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611話 包丁は灰塵と化す

 【ここで深淵種族に傾倒するabilityの発動条件を満たしてしまいましたか……】


 【私でも詳細を把握できていないabilityでしたが、それゆえに危険度は高いと判断して良さそうです】

 

 【それならば、このまま隙を与えず押し通しますスキル発動!【花鳥風月】!】


 【菜刀天子】は詠唱を破棄した簡易的な【花鳥風月】を今発動済みの【花鳥風月】に重ねて発動してきた。

 それによって黄金色の粒子の量が増大し、弾幕のように俺に向かって飛んできている。



 これをくらってしまったらいくら数多くのバックアップを受けているとはいえ俺は瞬殺だろう。

 だが、今の俺には防御手段がある。

 そう、攻撃は最大の防御だ!


 スキル発動!【鵄嘴縁断】!


 俺は大剣サイズの肉切り包丁に、もう何度目分からない【鵄嘴縁断】をかけ直し、【菜刀天子】の放ってきている【花鳥風月】の黄金色粒子を切り裂いていく。


 この【鵄嘴縁断】、スキルの因果関係を切り裂けるという効果は一級品だが、持続時間がかなり短い。

 キリゲーがまだ未熟なのもあるだろうが、こっちも力を一気に放出して切り裂いているというのも要因だろう。


 それでも、この肉切り包丁によるバックアップのお陰でほとんどクールタイムが無い状態で連発出来ているのが救いだ。

 

 

 黄金色粒子を身体を回転させながら横凪によって一閃すると、その粒子たちは糸が切れたかのように力を失って霧散していっている。

 だが、いくら霧散させても【菜刀天子】が黄金色粒子を次から次へと差し向けてくるためきりがない。


 【その程度の器量でこの【花鳥風月】を乗り越えられるとでも思っているのでしょうか】


 【いくら力をつけたとしても、そんな甘い考えでは勝てるとは思えませんね】



 ちっ、好き放題言いやがって……

 だが、いくら黄金色粒子に対抗できているからといってもこのまま続けていては埒が明かない。


 全方位から迫り来る粒子を捌ききるのはいくら俺の能力が上がっていても、いつかはミスが出てしまうのは目に見えている。

 俺は正確無比なAIではなく、温かみのある人間だからな。


 【笑止!】


 【劣化天子が温かみのある人間と言うのであれば、私はより人間らしい人間でしょう】


 【同族殺しを嬉々として行うプレイヤーにその発言は相応しくないですよ】


 【【花鳥風月】よ、あのよく回る口を塞ぎなさい!】



 おっと、【菜刀天子】は俺の発言が気に食わなかったようで【花鳥風月】の勢いが増してきた。

 このままではジリ貧だな!


 こうなったら、さっきも言ったようにもっと攻め込んでいくしかない!


 

 俺は黄金色粒子を肉切り包丁で切り裂きながら走り、【菜刀天子】に迫っていく。

 そして、振り回すようにして【菜刀天子】の身体に肉切り包丁を切り上げていく。

 

 深々と刺さった肉切り包丁を沿わせて【菜刀天子】の屈強な身体を切り裂くのにはかなり手こずったが、それでもability【会者定離】による攻撃力の上昇と、【深淵纏縛】による基本ステータスの大幅補正、そして、【失伝秘具】である【大深罪鉄林包丁】そのものの切れ味の良さもあってなんとか振り抜くことに成功した。



 【おぉぉぉおおぉおぉおおぉおおおぉぉおお!!!】


 【この力はっ!!!】


 【身体が裂けるような痛みですっ!!】


 【負ける?この私が?】



 これまで与えていたダメージと比べても規格外のダメージをくらった【菜刀天子】は目に見えて狼狽えはじめた。

 このまま畳み掛けるぞ!


