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617話 虚弱少女と気づき

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今思ったんだが俺がログインする時のこのアナウンス、ワールドアナウンスだから俺がログインする度に情報が漏れてるってことだよな!?


 【深淵纏縛】とか【暴食】の時はある程度意図的なタイミングだからそこまで支障は無かったが、この仕様って普通にプライバシーが侵害されてる気がするぞ……

 まあ、このゲームはプレイヤーに人権がないからな。

 ゲームの規約でも定められていてそれを承知の上でやってるのもあるから運営に問い合わせても取り合ってくれないのは間違いない。


 つまりだ、深淵種族側のトッププレイヤーである俺がログインしたアナウンスを見た【荒野の自由】側についたプレイヤーたちは、事前に俺対策の準備を出来るという圧倒的不利な状況に陥っているのだ。



 冷静に考えたらヤバイよな……

 アナウンスに関してはもはや手遅れなので、出たとこ勝負で行くしかないだろう。

 俺個人で動くだけだと限度はあるので深淵種族側で戦ってくれそうなやつに声をかけにいって、さっさと仲間認定しておこう。










 というわけでやってきました新緑都市アネイブルのほのぼの市場!

 ここには普通にプレイヤーがいるんだが、深淵獣もまばらにいたりする。

 プレイヤーたちが力を合わせて撃退しているのと、ルル様は機戒兵への対応で忙しくてこの新緑都市アネイブルに力を回す余力があまり無いんだろうな。


 そんなほのぼのとは少し離れつつあるほのぼの市場で俺はボマードちゃんと再会した。


 「あっ、【包丁戦士】さん待ってましたよ!

 いや~、とうとう【菜刀天子】倒しちゃいましたね!

 二人で天子王宮を解放した時から結構時間がかかっちゃいましたけど」


 そうだな。

 あの時は二人で【深淵顕現権限】を使って【菜刀天子】と邂逅したんだったな。

 多分正規手段はまた別にあったんだろうけど、無理やりこじ開けた感じだった。


 そのまま俺たちは正規ルートの強化から外れて深淵の力に染まっていったが、どっちにしても俺たちはいつか正規ルートから外れる未来しか無かったので救いようはない。

 【菜刀天子】を深淵の力で一時的に封印していたのは、今考えるとルル様なんだろうな。

 だが、【深淵顕現権限】という深淵に染まるスキルを保有するプレイヤーが現れたときに【菜刀天子】の封印を解いて、いずれ倒させようとしていた……のかもな。



 「私のデバフも役立ちましたし、実は私がMVPだったんじゃないですか!?

 いや~、自分の実力が怖くなっちゃいますよ~!」


 こいつ、頭お花畑なだけあって放っておくとすぐに調子に乗るな……

 安心しろ、お前の虚弱さが俺は怖い。

 【名称公開】のデバフは明らかにボマードちゃんの身体を蝕んでいるから、プレイヤーキラーである俺であってもボマードちゃん相手にはキルしにくいのだ。


 しないとは言ってないけどな。



 


 さて、前置きはこれくらいにしてボマードちゃんは機戒兵と深淵獣どっちを排除するクエストを受けたんだ?

 

 「もちろん機戒兵を排除するクエストですよ!

 いや~、私のナカにいるジェーライトさんが深淵種族なので、深淵獣排除クエストを遊びで選ぼうとしても意識を乗っ取られて選べないんですけどね」


 あー、深淵細胞を取り込んだ時のデメリットってこういうときに出てくるんだな。

 ……ん?あれ?ということはあれはおかしいのでは?

 【検証班長】が俺を騙すために嘘をついたのか、あるいはあいつが【検証班長】を騙すために嘘をついたのか。

 もしくは、その影響力を打ち勝ったのか。


 ボマードちゃんのお陰で一つの違和感に気づくことができた。

 こいつは頭お花畑だが、視点が独特なせいで妙なところで俺に気づきを与えてくれるから、そういうところは大切にしていきたいところだ。


 「【包丁戦士】さんがデレた!?

 いや~、やっぱり私と【包丁戦士】さんはラブラブ!

 相思相愛だったんですね~!!

 照れちゃいますよ~!」


 はいはい、ワロスワロス。

 両手を頬に当てて、腰をくねくねと動かしながら悶絶しているボマードちゃんをよそに、俺は今後の動きについて考え込んでいく。


 この情報の是非をどうやって本人に確認するかが問題だな……

 俺が【渡月伝心】でメッセージを伝えられる相手じゃないし、この状況だと会いに行くのも難しい。


 ……つまりだ、戦場で会ったときに聞くしかないってわけだ。

 ここまでバレてないってことは上手いことやっているんだろうけど。




 まあいいか。

 とりあえず、ボマードちゃんは貴重な俺と同じ陣営のプレイヤーだ。

 少数精鋭で動かないといけないから過酷な戦いになるだろうが、頑張ってくれよな。

 

 「はい、【包丁戦士】さん!

 いや~、元気モリモリで頑張っちゃいますよ~!」


 あっ、気合いの入りすぎでコケたぞ!?

 ……ちょっと心配になってくるが、しっかりしてくれよ……






 我の陣営の貴重な同胞であるゆえに、丁重に扱うのだぞ。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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