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621話 荒野への偵察

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日は荒野エリアにいるレイドボス【荒野の自由】にちょっかいをかけにいこうと思う。


 機戒兵を排除するなら発生源である【荒野の自由】をどうにかすればいいんじゃないかという仮説があるから、その【荒野の自由】が今どんな感じなのかも気になるからな。





 

 そんなわけで草原エリアにある抜け道を通って荒野エリアにたどり着いた俺は驚愕の光景を目の当たりにしたのだった。




 まるで絨毯かと思えるくらいにびっしりと荒野の片隅で鎮座している機戒兵の集団がいたのだ!

 流石に荒野エリアの街中では普通に歩けるくらいだが、少し外れたところには数えきれないほどの機戒兵が出番を今か今かと待っている。

 あの物量で攻めてこられたらひとたまりもないが、【無限湖沼ルルラシア】に一気に送り込んでいないのには何か理由があるんだろうか?



 送り込む機戒兵の数に縛りがあるのか、あるいは本拠地である荒野エリアを手薄にしたくないのか。

 はたまた別の理由かもしれないが、【荒野の自由】から先手を取るにはその理由を突き止めるといいかもしれない。


 出来るかどうかは別にしてな。




 さて、荒野エリアに侵入したはいいものの、【荒野の自由】はどこにいるのか……?


 俺は疎らに移動している機戒兵の目を盗みながらスニーキングしていき、建物から建物へと着実に歩みを進めておく。

 今回は敵地での偵察だからな、いつもより二倍も三倍も気を引き締めないといけない。


 おっ、【短弓射手】がいるな?

 どこかくたびれた様子でトボトボと歩いている。

 いつもならここでプレイヤーキルを仕掛けに行くところだが、今回は見送っておこう……


 あいつに攻撃を仕掛けたら最後、どちらかが死に戻りするまで死闘が繰り広げられることになってしまう。

 そうなると俺の当初の目的である偵察が出来なくなるからな。


 ひじょーに残念だが、今回は息を潜めて【短弓射手】が通りすぎるのを待つとしよう。


 



 そんな風に待っていると、脳内に無機質な声が鳴り響き始めた。

 ……ということは!?




 【Raid Battle!】



 【荒野の自由】



 【????】


 【機戒天使】【上位権限】【保安官】



 【螺旋のように回る歯車は輪廻の象徴】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【罪を裁き悪を挫く】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【罪を迎え撃つ雌伏する弾丸は】


 【増長する悪意を討ち滅ぼす】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【レイドバトルを開始します】



 「HEY!ユーはまた懲りずにここに現れたわけだ!

 ギルティなムーヴを繰り返すユーにはここからすぐに退場してもらおう!」



 若干剣呑な雰囲気の挨拶をかましてきたのは、茶色のカウボーイハットを被り赤いスカーフを首に巻き、茶色のジャケットに、ダメージジーンズを履いた男……男(?)だった。


 こいつはガンマンスタイルのロボットである【荒野の自由】だ。

 深淵種族に足を踏み入れており、大罪の烙印を押された俺をこの罪を敵視する正義の執行者が見逃してくれるわけないからいつか向こうからお出ましになるとは思っていたぞ。


 「OH!ユーにミーの動きが読まれていたとは!?

 中々侮れないデース!

 でもすぐに消えてもらおうか!」


 謎の陽気な口調を混ぜながら臨戦態勢になる俺と【荒野の自由】。


 悪いが早撃ちの達人である【荒野の自由】に先手を取らせるわけにいかないからな。

 スキル発動!【天元顕現権限】!

 さらにスキル発動!【渡月伝心】!


 スキル発動!【天元顕現権限】【渡月伝心】!



 【スキルチェイン【天元顕現権限】【渡月伝心】】


 【追加効果が付与されました】


 【スキルクールタイムが増加しました】



 俺はチュートリアル武器の包丁から銀光粒子を放ち、【荒野の自由】へと飛ばしていく。

 あらゆるものを切り刻む無慈悲な粒子が炸裂すれば、少しは【荒野の自由】にダメージが入るかもしれないと期待しての攻撃だ。


 「ユーは【上位権限】を手に入れてもまだまだベリースイートだ!

 相性もあるからこれで充分。

 【ジャッジメントバレット】!」


 【荒野の自由】による目にも止まらぬ早業で俺はなす術もなく光の粒子となり死に戻りすることとなった……


 やはり力は健在か、弱体化してたら良かったものを……っ!






 ミーのジャッジメントハートは敗れまセーン!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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