615話 初戦闘!VS機戒兵
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は機戒兵と戦ってみようと思う。
昨日は深淵獣の観察とプレイヤーキルを楽しんでいたから機戒兵の強さというものを体感できていないからな。
せっかくの新しいエネミーなんだし、戦ってみなきゃ損ってものだ。
というわけでやってきました沼地エリア……【無限湖沼ルルラシア】。
その最東端には深淵獣が進行出来ておらず機戒兵しかない。
つまり、機戒兵は沼地エリアの東側にあるエリアから来ているということだ。
形状は武骨な若干ずんぐりむっくりな形状のロボットだな。
戦闘ロボットもののアニメとかに出てきそうなやつで、色が白色だったり青色だったりとバリエーションが豊富だな。
ただ、色ごとに固まって動いていることから何かしらの共通点や法則性がある……のかもしれない。
機戒兵の集団が動く度にガチャンガチャンと金属がぶつかり合う音と機械音が響いてくるのは、このボトムダウンオンラインの……包丁次元では異質な気がする。
この世界はかなり原始的な世界観が主だからな。
そんな中で急に全身金属のロボットが群れをなしてきたら違和感がハンパない。
別ゲーをやっている気すらしてくるぞ!
「機戒兵の上楽しい~!
このゲームでロボットに乗れるなんて思ってなかったわ!」
調子にのって、機戒兵の頭の上に乗っているプレイヤーもいるが、流石に操縦出来ているわけではないらしい。
コックピットに入り込めたら乗れるのか……?
機戒兵たちにそんな機構があるのかは知らないが、ロボットモノ好きのオタクたちにはロマン溢れる話だろう。
さて、前置きはここまでにして早速戦ってみるとするか。
せっかくだし、さっき見つけたモブプレイヤーが乗ってた機戒兵にしよ。
赤色の機体に、黄色のラインの入っている炎を思わせるような機戒兵だな。
コテンパンにしてやろ!
そう決めた俺は機戒兵たちの間をジグザグに疾走していき、腰に提げている包丁を握るとそれを機戒兵に向けて振り抜いていった。
「うわっ、何々っ!?
あっ、【包丁戦士】だっ!?」
思ったより固いな……?
流石に一発で仕留めることは出来なかったようだ。
だが、金属を切ったわりにはするりと包丁の刃が通ったことから、流石にレイドボス級とまではいかないようだ。
この感じからすると、【オメガンド】の冒険者ギルドから入れるダンジョンに生息する雑魚モンスター以上、ダンジョンのボス的存在のゲートキーパー未満と言ったところか。
これなら確かに倒せないことはないな。
「もー!
負けないでっ私の【フレイムギア】!」
機戒兵に乗っていた女のモブプレイヤーは機戒兵に名前をつけているようで、その名前で機戒兵の奮起を促しているようだ。
その言葉を聞いたのか、それとも自己防衛システムが動いたのかは分からないが腕を換装しドリルを腕の場所で回転させながら俺に向かって突き出してきた。
……遅くはないが、速くもないな。
このレベルなら油断しなければかわせるな!
所詮無限湧きエネミーと言ったところか。
俺は機戒兵の大体の力量を見切ったので、ドリルを突き出したままで隙をさらしている機戒兵……命名【フレイムギア】の身体にある溝に包丁を突き刺し、そのまま一気にその機械の身体を一周していった。
まるで缶詰めでも開けるかのようにパックリと一刀両断された機戒兵はそのまま地面に落ちていき、灰色の粒子となり消えていった。
「そんなー!
私の【フレイムギア】がぁぁ!!!」
勝手に乗ってただけの機戒兵のそこまで執着するとは、こいつもしかしなくても、頭のネジ外れてるな?
悲嘆に暮れている女モブプレイヤーは、両手で涙を拭いながら背中を丸めて動かない。
こういうのを見た男は庇護欲とか出てきたりするんだろうが、あいにく俺にはそんなのは湧いてこなかった。
まあ、そんなやつ相手にも容赦しない。
俺はプレイヤーキラーだからな!
泣きじゃくっている女モブプレイヤーを背中からサクッとヒト刺しすると、そのまま粒子となって死に戻りしていった……
機戒兵は一対一ならどうってことないが、これが数を集めて迫ってきたら普通に死ねるな。
とりあえずははぐれ機戒兵をチマチマ狙うのが手堅いか?
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