出てきていないらしい。

 あそこまでの戦力をこの次元戦争において採掘だけに回す采配は、俺からすると正気じゃないとしか思えないな」


 こういう時に【渡月伝心】のメッセージ機能が役立つんだよなぁ~

 俺が連絡を取れるやつって全くいないから有効活用できないが、チーム戦での状況報告を手短に行えるのは魅力的だ。


 【菜刀天子】討伐の時にはこれ以上ないほどのアシストをしてくれた俺のability【会者定離】だが、フレンドを自由に増やすことができないという点では日常的なプレイに支障が出ているだけなのでこのabilityについて思うことはよくあるな。

 

 戦闘自体に直結するデメリットが無いのは他のabilityと違って助かるんだが、なんとかならないものか……




 まあ、それはさておき。

 【石動故智】がここにいないのは幸いだな。

 その分別の実力者を置いている可能性はあるが、最も警戒するプレイヤーが居ないならかなり攻めやすいはずだ。

 【石動故智】が勘づいて戻ってくる前に攻撃を開始したいが……



 「んあ!?

 今、蛇腹剣次元のMVPプレイヤー【マキ】が何人かのプレイヤーを率いて鉱山を攻め始めたと連絡があった!

 つまり、ピッケル次元の戦力は鉱山へ向かいつつある。

 まるで包丁次元の動向を把握しているような薄気味悪いタイミングだが、好都合だ」


 ああ、このタイミングを逃すわけにはいかない!

 一気に攻め込むぞ!







 好機だったり、好機じゃなかったりする……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] あれ、インフォって確か感知系スキル持ってなかったっけ?
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