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648話 ブイブイ追加

 俺は包丁を手に【邪神像】に突撃し突き刺していく。

 それだけではなく【魚尾砲撃】によるレーザー攻撃も継続して行っており、削岩するような気持ちで地道に削っていくしかない。

 相手が守りに長けた大型レイドボスの模造品なら【ウプシロン】戦のように超長期戦を想定しないといけないだろう。


 そんな気が遠くなりそうな攻防をしばらく続けていたところ、なにやら地上が騒がしくなってきた。


 この付近にはもはや、無限に生み出されて突撃してくる機戒兵と深淵獣しか近寄っていなかったが、このタイミングでプレイヤーが介入してきたようだ。


 また機戒兵側の援軍か……?

 俺はうんざりするように地上を見下すとそこには見覚えのある連中がいた。


 「間に合ったぞ、【包丁戦士】さんに加勢だ!」


 「うわっ、なにこのムカデ……デカっ!?」


 「リーダーもゴスロリ着てんじゃんw」


 「拙者ロリ好き好き侍。

 義によって助太刀するで候!」


 「拙僧も微力ながら力添えするのだ!

 スキル発動!【堕音深笛】!」


 お、お前らっ!?

 来たのかよ!?



 この泥沼のような戦線に合流したのは俺のクラン【コラテラルダメージ】に所属する謎の身内メンバーの集まりである【ハリネズミ】たちだ。


 お前らは【骨笛ネクロマンサー】と同じ戦線で深淵獣たちと共闘していたはずだろ?


 「あの戦線にいた【風船飛行士】が消えたから抜けてきた!」


 「【風船飛行士】が消えたから俺たち全員が抜けても、さらに余裕が出来たんでリーダーを手伝いにきたってこと」


 「俺たちの力なんて、全員合わせても【風船飛行士】には勝てないですからね~」


 「拙者【包丁戦士】好き好き侍。

 拙者は元々、個人的にこっちに来たかっただけで候!」


 「♪~」


 ……【尺八僧侶】は演奏中で喋らないが、【風船飛行士】がこっちに来たことで他の戦線の深淵獣側に余力ができたってことだな。

 そのおかげでこの【ハリネズミ】たちは俺のところに来れたってわけだ。


 【堕音深笛】によるバフによって俺の能力は全体的に向上したが、それでもまだ足りない。

 

 せっかく来てもらって悪いが、お前たちの命……使わせてもらうぞ!



 「元々リーダーとはそういう約束してましたからね」


 「俺たちの命遠慮なく使ってくれ!」


 「でも、やるからには勝ってほしいところ」


 「拙者【包丁戦士】好き好き侍。

 義によってこの命捧げるで候!」



 よしっ、いくぞ!

 スキル発動!【深淵顕現権限Ж(ジェーライト)】!

 さらにスキル発動!【深淵顕現権限Б(アルベー)】!


 俺は来てくれた援軍である【ハリネズミ】たちを【尺八僧侶】を残して生け贄に捧げ、新たに深淵の黒い霧を発生させていく。



 【スキルチェイン【深淵顕現権限Ж】【深淵顕現権限Б】】


 【デメリットは支払い済みです】


 【効果が変質します】


 

 まず俺の臀部から粘液を垂れ流すウナギのような蛇のような形状をした尻尾が生えてきた。

 うねるように脈動する尻尾から粘液がしたり落ちるのは、見るものによっては嫌悪感を覚えたりするほど異質なものである。

 俺のような可憐な乙女にこんなえげつないものが生えている姿は倒錯的だろうよ。

 これはジェーライトの力だ!



 そして、追加で発動したアルベーの細胞を励起した【深淵顕現権限】では、黒い霧が俺の両目に取り込まれていき目がすげ替えられていく。

 青い瞳が黒く染まっていき、闇を見据えるような、深淵を覗き込むような漆黒の色を兼ね揃えるようになった。

 ただ黒いだけでなく、磨きあげられたような黒さで鏡のようですらある。

 さらに、瞳孔が翼のような形に変貌していった。



 デメリットの関係から【深淵顕現権限】を重ねることなんてかなり稀だが、今回は事前に発動していた【深淵纏縛】も合わせて過去最高に深淵の力を身に纏っていることになる。


 服装や素体はルル様の細胞、尻尾はジェーライトの細胞、眼はアルベーの細胞によって励起されいる。


 これまでスキルチェイン以上の重ね合わせは成功しなかったが、【上位権限】獲得によるアバターの容量の拡張か何かが作用したのだろう。


 具体的な根拠はなかったが、今ならイケると思ってやってみたら上手くいった感じだな!

 うんうん、何事もやってみることが大事だ!


 俺は部位拡張、変調を完了させ満足しているが、それを見た【検証班長】は【邪神像】の尻尾を叩きつけてきて反応してきた。



 「やってみることが大事ということには同意しますよ。

 ボクも検証のために()()()やってきたからね。

 でも、【包丁戦士】さんのそれはいささか禍々し過ぎる気がしますよ!」


 【検証班長】はそう言い切り、叩きつけてきた巨大な尻尾をそのまま横凪払いして範囲攻撃を行ってきた。

 それによって上空に吹き飛ばされる深淵獣たちを見ると、深淵種族(イミテーション)深淵獣(レッサー)をぶっ飛ばし、それを眺める深淵天子(プレイヤー)という仲間割れのような地獄の構図が完成することとなった。


 機戒兵も頑張ってはいるが、深淵種族のお膝元で真に活躍できるのは深淵種族だ。

 俺も【検証班長】も最後に取れる手段は自然とこうなっていたのだろう。


 百回やったらそのうちの九割以上の確率で、状況は違えど同じ構図になったに違いない。


 【検証班長】も憎い演出をしてきたなぁ……





 ……。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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