 俺は【菜刀天子】に張りついたままさらに肉切り包丁で斬撃を繰り返していく。

 上から、下から、横から……様々な角度から切り裂いていき、【菜刀天子】の玉体を擦りきれさせていった。


 黄金に輝く鱗が地面に落ちていき、その【菜刀天子】の肉体を守るものは無くなっていった。


 「そして、これで……っ!!!!

 これで終わりだぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 止めの一撃として俺は最も信頼する斬撃……十八番である袈裟斬りによって【菜刀天子】の身体を斜めに真っ二つにすることでその生命活動を停止させたのだった。






 もはや動くことが出来なくなった【菜刀天子】の身体からは黄金色の粒子が漏れ出ていき、あとは消滅を待つだけとなった。


 【……まさか、本当にこの私が負けることになるとは】


 【【千年王国】計画がこんなところで、よりによって劣化天子に妨害されるとは皮肉なものですね】


 「あぁ、そうかもしれないな。

 俺だってまさかお前を倒すときが本当に来るとは思ってもいなかったし、それは共通認識だったんだろうよ」


 【ですが、ある意味で今、私は清々しい気分であるというのも事実です】


 【私が導いてきたプレイヤーがこうして【上位権限】を保有するレイドボスである私を倒すまでに成長したのですから】


 「言ってくれるじゃないか。

 まあ、俺の成長というよりは俺の周りに集まってくれた皆の助けがあってやっと……という感じだがな。

 流石に俺一人でお前を倒すのはこれからも到底無理だろう。

 それくらいお前は本当に強かった、その強さは俺のなかでずっと残っていくに違いないぞ!」


 【それは、そうでしょうね】


 【私は弱かったと言われたら立ち直れませんでしたよ?】

 

