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636話 中央突破

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 とりあえず機戒兵側の秘密兵器をこちらで確保して有利に立ったところで、激戦区である沼地エリア……【無限湖沼ルルラシア】の様子を確認しに行ってみようと思う。

 直近の深淵獣側の全滅の危険を避けられたが、しばらく機戒監獄に幽閉されていたので戦況が一変している可能性があるからな。


 ピンチを回避したと思ったら既にピンチになっていたとかだったら洒落にならないからな。











 はい、というわけでやってきました沼地エリア……【無限湖沼ルルラシア】。

 ここでは洒落にならない状況になっていた。


 「リデちゃんと【短弓射手】さんはこのまま中央突破してください!

 機戒兵を操るプレイヤーは目立つので敵を引き受けてください。

 なんとしてでも深淵獣を抑えて、この【無限湖沼ルルラシア】を制圧しますよっ!」


 機戒兵が前進している戦場の奥から声が響いている。

 この声は【検証班長】だな?

 レイドボス戦では冷静な司令官というような振る舞いだが、今はどちらかと言うと鬼気迫るものがあって勝ちたいという気持ちがより先行しているように思える。


 「そういうことなら任せて!

 行くよっ、私の【フレイムギア】の力見せつけてあげる!」


 「やれやれ……またリデちゃんに振り回されるみたいだねぇ……?

 オジサンの身体に響かない程度に、お手柔らかに頼みたいところだねぇ」


 【検証班長】の指示によって【リフレクトミラーディフェンダー】……通称リデちゃんが赤色に黄色の模様の入った機戒兵【フレイムギア】に乗り突っ走ってきた。

 思慮もクソもない直線一本槍、愚直な特攻だがそれを後ろから補助しているやつがそれをカバーしている。


 この包丁次元の中でもトップクラスの後衛ムーヴが出来るのが今矢を放ちながら直進するリデちゃんの進路を確保しているのが【短弓射手】だ。

 リデちゃんの搭乗する【フレイムギア】は色もサイズもプレイヤーと比べると異色なため深淵獣の目を引くため狙われやすい。



 それを逆手に取ったのが【検証班長】によるリデちゃんの中央突破作戦だ。

 ヘイトをリデちゃんに集中させることで、他のプレイヤーによる深淵獣撃破難易度を大幅に下げているのだろう。

 前にも言ったような気がするが、このリデちゃんのスタイルはタンクプレイヤーとしてある意味理想的だ。

 本人はそこまでヘイトを集めてやろうと思っているわけじゃないんだろうが、深淵獣と敵対しているエネミーである機戒兵を操っている時点で攻撃が集中するのは当然として、さらにわざわざ目立つように先陣を切って中央から進行しているから尚更のことだろう。




 この3人を中心としてこの中央戦線は一気に崩れ機戒兵たちによる進行が急激に進んでしまっているようだった。

 花形アイドル(?)としてのリデちゃん、それを支えるいぶし銀の【短弓射手】、そしてその二人を含めた多数のプレイヤーをまとめ上げ今回の侵攻作戦を主導している【検証班長】だ。

 【ペグ忍者】や【モップ清掃員】が居ないのが気がかりだが、今日は予定が合わなかったのだろう。


 これまではプレイヤーがそれぞれ思い思いに深淵獣を各所で倒していたが、それを一点にまとめ上げ深淵獣の布陣を局地的に突破するというここに来て大胆な作戦を用いてきたことから、【荒野の自由】側に何かしらの動揺が発生している可能性はあるな。


 ……まあ、俺たちが最近手に入れた【失伝秘具】関係の可能性は高いが断言はできない。

 


 何はともあれ、このままこの集団を放置しておくのは深淵獣側としてはかなり危険だ。

 いくらログインしている時間にしか活動できないプレイヤーの集まりとはいえ、それでも深淵獣が圧されるほどの勢いだ。

 これを続けられたら深淵奈落前まで制圧されてしまう可能性は孕んでいる。


 根本対策を俺としても考えておかないといけないが……

 今日のところは緊急対策だ!



 俺は気配を消しながら大規模侵攻集団を後ろに回り込んでいく。

 俺はプレイヤーキラーだからな、プレイヤー相手に気配を消すなんて日常茶飯事だ。

 もはや癖になっているレベルである。


 そうして回り込んで包丁を【検証班長】へ突き刺していく。


 「えっ、なっ、【包丁戦士】さん……!?」


 【検証班長】が驚きで言葉にならない言葉を漏らしながら光の粒子となって消えていった。

 ギャグのように司令官が陣中で急にやられて、前線は完全にパニックに陥り始めた。


 統率されていたはずの中央突破メンバーたちは急に狼狽えはじめた他のメンバーに影響されて、動きの精彩を欠き、その隙を深淵獣に狙われて次々に死に戻りし始めた。

 一度そうなったら崩れるのは一瞬だ。


 俺は深淵獣と共に機戒兵側のプレイヤー次々にキルしていき、全滅こそさせられなかったが、今回の作戦を断念させて撤退させることに成功したのだった……




 今回はこれでいいが毎回こう上手くいくとは限らないし、本当に何か手を打っておかないとな……








 ……。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

 



 

 

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