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612話 世界の趨勢

【Raid Battle!】



 【深淵域の管理者】




 【エルル】



 【???】【上位権限】【ボーダー】




 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】



 【深淵へ誘い】



 【冒険者を堕とす】



 【深き真価を見極め】



 【境界に流転する】



 【封印された夢想が解き放たれし時】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】



 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 なんだかんだあって、ようやく念願の【菜刀天子】を討伐することに成功した俺は深淵奈落にログインしていた。

 天子王宮にログインしても良かったんだが、あっちにログインしても【菜刀天子】はいないだろうからな……


 この区切りのところでまず話をしてみたい相手となると、他にはルル様しか思いつかなかったからアビスの方にログインしたというわけだ。


 「賢明な判断だのぅ……

 まずは次元天子討伐の責を果たしたこと、労わせてもらおう。

 大義であった!

 これで長年の執念に終止符をうつことができた」


 ルル様は感極まりながら俺に礼を告げてきた。

 ルル様としては、俺たちプレイヤーがこの次元に来るまでの時間も含めて長いこと【菜刀天子】を倒そうと虎視眈々と狙っていたのだから、達成感も俺以上だろう。


 

 それで、これからどうするんだ?

 目的だった【菜刀天子】を倒した後にすることって何かあるのか?


 「カッカッカッ!

 お前は前に我が言ったことを忘れておるのかのぅ……?

 まあいい、今の我は特に機嫌がいいから再び話してやろう。

 我はこの次元を堕とすためにさらなる手を地上へと伸ばしていく。

 既に【無限湖沼ルルラシア】と【新緑都市アネイブル】には放っておるが、最下級の深淵獣がこれまで次元天子の治めておった領地を侵していっておるのだ」


 最下級の深淵獣?

 というか深淵獣ってなんだ?

 初耳だぞ?


 「そういえば話しておらんかったな。

 我の直属の深淵種族は数体しかおらぬが、理性を持たぬ深淵の力を持った獣であらばいくらでもおったのだ。

 ……もっとも、力はレイドボスには到底及ばぬ故に、勝手に出て頭数を減らされぬように深淵奈落の最下層に隔離しておったのだがのぅ」

 

 そんな兵力隠してたのかよこのルル様は……

 やはりルル様は嘘は言わないが、その奥に隠された真実や別のこと柄などは徹底的に俺に明かさないように動いているようだ。

 いくら俺が深淵種族に足を突っ込んでいるからと言ってもプレイヤーであるという事実は変わらないからな。



 それで、その深淵獣っていうのは何をしてるんだ?


 「地上の土地を深淵種族の住みやすいように改変させておる。

 最下級の深淵獣は深淵の力がないところでも活動できるが、我や我の直属の深淵種族たちは深淵の力の滞留している場所でないと長時間活動できないからな。

 深淵獣の活動範囲が広まれば広まるほど、我らが実際に活動できる場所が増えるというわけだ」


 なるほどな。

 テラフォーミングみたいなものか。

 

 「とはいえ、深淵の力に適応できない存在はそこに入ることすら出来なくなる故に既にプレイヤーたちと交戦中となっておる。

 【上位権限】を用いて知り得た情報によると、他のゲームでいう通常のモンスター枠に該当する扱いである。

 プレイヤーに倒されようともそのレベルであれば追加戦力を増強していくことは我にとって容易いが、削られ過ぎると我の活動できる時間が短くなるのが難点だ」


 ふーん、つまりルル様は地上進出するために深淵獣を生み出し続ける必要があるが、プレイヤーは深淵獣を倒すことでルル様の力を少しずつ削いでいくことが出来るわけだな。

 それくらいのギミックがないと深淵奈落にいるルル様を倒すことなんて不可能に近いから妥当だな。


 仮に地上に出てきても、プレイヤーの活動に支障は出てくるが深淵奈落にいる時よりもルル様は弱体化するからどちらにしても倒せる可能性は出てくる。


 どちらのルートにしてもルル様討伐は見えるというわけだ。

 実に憎らしい仕様である。


 ただ、その深淵獣というやつらが蔓延ると地上の環境は荒らされていくのは間違いない。


 俺はプレイヤーをキルしていきたいが、ゲーム内の生活環境を悪化させたいわけじゃないからな。

 その辺りはルル様との考えの相違だと思う。


 今は協力しているが、いつかは相対することになるだろう。

 それは俺もルル様も分かっていて話しているのはある。

 だからこそ、ルル様は俺に渡す情報を絞っているんだろうな。


 「さて、ここからが問題だ。

 我が深淵獣を出しているのと同様に【荒野の自由】も最下級の兵を出してきているのだ。

 その名を機戒兵と言うらしい。

 あやつらは【地蒜生渓谷メドニキャニオン】をメインに進行しているようであるが、次に近いこの真上にある【無限湖沼ルルラシア】に攻めてきておる。

 故に、深淵獣と小競り合いが発生しておるのだ……

 由々しき事態だのぅ……」


 そうか、【菜刀天子】が居なくなって都合がよくなったのはルル様だけではなく他の【上位権限】持ちレイドボスも同様ってことだよな。


 そして、今は群雄割拠状態なので、その勢力範囲を広げるための牽制が行われているというわけだ。


 「そこでお前に……いや、プレイヤー全体にユニーククエストを発令するとしようかのぅ。

 【荒野の自由】の手先である機戒兵を【無限湖沼ルルラシア】から排除するのだ!」




 【ワールドアナウンス】


 【包丁次元のプレイヤーは【ユニーククエスト 機戒兵を【無限湖沼ルルラシア】から排除せよ】を受けることが可能になりました】



 【運営からの忠告】


 【このクエストは失敗しても失うものはありませんが、成功することによって特別な報酬が与えられることがあります。】


 【ユニーククエストは達成する前に状況の変化によって、クエストそのものが消失している場合もあります。

 他の次元では発生しないことも考えられますので、この機会に世界を変えていきましょう!】



 



 そして、そのアナウンスが出てきた後にさらなるアナウンスが流れはじめた。


 【ワールドアナウンス】


 【包丁次元のプレイヤーは【ユニーククエスト 深淵獣を【無限湖沼ルルラシア】から排除せよ】を受けることが可能になりました】



 【運営からの忠告】


 【このクエストは失敗しても失うものはありませんが、成功することによって特別な報酬が与えられることがあります。】


 【ユニーククエストは達成する前に状況の変化によって、クエストそのものが消失している場合もあります。

 他の次元では発生しないことも考えられますので、この機会に世界を変えていきましょう!】



 「カッカッカッ!

 あやつも……【荒野の自由】も我と同じことを考えておったか!

 面白い、受けて立とうではないか!

 【包丁戦士】よ、地上での立ち回りは頼んだぞ!」


 なんだかよく分からんが、任せておけ!

 俺は深淵種族のためにとりあえず動くことになったのだった……




 というか、【菜刀天子】を倒してもやっぱりプレイヤーたちに人権は与えられていないようだ……

 完全に巻き込まれてるじゃん……



 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

229話にタウラノの挿し絵を描きました!

もし興味があれば見に行ってください!

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