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643話 カウンターカウンター

 絶妙に嫌らしいタイミングで現れた【風船飛行士】だが、なんで俺がここまで【風船飛行士】を警戒しているのかというとあいつの攻撃方法にある。


 「さて、オレの活躍を披露するンゴwww

 ability【銀盃羽化】発動www

 さらに……スキル【竜鱗図冊】っ!」


 そう叫ぶと、腕に巻いていたシルバーを外し、口に運んだかと思うと、それをごくりと飲み込んだ。

 そして、肩から提げていたポシェットの中から巻物のようなものを取り出すと、それを勢いよく広げた。

 その巻物が鱗のように分解されたかと思うと、次の瞬間には【風船飛行士】の手元には銀色の杯が握られていた。


 これが【風船飛行士】の基本戦術だ。

 対人戦でも、レイドバトルでも初手でこれをやるからな。


 【風船飛行士】は片手で風船を握り、上空に浮かびつつももう片方の手で握った銀色の杯から放たれるオート照準の羽矢で【大罪魔】を射撃していく。


 「これは魔法攻撃だったり、特殊攻撃だったりする……

 【天元聖域】では防げない分類なのっ!」


 【大罪魔】は地面に突き立てていた十字架を引き抜き【風船飛行士】の攻撃を撃ち落としていくが、その間は【天元聖域】が正常に機能しないようで今度は【釣竿剣士】の攻撃を十字架で受け止めていくこととなった。


 【大罪魔】は今でこそ【失伝秘具】【クロックギア】の効果で力を発揮できているが、それでも【大罪魔】の身体を構成するエネルギー自体はそこまで万全ではない。


 少し前に【釣竿剣士】の一撃を受けたが、あそこから微弱ではあるが溜め込んだエネルギーが漏出しているのでこれ以上ダメージを受けたくないという想いがあるんだろう。

 だからこそ【釣竿剣士】に有効的な物理防御を行える【虚飾】の大罪の持ち主の力を行使していると思う。


 だが……


 「うはっwww

 オレ強すぎwww

 このままいけばこのレイドボス、オレたちで倒せるんじゃねwww」


 この鬱陶しいほど調子に乗っている【風船飛行士】の存在がこれ以上無いほど目障りだ。

 【風船飛行士】の攻撃は魔法攻撃扱いらしいからな。

 今この場で一番【大罪魔】を牽制している存在と化している。


 「うぇーいwww

 もう一段階アゲていくぞwww

 スキル発動!【竜鱗図冊】www

 この状況で風船偽竜起動は的確な動き過ぎて自分でもワロタwww」


 abilityとチェインさせたものとは別にさらにスキル【竜鱗図冊】を重ねて風船で出来た白銀の竜に騎乗する【風船飛行士】。


 そこまで大型ではないが、人一人乗るくらいなら充分な大きさになった風船竜の口の中に【風船飛行士】は仕上げと言わんばかりに手に持っていた銀色の杯を投げ入れた。


 すると、口の中から銀色のブレスのようなものを噴き出しはじめた。

 広範囲に広がる銀色のブレスは今にも【大罪魔】へと直撃しようとしていた。


 「そっちがそう来るなら相殺したり、跳ね返したりする……

 まずは【虚飾絢爛】だったり、バフだったりする……」

 

 【大罪魔】がスキルを発動させると、あいつの身体が紫色の光に呑み込まれていった。

 そして、紫色の光が服装を拡張していっているようで、修道服の上着の丈が地面スレスレまで伸び、主張が強すぎる黄金の服装になった。

 そして、右側に黄金色ベースで紫色の模様の入った羽が生えてきた。

 代わりにインナーが消し飛んだが、そのインナーが消えた部分には紫色と黄金が混ざった包帯が巻かれている……主に胸を隠すためにそこを重点的に……な?

 【大罪魔】の胸は俺と大差ないが、それでも隠すものは隠す必要があるから仕方ない。

 このゲームは18禁じゃないし、当然の措置である。


 さらに、【大罪魔】の拳と十字架にもその紫色と黄金が混ざった包帯が巻かれており、いかにもステゴロ聖職者(?)って感じだ。 


 「次に【虚飾栄光】だったり、反射だったりする……」


 更なる【虚飾】の大罪スキルを重ねたことによって、【大罪魔】の拳に巻かれていた包帯が爛々と輝き始めた。

 その爛々と輝く拳で風船偽竜の銀色ブレスに殴り込んでいった【大罪魔】に【釣竿剣士】と【風船飛行士】は驚いて目を丸くしていた。

 ブレスの中に拳で突っ込むのは普通に考えたら自殺行為だから気持ちは分かる。


 ……だが、俺には次の展開が読めている。


 「ちょっwww

 嘘だろwww

 んんっwwwこれはアリエナイwww」


 「生産プレイヤーでもこの現象は起こせませんよ!?」


 【大罪魔】はブレス攻撃を拳で跳ね返したのだ!

 ブレスというものをそもそも跳ね返せること自体異質なのだが、それを拳でやるっていうのがもはや狂ってる。

 こいつこそ狂人だろ……いや、人じゃなくて悪魔か……そうか……


 跳ね返されたブレスはそのまま【風船飛行士】へと向かっていっている。

 前にカウンターをくらってしまったギアフリィはそのまま攻撃を受けてしまっていたが、この【風船飛行士】は他のプレイヤーにはない特別な力がある。


 「ability【銀盃羽化】発動www

 もう一回ブレスを返させてもらうンゴねぇwww」


 風船偽竜に手をかけながら【風船飛行士】は銀色のブレスの軌道を【大罪魔】の方へねじ曲げて再度狙い撃とうとしている。


 そう、【風船飛行士】は遠距離攻撃を跳ね返すabilityを持っているから、カウンターをカウンターすることすら可能なのだ。

 そういう点でも【大罪魔】キラーと言えるかもしれない。


 「厄介だったり、鬱陶しかったりする……

 もう一回【虚飾栄光】なの!」


 「あっ、私ですかっ!?」


 カウンター合戦で蚊帳の外になっていた【釣竿剣士】に急に攻撃が向かい、味方であるはずの【風船飛行士】と【大罪魔】のスキルによって増幅された銀色のブレスによって【釣竿剣士】は不意を突かれた形で死に戻りしていったのだった……



 ちなみに、さっきの攻防で周りに寄ってきてた50人くらいのモブプレイヤーたちが即死していったのは秘密だ!






 ……。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

306話に【フェイ】ちゃんのイラストを投稿しました!

中々可愛い感じになったと思いますので見てみて下さい!

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