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626話 開示の制限

【Raid Battle!】



 【深淵域の管理者】




 【エルル】



 【???】【上位権限】【ボーダー】




 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】



 【深淵へ誘い】



 【冒険者を堕とす】



 【深き真価を見極め】



 【境界に流転する】



 【封印された夢想が解き放たれし時】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】



 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日はルル様に話があるのでアビスの方にログインしてきた。


 「我に用とな?

 一体どんな要件なのかのぅ……」


 ルル様は俺をいぶかしむように、そして値踏みするかのように見つめてきている。

 

 話しというか今後のことだが、全く機戒兵が減ってる様子が無いんだけどこのまま続けてユニーククエストって終わるのか?

 機戒兵を壊して回っていても埒が明かないし、かと言って【荒野の自由】を直接叩こうとしても俺では歯が立たない。

 正直なところ手詰まり感を覚えてきているんだよな。

 掃討作戦をやろうにも深淵獣側に立つプレイヤーなんて1割のプレイヤーしかいないんだし、むしろ機戒兵側にそれをやられたら一溜りもない。


 今でこそ有利だが、大人数のプレイヤーが結託することで生まれる力は侮れないからな。

 そろそろこっちとしても決定打を与えたい。


 

 「カッカッカッ、思い悩んでおるようだのぅ!

 未だ我らが優勢だというのに心配性なものだ。

 だが同じように我も心配性でな、このまま【荒野の自由】が後手に回り続けてくれるとは思っておらんのだ。

 あやつは必ずどこかで何かトンでもないものを仕掛けてくる。

 故にそれに対するカウンターと、こちらから攻勢に回れるような算段をつけておこうと思っておったのだ」


 流石は策謀家として定評のある深淵種族の管理者であるルル様だ。

 俺がここに打診しにくる前から何個か考えを纏めていたのだろう。


 それでルル様のつけた算段ってどんなものなんだ?

 狡猾と称されることの多いルル様のことだ、生半可なものではあるまい。

 

 「カッカッカッ!

 そう誉めるではない、我がいくら策謀を張り巡らせたとしても相性というものはあるからのぅ……

 我ら深淵種族の系譜は世界から拒絶されておる故に、ほとんどの種族との相性が悪い。

 一番は聖獣と天子であったが、次点で機戒たちとも悪いのだ。

 深淵獣たちは機戒兵と元々差が少なく、場の力で能力を向上させているからこそ力の差で相性を克己しておるが我やレイドボスの眷属ともなると話は変わってくる。

 それでも我が次元天子とやりあえたのは事前に場の仕込みを終えていたからだ」


 【菜刀天子】と戦うにあたって大がかりな準備を各自進めていたからな。

 だからこそルル様が顕現出来たし、【菜刀天子】の弱体化も出来ていた。


 ……弱体化?


 「ほう、そこに思い当たったか!

 実にいい視点の向け方だのぅ……

 我らの手駒である深淵獣は【無限湖沼ルルラシア】にて場の力を得て能力が向上しておるが、それでようやく互角。

 つまり、こちらの能力をさらに上げるか、あるいは逆に機戒兵の能力を下げるしかない。

 既に上がっているものをさらに上げるのは難しいが、まだ変動の少ないものを下げるのは比較的難易度は低いはずだのぅ」


 なるほど。

 直接機戒兵を叩くのは深淵獣に任せて、俺たちは深淵獣の戦う場を更に整備していくわけだな。

 だが、あれだけの数の機戒兵の能力を下げるとなればかなり大がかりなものでないといけないはずだ。


 「いくつか方法はあるのだが、我として一番手っ取り早いのは【深淵機構ーAbyss system】を活用してアルベーの力を一時的に引き出すことか。

 弱体化という点において我の配下でアルベーを勝るものはおらぬからのぅ……」


 【深淵機構ーAbyss system】だと?

 あれはレイドボスと再戦するための施設じゃなかったのか……

 でも、ルル様がこのタイミングで嘘をつくわけないからな、何かしらの活用方法があるのだろう。


 「あれを使えば我の配下を一時的に復活させられるのは知っておるな?

 それを有効活用し深淵奈落から連れ出すことが出来れば手っ取り早いが、それ以外にも【深淵機構ーAbyss system】そのものにエネルギーをためることで我の配下の力を制御して使うことも可能なのだ」


 へー、レイドボスとの再戦以外にもそんな機能があったんだな。

 全く試したことが無かったから気がつかなかったが、エネルギーとやらと貯められるらしい。

 今度試してみようか!


 「それと、【深淵機構ーAbyss system】以外で考えるのであれば【失伝秘具】の力を借りるというのも手であるのぅ……

 何処にあるのかは知らぬが、正義の力を減退させ罪の力を増幅させるものも必ずあるはずだ。

 何せかつての対戦で【大罪魔】の小娘が引っ張り出してきていたからのぅ!」


 あー、それってあれか。

 【大罪魔】が俺にユニーククエストで見つけてこいって言っていたやつだな。

 あの【大罪魔】は復元体だから一度滅びる前に持っていた【失伝秘具】を消失してしまっている。

 長い間実体も無かったから行方も分からないだろうが、ルル様のお墨付きの【失伝秘具】であれば見つける価値はありそうだ。


 「もちろん、【荒野の自由】もこの【失伝秘具】の存在は知っておるだろうからプレイヤーに伝えた時点で争奪戦になるのは見えておる。

 もっとも、あやつがプレイヤーに教えるのは先になるであろうがのぅ……

 あやつらは抱え込んでおるプレイヤーが多い故に、情報開示の段階でゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】から制限をかけられておるであろう。

 その点、こちら側のプレイヤーは少ない故にすぐに情報開示が認められておるのだ!

 バランス調整というものであろう」


 こういうプレイヤー間で争うイベントとかクエストに限ってはやけにバランスを意識してくるなこのゲーム運営……

 レイドボスとかは全く容赦がないっていうのによ!

 人権がない者同士の争いは凄惨なものになるからなんだろうか……





 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

デフォルメチックな【菜刀天子】を四枚描きました。

それぞれ、40話、66話、78話、93話に置いてあります。

興味がある方は見てみてください!



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