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647話 レイドボスの模造品

 「リデちゃんがボクにこっそりジョブ【パイロット】のことを教えてくれたんですよ。

 そのおかげで無機物をテイムすることができました。

 そこで生み出したのがこの【邪神像】運用です!」


 実績照会にも名前の出てくる【邪神像】、そんな重要なものを引っ張り出してきた【検証班長】からは意地でも【深淵獣】に……そして俺に勝とうという気概を感じる。


 出現したムカデ型の【邪神像】は深淵種族であるレイドボスの【蕭条たる百足壁】の脱け殻を集めて再構築したものだ。

 その特徴を一言で言うのならサイズ感を間違えてるんじゃないかと思うほどデカイ!


 【邪神像】が出現しただけで数多くの深淵獣たちやプレイヤーが踏み潰されて死に戻りさせられていっているのがその証拠だ。


 【検証班長】はその【邪神像】の上に乗り操縦し始めた。

 

 「こんなところで【邪神像】を使いたくなかったですけど、ここまで来たらボクも退けません。

 圧倒的質量で圧し切りますよ!」


 重機で爆走する暴走族を思わせるような荒々しさで【邪神像】ごと突っ込んできた【検証班長】。

 この荒々しさは狙ったものじゃなくて操縦が完璧じゃない故のものなんだろうが、だからこそ動きが読みにくい……っ!


 そして、このままでは回避することすら無理だろう。

 俺の歩幅で移動できる距離よりも【邪神像】の方が大きく、中途半端な移動は焼け石に水にしかならないのは目に見えている。


 

 そうなったら空へ逃げることだが……【深淵顕現権限】いや、ここまでなりふり構わず俺への闘志を燃やしている【検証班長】相手ならこれを使うのもやぶさかではない!


 いくぞ!

 スキル発動!【深淵纏縛P(エルル)】!


 俺は深淵獣の影響で濃くなっていた周囲の深淵の力を体へと集約していき、それを自らのエネルギーへと変換していく。

 黒い霧を発しながら全身に纏わせるように這わせていくと、俺の身体は深淵により適応するために姿を変えていく。



 まずは片翼の骨羽が背中から突き出るように出現し、俺の背中に生えてきた右骨翼周辺にもやがかかり、黒い羽が形成された。

 また、それと同時に俺の身体も黒いもやに覆われて、新たな服へと変化させていく。


 そして、黒いもやが晴れた時、俺が着ていた服は緑色がメインで、黒色のフリルのついたゴスロリへと変化していた。



 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【深淵域の管理者】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】






 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 デカブツムカデの【邪神像】を操縦する【検証班長】を迎撃するのならこっちもそれ相応のものを出さざるを得ない。


 とりあえず【邪神像】による突進をルル様の漆黒の翼を使って上空へと飛び立ち回避すると、俺は反撃にスキルを放っていく。


 スキル発動!【魚尾砲撃】!



 極太レーザーを翼から放つと、かわされることもなく【邪神像】へと直撃をした。

 流石に巨体を素早く動かすこと出来なかったようだな。



 ……だが。


 「【深淵纏縛】をした状態での攻撃でもここまであっさりと耐えきりますか……

 流石は大きいだけはありますね!

 これならっ!」


 体力や耐久力が桁違いにあるからだろう、びくともしてないのだ。

 流石は【防衛】の力を司る深淵種族の脱け殻……その性質を色濃く受け継がれているのを今ほど憎らしく思ったことはないぞっ……!?


 俺は【魚尾砲撃】による極太レーザーを放ちながら飛翔し、【邪神像】による攻撃をかわしていく。


 間違いなくダメージ自体は通っているんだろうが、これを削りきるのは途方もない労力が必要そうだ……


 「そうでしょうね。

 【包丁戦士】さんがここに蔓延する深淵の黒い霧を活用するように、【邪神像】も黒い霧を糧に普段以上のパフォーマンスを発揮できますからね、深淵種族の殻ですから。

 だからこそ、この深淵獣が蔓延る【無限湖沼ルルラシア】での決戦兵器足り得るんだよね!」


 ……まさか、【検証班長】は俺へのメタとしてこの【邪神像】を作っていたのか!?

 あの時は慈善公共事業とか言っていたが、そもそも【邪神像】を作る慈善公共事業ってなんだよ……


 普通に考えておかしい点しかなかった。

 俺はそこで気づかないとダメだったはずなのに、態々自分でその素材まで供給してしまったというわけだ。


 流石にプレイヤーキラーである俺を近くに置いておいただけあって、メタ戦術はかなり用意していたというわけだ。

 

 「妾もそうでおじゃるよ!

 スキル発動!【六根清浄急急如律令】!」


 ここで追い討ちをかけるように【タウラノ】は【邪神像】に対して身体能力向上の呪術を使用してきた。

 ただでさえレイドボスたちの中でも化け物フィジカルである【蕭条たる百足壁】の模造品の身体能力を上げるなんて鬼畜過ぎるぞ!?


 「妾も深淵種族であるジェーライトと共闘する機会があるでおじゃるからな!

 その模造品であっても支援呪術を付与するのは容易いでおじゃる!」



 レイドボス【タウラノ】……の式神と。

 レイドボス【蕭条たる百足壁】……の脱け殻。


 劣化レイドボスたちが俺の前に立ち塞がるが、一番厄介なのはそれらよりも操縦士である【検証班長】だ。


 この強力な手札たちを、最も有効活用できる頭脳を持ったあいつさえなんとか出来ればいいんだがなぁ……






 ……。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

208話のあとがきに【包丁戦士】のイラストを追加しました!

もしよろしければ見てきてください!



またゴスロリ【包丁戦士】のイラストをフォロワーのふーみんさんからいただきました!

ありがとうございます!

挿絵(By みてみん)

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