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629話 懐に潜り込む

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日は引き続き【失伝秘具】の捜索を行おうと思う。

 【黒杖魔導師】が改造して出来上がった【失伝秘具】狂神神聖祭壇域は移動不可だったので、別のやつを探さないといけなくなった。


 そのうちの一つは【荒野の自由】が隠し持っているそうなので奪い取るのは困難かもしれないが、逆に言ってしまえば【荒野の自由】が持っていると分かっているところまで場所の目安がついているから一度くらいは確認させてもらおう。











 というわけでやってきました荒野エリア!

 草原エリアからの隠し通路を抜けてやってきたそこには相変わらず機戒兵がウヨウヨと待機しているが、【大罪魔】直伝の大罪の気配を隠す方法でスイスイと進んでいく。


 ただこの方法は【荒野の自由】には効果が薄いので、俺の存在が悟られる前になんとかして明確な場所の手がかりを見つけたいところだ。


 まず俺がやってきたのは【荒野バー】だ。

 実績照会にも名前が出てくる重要施設だが、ここは指名手配犯の貼り紙がされていたりするので俺が特に警戒されてしまう。

 だが、そんな重要施設だからこそ【失伝秘具】が隠されている可能性があると睨んだのだ。


 「うわっ、また【包丁戦士】かよ……」


 「わざわざこんなところまで顔を出さなくてもいいのによ……」


 やはりここだと俺への風当たりが特に悪いみたいだな。

 俺は今さら悪評を撤回するつもりはそんなにないので気にしないようにしているが、ここまで警戒されているとやはり探し物をするに当たっては居心地が悪い。


 なんたって聞き取り調査が成立しないからな。

 こういう場面になって俺の人望の無さが悔やましいと思ってしまう。

 もちろん、自業自得でしかないんだけどな!



 そんな想いを抱きながら俺は【荒野バー】の中を歩き回ってみる。

 カウンターを挟んで店主がおり、客がいる。

 基本的に飲み物を提供しているようだが、簡単な食べ物も同時に出しているようだ。


 プレイヤーは長時間滞在しながら飲み食いをしている者もいれば、指名手配の貼り紙を見てからすぐに立ち去るものもいる。


 どちらかというと後者が多い印象が目立つな。

 この【荒野バー】に他の機能はあるのか……?


 飲食と指名手配以外の要素が確認できないが、本当にそれだけで【実績照会】に出てくるような重要施設として扱われるのか疑問が残るところだ。


 俺が見逃しているだけでまだ隠された役割があるのかもしれないが、一時間くらいここで飲み食いしながら観察をしてみたがやはり変わったところは見当たらない。

 これ以上俺がここにいても進展はなさそうだしあるとしても時間をさらにかけないと駄目なようだ。

 【荒野バー】については大人しく荒野エリアの事情通な的なやつを見つけて聞き出すしかなさそうだ。



 





 ということで、【荒野バー】については一旦置いておいて大本命の【保安施設】を見に来た。

 幸い【荒野の自由】は出払っていたようで近くに来ただけで瞬殺されることはなかったが、いつ戻ってきもおかしくはないので手短に終わらせたいところだが……


 中に入ると【荒野バー】と同じく貼り紙のようなものがされていた。

 こっちにも指名手配書があるのは前に来た時にも把握していたが、より吟味された内容のものが置かれているようだ。

 特に重犯罪を犯したものばかり置かれている。


 おそらくだが、ここに名前が載ると【荒野の自由】が積極的にそのプレイヤーを警戒するようになるのだろう。

 

 他に飾ってあるのは勲章みたいなものだな。

 見せびらかすように飾られているそれは【荒野の自由】の自己顕示欲の現れか?


 だからこそ【荒野の自由】を討伐した扱いになった時に解放された機能は称号セット機能なのかもしれない。

 この勲章たちは正義の行いをして手に入れたものだろうからな。

 自身の行いが正しいという証明にもなる。



 他にめぼしいものはないか……?

 俺はさらに視野を広げようと辺りを見渡していると不意に脳内に無機質なアナウンスが鳴り響き始めた。



 

 【Raid Battle!】


 【荒野の自由】


 【????】


 【機戒天使】【上位権限】【保安官】



 【螺旋のように回る歯車は輪廻の象徴】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【罪を裁き悪を挫く】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【罪を迎え撃つ雌伏する弾丸は】


 【増長する悪意を討ち滅ぼす】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【レイドバトルを開始します】


 

 あっ(察し)。



 「ユーは懲りずにまた来たのか!

 ミーの我慢も限界だ、そろそろ【機戒監獄】へと幽閉させてもらおう!

 ミーとゴー!トゥギャザー!」


 突然現れた【荒野の自由】は急に発光し、次の瞬間には俺は強制ログアウトさせられてしまった……

 どうなってしまったんだ俺は……っ!?






 【Bottom Down-Online Now loading……】

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