表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

670/2122

670話 ワンダリングモンスター40

 さて、素材の解体に時間がかかってしまったが、これからまた外回りに行ってくるとするか!


 素材一式を【ドライバー修理人】に託して、俺とボマードちゃんは五人くらいのプレイヤーを連れながら包丁次元の拠点を飛び出した。

 ボマードちゃんは「もう出発するんですか!?」って驚いていたが、休憩できただけまだマシだと思って欲しいぞ。


 俺なんて拠点でずっと解体作業をする羽目になってたんだからな……

 気疲れしたまま出発している俺の身にもなってもらいたいものだ。



 



 「【包丁戦士】さんって本当にタフですよね?

 いや~、私が魅惑のデバフボディじゃなかったとしてもそんなに精力的に動けたとは思えないですよ!

 リアルでどんな生活してたらそんな風に動けるんですか!?」


 ボマードちゃんは興味本位で俺のプライベートを詮索してきたが、俺は別に答える気はないからな!

 ……まあ、普段から精力的に動いてたら出来るようになるとだけ言っておこう。


 「【包丁戦士】さんもケチですね~

 いや~、教えてくれても罰は当たらないですよ!」


 むやみやたらに教えるものでもないからな。

 ボマードちゃんは大人しく勉強して学力アップを目指すといいさ。

 学校に通ってるならまずは勉学からだろ。


 

 俺がそう指摘するとボマードちゃんは驚いたようにこっちを見てきた。

 なんだその目は?


 「あれっ、私が社会人じゃないってバレてたんですか!?

 いや~、驚きですね!?」


 ……むしろお前を大人と認識しているやつはこのゲーム内にいるんだろうか?

 このロリ巨乳アバターの見た目と、ボマードちゃんの言動から簡単に察せられるものだからな。

 まあ、言わぬが花というものか。




 そうして歩いていると、不意に無機質な脳内アナウンスが鳴り響き始めた。


 

 【Raid Battle!】



 【想起砂漠の現像鮫(廻)】



 【レイドバトルを開始します】




 はっ!?

 俺は突然のレイドバトル開始に対して咄嗟に周囲を警戒していく。

 プレイヤー相手であればある程度のことは想定できるが、レイドボスとなれば話は別だ。

 そして、俺が一度も会ったこともなく戦ったことすらないやつだからなおのことだろう。



 【想起砂漠の現像鮫】は包丁次元では砂漠エリア……【陽炎砂漠シヤラマカン】にいたレイドボスだ。

 【トンカチ戦士】がクランリーダーのクラン【紅蓮砂漠隊】が討伐したレイドボスだが、俺としてはいつの間にか倒されてたやつって印象しかない。


 だが、レイドボスがそんなに甘いはずはない。

 

 「あれ、変態お姉さんだっ!

 また会ったね~?

 でもちょうど良かったよ、こんなところでレイドボスに会っちゃって困ってたんだよっ!」


 周囲を警戒していた俺の警戒陣にまず引っ掛かったのはレイドボスではなく、パジャマを着たロリ……蛇腹剣次元のMVPプレイヤー【マキ】だった。


 後ろに何人かプレイヤーを伴っているらしいが、既に疲弊していたり満身創痍だったりと散々な感じだ。

 ……つまり、このままいくと俺たちもああなるってことだ。


 「これって徘徊型モンスター扱いで放たれてますよね!?

 いや~、見つかっただけで死ぬやつですよ!?」


 色々なゲームで、その周囲に居ないはずの種類のモンスターやレベル帯のやつが彷徨いており、見つかったものは高確率で殺されてしまうため多くのプレイヤーを泣かせてきた。

 それが徘徊型モンスターだ。


 唐突に脈絡もなくボスが現れたらまともな対応なんて出来ないから当然だが、まさかこんなところで遭遇させられるとはな……


 

 仕方がない、パジャマロリ!

 なんとかしてこのサメから逃げるぞ!

 ……まあ、まだ姿は見えてないんだけど、アナウンスが流れたってことはもうすぐこっちに姿を現すはずだ。

 つまり、時間の猶予が残されていないってことだから、ここは他の次元のやつだろうが協力して逃走するしかない!


 今回の次元戦争に参加した全てのプレイヤーを集めたらもしかしたら勝てるかもしれないが、今回は皆敵同士だ。

 同じ次元のプレイヤーと足並みを揃えるのとはわけが違うからな。


 しかも、レイドボスの討伐は今回の次元戦争のクリア条件じゃないからなおのこと討伐の協力を得ることは厳しいだろう。

 でも、この場を逃げ延びるっていう限定的な条件なら手を組めるはずだ。


 「やったねっ!

 やっぱり変態お姉さんって話が早いよ~!

 これが弱々の牛乳パフェお兄さんだったらもっと苦労してたはずだもんね」


 隙あらばついでとばかりに煽られるこの次元戦争に参加していない望遠鏡次元のMVPプレイヤーの【牛乳パフェ】。

 あいつ、別に普通に強かったし頭もそれなりにキレるやつなのになんでこんなにパジャマロリにナメられてるのか不思議すぎる……



 まあ、そんなことは置いておいて【想起砂漠の現像鮫(廻)】からの逃亡チームが結成できたわけだ。

 さあ、かかってこい!








 ミーの眷属だネ!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

マキちゃんのイラストを描きました!

175話に掲載しておりますので、興味のある方は是非見てみてください!

ちょうど出番でもあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