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63話 底辺の才覚

 なんかユニーククエストとかいうのが発生したらしいが、こいつの話がまだまだ続いているので深く考えるのは後にしよう。

 ここから脱出してから【釣竿剣士】や【検証班長】に投げればとりあえず解決してくれるだろうしな。


 「さて、ジェーライトの力を受け継ぎし【包丁戦士】よ、お前の活躍を見込んで1つ聞きたいことがある」


 堕天使タコは神妙そうな顔を俺に向けて俺に問いただそうとする。

 ……といってもタコの表情なんて分からないから俺の主観だけど。


 で、なんですかね?

 その、俺に聞きたいことっていうのは?


 「地上に戻る前に我の試練を受ける気はないか?」


 試練?

 なんでそんなもの受けないといけないんだ。


 「そんなものとはよく言うものだな。

 我ら深淵に潜むものは、冒険者に試練を課し、己の力を授けるということが宿業として刻まれておってな。

 レイドバトルのアナウンスでも流れているであろう?

 【深淵へ誘い】【冒険者を堕とす】という部分のことだが、別にお前たち底辺種族を亡き者にしたいわけではない。

 これは我ら深淵の力を授ける宿業のことを意味しているのだ。

 あの忌々しい聖獣や【次元天子】にも、あやつらの力を授ける宿業が刻まれておる。

 実際に戦ったことがあるなら何度か聞いたことがあるのではないか?」


 あー、【菜刀天子】や竜人ロリババアと戦うときのアナウンスで出てるよな。

 特に【菜刀天子】のアナウンスは毎日聞いている(強制)だからよーく覚えている。

 だけど、ジェーやニワトリカラス、棘亀とのレイドバトルではあそこまで詳しいアナウンスじゃなかったんだけどな……?

 あの詳しいアナウンスが流れるために何か条件でもあるのか気になるところだ。


 まあ、俺がなんかパワーアップするなら別にその試練を受けてもいいけどさ。

 実際、試練ってなにやんの?

 

 「なに、簡単なことよ……

 我に向けて【魚尾砲撃】を撃つがよい。

 無論、深淵の力を顕現させた状態でな。

 それでお前の深淵への適応力を測らせてもらうとする。」


 ほう、そういうことなら全くもって問題ないな。

 本来、俺に敵意のないやつを1人生け贄に捧げないと発動することができないというデメリットを持つ【深淵顕現権限】だが、この【深淵奈落】ではそのデメリットを踏み倒して使えるから使いたい放題。

 そして、この堕天使タコに調整してもらった【魚尾砲撃】をレイドボスに向かって試運転できるいい機会だからな。


 相手が自ら攻撃を受けてくれるというのなら大歓迎だ。

 じゃあ、まずは……

 スキル発動【深淵顕現権限】!


 ちょっと慣れてきつつあるおしりの骨格がゴキゴキと変わる感覚を楽しみながら、ヌルヌルのウナギ尻尾を出現させた。

 前の話で出してなかったか?というツッコミもあるだろうが、底辺種族の俺が【深淵顕現権限】でウナギ尻尾を出していられるのは1分だけだからな。

 前の話から時間が経っているから当然尻尾も消えている。


 「何度見てもその身体にジェーライトの1部がついていると冒涜的な感覚を覚えるな。

 どことなくあやつの1部も喜んでいるように見える……」


 えっ、この尻尾表情とかあるの!?

 きもっ!?

 俺が見る限り表情なんてさっぱりわからない、俺以外にもウナギの表情とか読み取れるやつなんてほとんどいないとは思うけどさ。

 ヌルヌルしているウナギが喜んでいる姿……想像するだけでなんか微妙な気分になってくるしこれ以上深く考えるのは止めよう。

 それが精神衛生的にもいいだろう。


 よし、次はこの堕天使タコに調整してもらった【魚尾砲撃】だ。

 興奮してきたな。

 はい、スキル発動【魚尾砲撃】っ!


 今までは身体全体に充満していったエネルギーが、尻尾の先端にある口に集まるようになっている。

 そして、これまで一切操作することの出来なかったエネルギーについても量とかなら調整できるようになっている!

 これは使い勝手が最高だ!


 そして、集約させたエネルギーが形になったところで砲撃を発射する。


 「あっ、んんっ!!」


 エネルギーを放射する奇妙な感覚につい声が漏れてしまったようだ。

 ちょっと恥ずかしいな。


 俺が放射したエネルギーは今までのようにドーム状ではなく、レイドボスだったジェーが使っていたようにレーザー状で堕天使タコに向けて飛んでいった。

 流石にジェーが使っていたような特大規模の極太レーザーには遠く及ばないが、安定して操作できるようになっただけ使用感がまるで違う。

 しかもドーム状の【魚尻砲撃】とは異なり、飛距離がそれなりにあるので遠距離攻撃手段としても使える!


 そんな風にスキルの調整に感動していた俺だったが、レーザー自体は堕天使タコの足に軽くあしらわれていた。

 あしだけに……

 ……はい。


 「このグランドクエストの進捗段階での底辺種族と考えるならば、この順応具合は異常だと言ってもいいな。

 本来ならあやつの固有スキルを発動した時点で、狙いを定めることはおろか、ジェーライトに意識を呑み込まれるというのが試練の規定路線だったのだがな……」


 ちょっ、そんな不穏な試練だったのこれ!?

 このタコちゃっかり俺をハメに来てたな?

 というか俺ってそんなに異常?

 ……【深淵顕現権限】の比較対象がボマードちゃんしかいないからさっぱりわからないんだが。


 「そうだな、このまま深度を上げていき、【深淵細胞】をあと何種類か我が同族から譲り受けることができれば同胞として認めることもやぶさかではない。

 そのレベルでお前の深淵への適正は今まで観測してきた底辺種族の中でも群を抜いていると言っても良かろう。

 いわば底辺の中の底辺ということだな」





 いや、深淵という意味で深いところまでいけるということを言ってるんだと思うが、その言い方は酷くない!?










 何世紀かぶりの逸材に目を光らせている堕天使が居たとか居なかったとか……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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