 【【ジェーライト=ミューン】に何ヵ月も手こずっていた時にはどうしたものかと頭を悩ませていたものですが、様々な縁に導かれて劣化天子も随分と大きくなったものです】


 【ああ、ここから去らないといけないことは寂しいですが】


 【私はあなたを誇りに思います】


 【それでは次にまみえる時まで、精進することですね】


 【また会いましょう、【包丁戦士(・・・・)】!!!】





 そうして、この次元を統べていた絶対の統括者は表舞台から姿を消していったのだった……





 【ワールドアナウンス】








 【レイドクエスト【包丁を冠する君主】がレイドチーム【ネタ装備トッププレイヤーズ】によってクリアされました】


 【この次元のプレイヤーにエクストラスキル【花鳥風月】が開放されました】


 【【包丁を冠する君主】による統治が解除されました】


 【【包丁を冠する君主】によってウインドウ画面にかけられていたロックが一部解除されました】


 【【包丁を冠する君主】の保有していた種族【次元天子】が【包丁戦士】へと譲渡されました】


 【【包丁を冠する君主】によって制限されていたエリアへの移動が可能になりました】


 【【包丁を冠する君主】によって制限されていたレイドボスへの挑戦が可能になりました】


 【【包丁を冠する君主】の試練を突破しましたので、聖獣への種族転生が解放されました】


 【【包丁を冠する君主】が保有していたエリアに対して【上位権限】レイドボスからの侵攻が開始しました】


 【この次元のプレイヤーにジョブ【メイジ】【ウォーリア】【クレリック】【レンジャー】が開放されました】




 【レイド参加者へのアナウンス】


 【レイドクエスト参加者全員が称号【包丁を冠する君主の討伐者】を獲得しました】


 【レイドクエスト参加者全員が称号【次元の解放者】を獲得しました】


 【レイドクエスト参加者全員が称号【上位権限者への下克上】を獲得しました】




 【個人アナウンス】


 【称号の効果で【Bottom Down】!】


 【【包丁戦士】の深度が71になりました】


 【称号の効果で【Bottom Down】!】


 【【包丁戦士】の深度が72になりました】


 【称号の効果で【Bottom Down】!】


 【【包丁戦士】の深度が73になりました】


 【種族の効果で【Deification】!】


 【【包丁戦士】の神度が大幅に上昇し神度が30になりました】







 【グランドアナウンス】



 【包丁次元で【次元天子】の討伐がクリアされました】



 【この次元の実績を照会します】



 【実績確認】




 【前回達成した実績】


 【【兎月舞う新緑の主】clear10位】


 【【荒れ狂う魚尾砲】clear1位】


 【名前に関するスキルの開放 clear】


 【斬擊に関するスキルの開放 clear】


 【魔法に関するスキルの開放 clear】


 【召喚に関するスキルの開放 clear】


 【エルフとフレンドになる clear】


 【深淵細胞を獲得する clear】


 【【底無し沼の棘亀】clear9位】


 【呪術に関するスキルの開放 clear】


 【深淵に関する手がかりを見つける clear】


 【獣人へ種族転生を行う clear】


 【天子の顕現に成功する clear】


 【聖獣を配下に加える clear】


 【獣人とフレンドになる clear】


 【プレイヤーがレイドボスになる clear】


 【聖獣結界を発動する clear】


 【深淵奈落を観測する clear】


 【闘技場の設立 clear】


 【冒険者ギルドの設立 clear】


 【プレイヤーがウインドウに新機能を追加する clear】


 【【堅牢山の炎帝鳥】clear10位】


 【【鳴動する阻鴉眼】clear2位】


 【【荒野の自由】clear5位】


 【射撃に関するスキルの開放 clear】


 【八卦深淵板を観測する clear】


 【深淵種族へ種族転生を行う clear】


 【プレイヤーが複合種族になる clear】


 【下克上を起こす clear】


 【クランの設立 clear】


 【大罪の烙印を押される clear】


 【荒野バーを作る clear】


 【【這竜渓谷の大盟主】clear8位】


 【【想起砂漠の現像鮫】clear3位】


 【深淵奈落でログインする clear】


 【聖獣関連の獣人へ種族転生を行う clear】


 【竜人とフレンドになる clear】


 【竜の里の復興 clear】


 【保安施設の設立 clear】


 【百鬼夜行に加わる clear】


 【ability【現界超技術】の真実を知る clear】


 【レイドボスにabilityを使用させる clear】 


 【次元渡航 clear】




 【今回の実績】



 【【包丁を冠する君主】clear2位】


 【【下克上の陰陽妖狐】failed】


 【【鉄血森林の森人君主】failed】


 【【深淵域の管理者】failed】


 【【蕭条たる百足壁】failed】


 【【忍び寄る蜘蛛糸】failed】


 【【『sin』ーーー大罪を司る悪魔】failed】


 【打撃に関するスキルの開放 failed】


 【????でログインする failed】


 【????でログインする failed】


 【竜人へ種族転生を行う clear】


 【????へ種族転生を行う failed】


 【底辺種族の覚醒 failed】


 【プレイヤーが次元天子になる clear】


 【ドワーフとフレンドになる failed】


 【【荒野の自由】に早撃ちで勝利する failed】


 【陰陽狐面を観測する failed】


 【生産組合の設立 failed】


 【abilityの真実を知る failed】


 【大罪の復活 clear】


 【大罪の拠点作り clear】


 【失伝秘具の来歴を解き明かす failed】


 【陣営対戦を再び巻き起こす failed】 


 【邪神像の完成 clear】


 【黄龍の解放 clear】


 【修練防具の覚醒 clear】


 【聖獣深淵対戦の記録を編纂する failed】


 【千年後に向けて clear】





 【実績基準達成!】





 【グランドクエストが進行します】





 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
実績に【『sin』ーーー大罪を司る悪魔】がないのは何でですか?
[一言] 菜刀天子は生命活動を停止……死んだのだ。
[気になる点] あ、疑問に思ってたところをありがとうございます。だから開示されてる情報が少なかったりしたんですね。 あとこの実績照会では竜人への種族転生が達成されてないのですがこれは誤字でしょうか?
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