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640話 大罪師匠

 【【色欲】だったり、【色欲】じゃなかったりする……】



 頭頂部に水色の大きなリボンが出現し、そこから服へと変化は続いていく。

 各所にリボンがついたフリル満載のワンピース。

 全体的に水色と白色の配色のファッションへと変貌した。



 【大罪魔】が力を行使して身体を様子を変化させた。

 ウサミミ、時計、水色と白色の服装、小さめな丸みを帯びたシルエットという不思議の国のアリスを思わせるような外観となり、先端に時計の装飾がデカデカとついたステッキを手に持っている。


 これはステッキ次元のMVPプレイヤーであるロイス=キャメルを模した姿だ。

 

 

 「異次元のプレイヤーの【伝播】の力……使わせてもらったり、もらわなかったりする……」


 【大罪魔】のその言葉をトリガーにステッキにピンクの光が宿り始めた。

 そして、ステッキからピンク色の光が溢れ出し、粒子となって拡散していく。

 これはロイス=キャメルが使ってきた【色欲】のスキル【色欲発心】と【伝播】の聖獣スキル【兎月伝心】のスキルミックス……【色欲兎心】だ。


 

 「うわっ、なんか飛んで来たぞ!?」


 「ぐわああああああ!?」


 「可愛い見た目のやつだが、レイドボスみたいだぞ!?」


 「今まであんなレイドボスなんて見たこと無いんだけど」



 【大罪魔】の力を受けて死に戻りしていくプレイヤーや、それを見て困惑しているプレイヤーなど様々な反応があるな。

 そして、機戒兵は物言わずして次々に【色欲兎心】によって解体されていっている。

 深淵獣を極力巻き込まずして大量破壊を実行しているようだが、力の規模のことを考えるとこの繊細なコントロールは流石【上位権限】レイドボスと言ったところだろう。


 この力を使っていたロイス=キャメルよりも上手く扱っているが、そもそも大罪の力はプレイヤーよりも【大罪魔】の方が源流ではあるので当然と言える。


 「不味いですね……まさかここまでの特級戦力を【包丁戦士】さんが持ち出してくるとは……

 【大罪魔】の存在は認知していましたが、ここで【深淵域の管理者】ではなく【大罪魔】の力を借りてくるのは完全に想定外ですっ!」


 白衣を来たプレイヤー……【検証班長】がタンクプレイヤーたちに守られながらそんなことを俺に向かって叫んできた。

 俺だってここまでこの戦線が不利になるとは思ってなかったからな、仕方なく足りないところを補うために連れてきたのさ。


 流石に均衡状態を変動させる役割のプレイヤーの数に偏りありすぎるだからな!

 なんだよ九割が機戒兵側って、どう考えてもそのままだったらこっち負けルートじゃん!


 「プレイヤーの生存環境を脅かす深淵獣が広がるルートが正規ルートとは思えませんからね。

 現にこの地域で活動するにはジョブ【クレリック】による回復能力がないと生存できません。

 タンクプレイヤーの後ろに私や【クレリック】に就いたプレイヤーが動かずに守りに徹しているのは回復をばらまくためですし」


 どうだかな、機戒兵が属する【荒野の自由】側も案外黒いところはあるんだがな。

 多分俺と【バットシーフ】後輩しか知らないが、荒野エリアには地下監獄があった。

 今はプレイヤーの協力を得るためにバッドマナープレイヤーしか捕らえていないんだろうが、あいつらがこの次元を跋扈し始めたら全てのプレイヤーが監獄で管理される……そんな未来もあるかもしれないぞ?

 それこそパノプティコンのように常に監視されているような錯覚を覚えるような、今とはまた別の意味でディストピアが展開されるかもしれない。


 「それは実に興味深い話ですが……それでも深淵獣による悪影響を見逃せません。

 【釣竿剣士】さん、まずはその【大罪魔】を抑えてください!

 いけますか?」


 【検証班長】はこれ以上俺と押し問答をするつもりはないみたいだ。

 今猛威を震いながら機戒兵の戦線を後退させていっている【大罪魔】を足止めするように【検証班長】は【釣竿剣士】に声をかけた。

 

 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!

 釣竿一刀流【渦潮】!」


 【釣竿剣士】は釣竿をトーチトワリングの要領で回していき、侵攻していく【色欲兎心】を微塵切りにしていった。

 こいつ、また腕前が上がってる気がするぞ!?

 強敵を相手にしてきて研磨されていったからなんだろうが、こいつの現実世界で経験がフィードバックされた様子はあまり想像したくないな。



 「攻撃範囲が広いとあれは突破できなかったり、抑えられたりする……

 それなら……」


 【【憂鬱】だったり、【憂鬱】じゃなかったりする……】


 【大罪魔】は荒天を描いた羽織と袴を生み出し着て、手には【大罪魔】の身体からすると大きいサイズの釣竿を持っていた。


 「それはまさか!?

 物凄く見覚えがあって嫌な予感しかしないですけど……」


 「釣竿一刀流【憂鬱壱ノ型ー憂イノ吹雪】だったりするの!」


 【大罪魔】は自分が持っていた釣竿を瞬時に凍結させていた。

 そして、その釣竿から全てを凍りつかせるような猛吹雪を発生させたようだ。


 これは釣竿次元のMVPプレイヤーである【釣竿剣士】の【師匠】の技だ。

 【憂鬱】の大罪と紐付けてあるからなのか、まさか【現界超技術】に基づく技すら再現してくるとはな。


 「くっ、【師匠】との再戦みたいで気遅れしますが負けませんよ!」





 ……。


 【Bottom Down-Online Now loading……】



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